メープルシロップ・maple syrup
メープルシロップは、サトウカエデなどの樹液を濃縮した甘味料です。
独特の風味があり、ホットケーキやワッフルにかけたり、お菓子の原料として用いられています。
カナダの名産品として有名で、世界生産量の7,8割を占めています。
純粋なメープルシロップは、産出する樹種の分布によってカナダ南東部からアメリカ合衆国北東部にかけての生産が多く、
カナダのケベック州やオンタリオ州、アメリカのニューイングランド地方などで生産されたものがよく知られています。
こちらは、【Cadeau du Quebec (カド デュ ケベック)】
『ケベックからの贈り物』という意味のカナダ ケベック州の100%純粋なメープルシロップです。
グレードがいくつかあって、
こちらは、グレードA ゴールデンデリケートテイスト。
すごい名前が付いていますが、
収穫初期の稀少な樹液で作った製品で、透明度が最も高く、繊細な風味が特徴です。
原材料はメープルシロップのみ。
100g当たりの栄養成分としては
エネルギー 270lcal
タンパク質 0.1g
炭水化物 66.9g
脂質 0g
開栓後は要冷蔵でないと、カビ菌が生えることもあるということは
非加熱のハチミツのようにあまり強い菌体は含まれていないということですかね。
メープルシロップの歴史は古く、
アメリカ先住民によって先史時代から既に製造されていました。
現代では日本でも生産されています。
日本ではイタヤカエデから樹液を採取することが多く、
甘さが控えめで、さっぱりとした風味の製品が多いです。
日本のカエデから取れる樹液は、
サトウカエデに比べ糖分の含有量が少なく(イタヤカエデの場合、サトウカエデの約半分)、経済性が著しく劣ります。
このため、サトウカエデから作った製品に比べると割高で、
地域特産品といった付加価値を持たせる取り組みが行われています。
常温で固体状になるまで濃縮されたものは、
メープルシュガー (maple sugar) と呼ばれています。
メープルシロップを加熱濃縮した後、急冷しつつ撹拌してクリーム(バター)状にしたものは
メープルバター (maple butter) と呼ばれています。
カナダ ケベック州には、数千人もの生産者を会員とする
『メープルシロップ生産協会』があります。
高価格安定のために、販売量・価格設定・流通方法などを厳しく統制して、
同組織外での販売をした場合は罰金刑が課されることになっています。
シロップの等級は色、風味、糖含量で決定され、
琥珀色が薄く風味が繊細なほど高級となります。
カナダでは下記のような等級 (Grade) に分けられています。
Canada No.1 - エキストラ・ライト (Extra Light)
Canada No.1 - ライト (Light)
Canada No.1 - ミディアム (Medium)
以上のNo.1 等級は、
糖分66%以上に煮詰めたもので、混ぜ物は全く無く、色のみが異なります。
Canada No.2 - アンバー (Amber)
Canada No.3 - ダーク (Dark)
No.2 以下の等級は、
一般に加工用やオーブン料理、焼き菓子の照り付け(グレーズ)に使われることが多いです。
となると
Cadeau du Quebec (カド デュ ケベック)の
グレードAってのは、どれに位置するんだ??^^;
メープルシロップの収穫は主に、
『シュガーブッシュ』などと呼ばれるサトウカエデの木立の中で行われます。
サトウカエデの樹液を集め、『シュガーシャック』と呼ばれる小屋の中で沸騰させて濃縮させます。
現代ではホースを使う機械化が進んでいます。
樹種としては、『サトウカエデ (sugar maple)』 が最も一般的で
これから作られたメープルシロップの量・品質が高いです。
その他、
クロカエデ (black maple)
アメリカハナノキ (red maple)
ギンカエデ (silver maple)
シロスジカエデ (striped maple)
アメリカヤマモミジ (mountain maple)
ノルウェーカエデ (Norway maple) など、
日本ではあまりなじみのないカエデ類からもメープルシロップが生産されています。
樹液は、2〜4月の春先、
寒暖の差が最も大きくなる季節に、直径30cm以上の木に小穴を空けて採取されます。
採取の時期は気候によって異なります。
2% 〜2.5% の糖分が含まれ、季節によって異なりますが、
1本の木から約40〜80Lの樹液が採れます。
濃縮前の樹液は『メープルウォーター』と呼ばれています。
1Lのメープルシロップを作るためには、約40Lの樹液が必要になります。
採取シーズン序盤は高い糖分を含む樹液が取れますが、
後半になるにつれて糖分が薄くなり、最終的に約半分まで下がります。
この糖分の薄い樹液を品質基準を満たすまで煮詰めると、
シーズン序盤に採れた樹液よりも長時間加熱する事になり、色と風味が濃いものができます。
近年は、逆浸透装置である程度水分を抜いてから濃縮させる製法が普及したため、
以前ほど長時間煮詰めることはなくなりました。
ケベック州は世界最大のメープルシロップ産地で、
2001年には1,560万Lの収穫量があったそうです。
ケベックやオンタリオ州のメープルシロップ産地では、
シロップ収穫は文化の一部となっていて、
毎年2月の収穫の時期には『シュガーシャック』で祭りが催されています。
シロップ収穫期間中、ホットケーキやワッフルを食べさせるシュガーシャックも多く、
人気のあるシュガーシャックには行列ができます。
ケベック州やオンタリオ州では、
雪の上にメープルシロップを流しかけ、棒に巻きつけたりそのまま棒状で食べたりする「メープルタフィー」というものがあります。
地球温暖化が進むとカエデの分布が現在よりも北に移動することが予想されるため、
メープルシロップの産地では温暖化の地域経済に与える影響が懸念されています。
カナダの一部の州では、
樹木から採取した樹液に紅葉したカエデを漬け込むことで、
一般的なシロップよりも色彩を派手にした『クリムゾンメープルシロップ(crimson maple Syrup)』を作る風習が受け継がれています。
純正品のメープルシロップは比較的高価なものですが、
コーンシロップにメープルの風味や香りを添加した模造品が
『ケーキシロップ』などとの名称で純正品より安く広まっています。