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図書印刷株式会社

[記録]

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2016年 4月6日(水)
著者 酢飯屋 岡田大介 
初の本『季節のおうち寿司』が
PHP研究所さんより出版されることになりました。

今回、この本を印刷してくださるのが
図書印刷株式会社】さんです。

自分たちが扱う食材は、すべて現場に見に行くことが当たり前の自分にとって、
今回の本も
取材して、本を書いて終わりではなく。
著者としての最後の締めくくりとして
自分の本がどのように作られるのかを
静岡県にある、図書印刷 沼津工場まで見に行くことにしました。

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100年を超える歴史のある図書印刷さんが
1954年に主力工場として
駿河湾まで数メートルという立地に建てたのが
今回お伺いした沼津工場です。
設立からしっかりと受け継がれているもの。

思いに応える作品を。
柔軟に、確かな品質で。

工場のコンセプトは『多品種対応・一貫生産体制』
印刷・製本・加工の各工程に多彩な役割を揃える、全国的にも数少ない工場です。
それらの設備を一貫生産工場ならではの細やかな工程間連携によって
様々に組み合わせ、高品質かつ独創的な仕様の作品を生み出します。

学校教科書、色の見本帳など、
正確さが第一に要求される作品を長年作られている図書印刷さんの玄関には
その揺るぎないコンセプトが人の目に触れるところにドドンッ!と掲げられていました。

そして、自然環境への配慮が物凄いです。
ベジタブルインキの採用や森林認証など
環境負荷の少ない材料調達を徹底、
2012年には、廃棄物のリサイクル率は99.8%!

そもそも、水道を引かずに
富士山の伏流水からの井戸水(年間通じて16℃)を
機械の冷却や場内冷房に利用され、印刷のための水にも使用。
ただ、天然水は水質が安定しないため、印刷には不向きということで
井戸水をフラットな水(RO水)に調整してインキに混ぜられます。
【RO水とは】
RO(Reverse Osmosis)は、
浸透圧とは逆の大きな圧力をかけることで
「逆浸透」を起こさせる技術のことで、
RO水はその逆浸透膜(RO膜)で作られた水のことだそうです。
水をRO膜に通すことで、
水に含まれるさまざまな不純物を取り除くことができます。

【RO水のメリット】
RO膜による浄化のレベルは、水道水の不純物、
たとえば汚れやウイルスといったものだけでなく、
ダイオキシン、トリハロメタン、農薬や水銀、鉛といった重金属に加えて、
環境ホルモンといった有害な物質まで取り除いてくれます。
セシウムなどの放射能物質レベルまで除去できるため、
原発事故以来、安心で安全な水として注目されています!!

酒造りは水が大事。
とか
蕎麦は水が命。
などありますが、

印刷も水が大事だったのですね。

そして、場内の照明はLED。
東海地震を想定しての災害対策も強化されています。
まさに隙のない企業。という印象で
著者としては安心感、信頼感を強く感じました。

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まず最初にご案内いただいたのが
建築界の巨匠 黒川紀章さんが設計された建物。
会社の本社を有名建築家さんに設計いただく話はよくありますが、
工場にその力をかけているところがシビれます!
ちなみに、社歌は谷川俊太郎さん作。

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工場に入る手前に置かれていた
昔の印刷の際に使われていた『植字台-しょくじだい-』。

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いよいよ、工場内に入らせていただきました。
いきなり出てきたのが、自分の本が刷られている現場!!!
感動。

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次から次へと、どんどん印刷されていく
みんなで力を合わせて作り上げたページ。

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今回の本のサイズに合わせて
80cm強×60cm強ほどのサイズの真っ白な紙がセットされています。

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紙が積まれているだけで、もはや芸術。

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この一面に16ページ分を刷っていきます。

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優しいタッチの吸盤で白紙が印刷機に送られていきます。
まさに、
お寿司を魚と一緒に握る前の酢飯。
その酢飯にするための調味料を合わせる前の
白米のごとし。

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まずは墨(スミ)色のインキを通過。
黒と言わず、スミ というのが印刷業界。

