しみ・シミ・紙魚・Zygentoma
[昆虫]
節足動物門
昆虫綱
シミ目
シミ目は、昆虫綱の1目です。
漢字で紙魚と名付けられた由来は、本などの紙を食害すると思われていたためです。
大きさは1cmくらいで原始的な特徴を持った昆虫の1つで、
地球に存在する100万種以上の全生物種の約6割を占める昆虫類のうち、
シミ目はごくわずかです。
昆虫としては原始的な無変態で、卵から孵化した幼虫は成虫とほぼ同じ形で、
蛹(さなぎ)などの段階を経ないまま脱皮を繰り返して成虫となります。
脱皮によって変化するのは大きさだけで、形態の変化はほとんど見られません。
しかも、成虫になっても絶えず成長し続けるため、一生脱皮し続けます。
さらに、生まれたばかりの幼虫でも生殖器が発達しており、
交尾・産卵が可能です。
体はやや偏平で、細長く、頭には長い触角が伸びています。
写真の触覚の1本は短く欠損しているようです。
体表面には鱗片が一面に並んでいて、
動きが速く、くねるように走るため、「魚」の字が充てられています。
昆虫としては比較的寿命が長く7,8年生き、
エサが何もない状態(絶食状態)でも1年以上生きるとも言われています。^^;
書籍や古文書などを食害することで知られていますが、
特に糊付けされた紙を好み、本の表紙や掛軸などの表面を舐めるように食べます。
ゆえに、本棚や書籍の近く、あとはトイレやお風呂場、薄暗い部屋の壁、
布団や障子や畳の上でなどにも現れます。
基本的に、人体への影響はないようです。
ゴキブリよりもさらに前に存在していたとされるシミの起源は3億年以上前と
推定されていますが、現在のものと形態はほとんど変わっていません。
シミ(紙魚)は晩夏に分類される季語で、度々俳句にも登場します。
源氏物語にも、『しみといふ虫のすみかになりて、ふるめきたるかびくささながら、
あとはきえず(シミに食べられて古くカビ臭いけれども、文字は消えずにはっきり残っている)』と登場しています!
かなり前から、書籍や掛け軸に発生しやすい虫として認識されていたようです。