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くりおね・クリオネ・Clione・Clione Pallas

[海の生き物]

動物界 Animalia
軟体動物門 Mollusca
腹足綱 Gastropoda
裸殻翼足目 Gymnosomata
(後鰓目 Opisthobranchia)
(裸殻翼足亜目 Gymnosomata)
ハダカカメガイ科(クリオネ科) Clionidae
クリオネ属 Clione
クリオネ


日本では『ハダカカメガイ・裸亀貝・Clione elegantissima』 と
『ダルマハダカカメガイ・達磨裸亀貝・Clione okhotensis』が知られています。
ギリシア神話に登場する文芸の女神たちムーサイの一柱クレイオー(Κλειώ, ラテン語形 Clio)に由来しています。

巻貝の仲間です。
生まれた時は、壺状の貝殻を持っています。
この時期は、『ベリジャー幼生』と呼ばれます。
体の大きさは、0.1〜0.15mmで、植物プランクトンを食べます。
成長とともに貝殻が退化して、
約2週間で完全に貝殻がなくなり、泳ぎやすい体の構造に変態します。(裸殻翼足類共通の特徴です)。
この状態を『多輪形幼生(たりんけいようせい)』と言います。
体の表面に生えた細かい毛(繊毛-せんもう-)を動かして、もぞもぞと泳ぎます。
体の大きさは、0.5mm程度です。
ここからは、肉食性に変わります。
成体になると、翼足(よくそく)という羽のような部分ができます。
体は透明な部分が多く、体の前半に局在する内臓のみが不透明です。
胴体の前部に透明な1対の翼足 (pteropods) があり、翼足を動かして遊泳します。
この姿から『流氷の天使』あるいは『氷の妖精』と呼ばれ、英語では 『sea angel』 とも呼ばれています。
ただしsea angel はもっと広く、裸殻翼足類の総称的に使われることが多いです。
大好物の貝、ミジンウキマイマイを捕獲するときなどに
頭が割れて『バッカルコーン・buccal cone(口円錐)』と呼ばれる触手が6本飛び出し
これで獲物を捕まえて食べます。
この6本の触手があることでクリオネと定義されます。

両極をかこむ寒流域に広く分布しています。
日本でも北海道沿岸の海で『ハダカカメガイ・Clione elegantissima』 が一年中見られます。
カナダ西海岸のクリオネは、体長が一回り大きく、食物の違いで内臓が緑色をしている場合もあります。
オホーツク海沿岸では、冬に見られる「冬クリオネ」、春に見られる「春クリオネ」が存在し、
体サイズも出現時期や場所が異なりますが、遺伝的に同一種であることが判明しています。
2017年に富山湾で世界最小となる5種類目の新種が発見されました。
日本海の固有種とみられ、深海の低水温帯にも生息域があることが明らかとなりました。

【地球にいる5種類のクリオネ】
ハダカカメガイ Clione elegantissima Dall, 1871
ダイオウハダカカメガイ Clione limacina (Phipps, 1774)
ナンキョクハダカカメガイ Clione antarctica (Smith, 1902)
ダルマハダカカメガイ Clione okhotensis Yamazaki & Kuwahara, 2017
2017年新種(富山湾)(まだ名前が付いていません。)