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次に、藍(あい)。
青ではなく、藍です。

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そして、赤を通過。
赤は赤。

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最後に黄。
黄も黄。

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色の重たいインキから重ねていきカラーを出す。
印刷した表面にブロッキングパウダー(でんぷん質のもの)をして
紙と紙がくっつかないようにコーティングされる。


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この写真、拡大して見てみてください。
先ほどの4色のドットの集合体のバランスで
全ての色が表現されています。
頭ではわかっていましたが、実際に見ると
そのテクニックに驚きました。

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そして、一冊の本が出来上がるまでに
物凄い数の方々、
それぞれのスペシャリストが関わり出来上がっていくことにも
驚きました。
現地取材の時に関わってくださった方々や
撮影、デザインなど本を作り上げる過程だけでも多くの方にお世話になるわけですが、
印刷の段階でもここまで多くの方が携わって下さるなんて
ここに来なければ絶対にわからないことでした。
この日、1日だけでも
工場長の太田貴久さん
印刷部 部長の金丸一朗さん
数々の巨匠からご指名を受ける色のスペシャリストで
プリンティングディレクターの栗原哲朗さん
実際の現場で
臨機応変に、繰り返し微調整をして下さる従業員の皆様
最初から最後までご案内くださった中西守さん
著者のわがままを形にして下さるPHP研究所の渡邉智子さん
いつも僕の目線を鋭く書き上げるライターの佐藤俊郎さん

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印刷素人の僕にも
印刷具合を確認させていただき
サインをさせてただきました。

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こうやって、1ページ、1ページが高速に、
だけれど繊細に刷り上げられていきます。

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工場内の湿度は富士山の伏流水でプシューっと。

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色別でも刷りましょうか? と
どこまでもご丁寧な図書印刷の皆様。
ちなみにこの印刷機は両面機。

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藍。

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黄。

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そして次は、カバー(表紙)です。
しっかりと丈夫な紙質も嬉しく
色の出方も絶妙です。

美味しいお寿司を作って自慢げに盛り付ける僕。

その実物のお寿司よりも美味しそうに撮影をされる
カメラマンの遠藤宏さんと三木麻奈さん。。。

その写真よりも美味しそうに印刷してしまう図書印刷さん。。。。。

負けじと今日も頑張ります!!

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カバーは片面機で印刷。
表面はニスを塗ります。
今回の本のように
通常は印刷後、丸一日しっかり乾燥してからラインに流すようですが

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最先端の乾燥方法として、UV(紫外線)で瞬間的に乾燥させる機械もありました。通常のインクも高価で素人目にはほぼ分かりませんが、若干光沢が落ちる程度の難点もあるようですが、優れものです。

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こちらがメインのインキ4色。
従来の石油溶剤ベースのインキを使用せず、
全て SOY INC(ソイ インク)。
すなわち、大豆インキです。
図書印刷さんの環境への配慮がここにも表れています。

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印刷された紙の細かな汚れや、不自然なものを
繊細に感知する部屋。

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×が付いている部分を目視でも確認するという。
ここでも人間が関わります。

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3月の印刷繁忙期にも関わらず、
すっきりと綺麗な工場内。

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こちらは断裁機。
あれだけの厚みの紙を一瞬で切ります。

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次は『折り』の工程。
国内では最大の36台もの織り機が一年中動き続けています。

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工場内のあちらこちらに見かける
社風を感じる言葉が記された吊り看板。

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丁合(ちょうあい)。
印刷された折丁(おりちょう)を1冊になるように
ページ順に集める作業。

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そして、糊(のり)付け。

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このあたりは機械が物凄いスピードで仕事をしていきます。

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食品の工場ならわかりますが、
金属探知機までありました!

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何か問題があればすぐにサイレンが鳴ります。

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本の形になってきました。

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帯付けなどもこのラインの最終工程にあります。


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ここまでの印刷とはまた別の印刷方法があるということで
この黒川紀章さん設計の建物とはお別れして
お隣りの建物へご案内いただきました。

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こちらの建物は
なんとあの建築界の巨匠、丹下健三さんが手掛けたそうです。
二大建築家がこの工場に携わっていたのです!
建った当時は全面ガラス張り。
屋根部分はアールに弧を描いて実にカッコイイ。
中に入ると天井も高く、柱をなるべく排したつくりです。

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レンガの壁もいい味が出てます。

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こちらは、桁違いの部数を印刷する際に使われるロール紙。

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印刷スピードが速過ぎて、
何を刷っているかはもちろん確認できません。

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これ。
本の丁合などに使う糊(のり)を溶かす前のもの。

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こんな糊もあります。

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溶かした糊を超高速で塗っていく機械。

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こちら側の工場では、あっという間に製本化され
ゴールに向かっていきます。

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このクレーンキャッチャーのようなもので縦横のハミ出しの微調整もしながら
パレットに積み込んでいきます。
ちなみに、
別の印刷会社さんになりますが、
この積み込み作業のアルバイトを
十代の頃、友人とやっていたことがあります。
筋トレと思ってやっていました。^^;


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『一冊一冊 心を込めた 作品づくり』

そう。
作品なんです。
この1冊に多くの人の思いと魂が込められ
世の中に飛び立っていく。

『一貫一貫 心を込めた お寿司づくり』

たくさんの食材魂を集約させて一つのお寿司にする。

業種は違えど、理念は同じ。そう思った瞬間でした。

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そして、ここが驚きの部屋。
調肉室(ちょうにくしつ)です。
特色という、
文字通り、特別な色を生み出す部屋。

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あちらこちらでお目かけするこの『COLOR GUIDE』は
図書印刷さんで作られていました。
というか、
図書印刷さんでしか作れない技術の集約されたものでした。

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赤だけでも何通り?
緑だけでも何種類?
僕の父親は塗装の職人なので、
このような色見本は家に沢山ありました。
お客様のご要望に応えるべく
絶妙な配合で色と色を混ぜて、を作り上げていく。
瞬時にして親父の顔が頭をよぎり、
親父を改めて尊敬しました。
(文章が過去形っぽいですが念のため、親父は元気にまだ生きてますよ。^^)

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こちらは、今回の版元さま
PHP研究所さんの歴代の特色インキの一部。
絶版になったもの以外は全て残しておき、
いつでもその特色が復元出来るように準備されている。

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あの色とあの色を合わせて、この色を生み出す。
職人さんの感覚と
これまでのデータ数値をもとに
お客様のご要望に確実に合わせていく色のスペシャリストが
この部屋にはいらっしゃいました。

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多くの教科書や辞書などを手がけられていらっしゃる図書印刷さんには
オリジナルフォント『図書文字』というものがあります。
誰でも一度は必ず目にしているはず!

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様々なジャンルの書籍まで。
ちなみに、コミックのシェアは日本一だそうです。

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改めて、スミ から始まる印刷の物語。

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藍、赤、黄。

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ピアノを弾くように両手で操作される
色を操るコンピューター。

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その刷り上がりを真剣に確認する印刷のプロフェッショナル。

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ただ刷られた印刷物に見えて、そこには
目に見えない深いストーリーがありました。

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多くの方々にチェックしていただき

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いよいよ完成を迎えます。
版元さまへ見本出しが届き、
その後いよいよ本番です。

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今回の本は
自分が寿司職人だからこそ
日本全国各地にある知らないお寿司を学び、継承していこうと取り組んでいる
『郷土寿司プロジェクト』のこれまでのまとめです。

季節のおうち寿司
2016年4月6日(水)発売
定価:本体 1,500円(税別)
PHP研究所
著者 岡田大介

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発売に先駆けて、ご予約受付を開始させていただきます。
日本のお寿司業界を真面目に盛り上げようと頑張っている岡田大介に^^;
是非、応援プレゼントのつもりでご予約お願いいたします。
また、お料理好きな方や食に関心の高いご友人様へのプレゼントとしてもオススメです!
美味しい特典付きの先行ご予約はこちらからどうぞ。
http://www.sumeshiya.com/news/2016/04/post-19.html