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小林千恵 (陶芸家)

[陶芸家]

酢飯屋には彼女の作品があちらこちらに潜んでいます。

小皿、片口、茶碗、平皿、急須、土鍋とありとあらゆる器。

その中でも是非、皆様にもお使いいただきたいのが

『醤油さし』。

この醤油差しに出会うまで、
酢飯屋の醤油さしは100円均一の醤油さしでした。
本物に出会うまでは、中途半端を使わず最低限を使う。
これが酢飯屋の考え方。

そしてやっと出会えた本物の醤油さし。

それが彼女の作品。

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醤油さしにあってはならない液だれを全く感じさせない
キレッキレの注ぎ口。

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彼女の作り出すの優しい質感とこのキレとのギャップに
一度使ったお客様はその場でご注文くださるほど。

運命的なお醤油差しにまだ出会っていない方。
是非、この機会に手にしてみてはいかがでしょうか?
酢飯屋には常に置いてございますので実際に手にとってお試しいただくこともできます。

価格は1つ 5,000円(税別)。

大切な方へのプレゼントに。
もちろん、ご自宅用に。

神楽市場ホームページよりご注文いただけます。

【小林千恵さんの醤油さし】

ご注文から完成まで
約3か月ほどいただいております。

さて、そんな彼女のプロフィール。

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1974年4月8日 神奈川県横浜市生まれ。
5歳で富士山初登頂。
埼玉県狭山市で幼少期を過ごし、9歳で神奈川県藤沢市に移る。
クヌギ林の森から湘南の海に遊び場が変わる。
遊びに夢中になり過ぎて、すぐ日暮れになっていることも、しばしばだった。
狭山での遊び方は原住民の家を木で作る。火をおこす。
椿のつぼみを野菜に見立ててままごとをするなどが好き。
藤沢に移ってからは、海まで徒歩2分の家だったので、もっぱら遊び場は海や河口付近。
川を横断するといったアドベンチャー系。

小林千恵 ホームページはこちら。
http://members.jcom.home.ne.jp/kobachi.net/

自然が好きな一方、小学生のころは書道・水泳・フルート等を習う。
フルートの発表会は全く緊張しない、本番に強いタイプ。
海岸沿いを走るマラソン大会では常に上位に入る。
小学生のころは学年2位。中学生のころは学年6位など。

陶芸に初めて触れたのは小学4年生。
家の近所のコスモスの咲き乱れるギャラリーにてマイ湯呑を買ってもらう。
口当たりのいいものを一つ一つ確かめ、自分に合ったものを選ぶ。
中は黄瀬戸・外は織部釉の汲みだし湯呑。
将来自分で作った器で御飯が食べたいと思う。
2つ目のマイ湯呑は粉引き、少し大き目のたっぷりサイズ、馬場浩二さん作。
3つ目の作品は炭化の鉢、筒見修さん作。

小学5年。
公民館で作った湯呑が小鉢になって難しいな~と実感するも、
四角い形にして、ゆがみを目立たなくさせるなど、小細工を駆使。
朝食に使うパンかごを作り大物にもチャレンジ。

中高はソフトボール部に所属。
小柄だったので、バッター2番セカンドのポジション。送りバント専門。
中学時代は県大会4位。
高校受験の際に美術系の学校を進められるが、学費が高すぎて断念。
大学で十分だと先生を説得。
高校で良き美術の先生に巡り会い、武蔵野美術大学専門のアトリエを紹介してもらう。
藤沢から横浜まで1年半通う。

武蔵野美術大学に無事に入学し、電動ロクロにはまる。
毎日22時過ぎまで陶磁工房でロクロと格闘し、終電で帰る日々を過ごす。
1年目は土のもの。
2年目の夏に磁土に初めて触れ、ババロアのような質感に魅了される。
19歳でバイクの免許取得。ホンダ レブル購入。

大学を卒業後、陶芸教室の講師のアシスタントをしながら今後について悩んでいたら、
大学の研究室から紹介され、瀬戸の田尻誠さんに弟子入り。
2年間弟子入り修行。
急須やポット、土鍋の作り方をじかに見て学ぶ。
瀬戸でバイク仲間とダートを攻める。レブルからヤマハ ブロンコに乗り換える。

大学時代の友人と登山に行くようになる。
木曽駒ケ岳・雲取山・燕岳・常念岳・富士山など。温泉も好き。

1999年4月、地元神奈川に戻り、横浜市陶芸センターの助手をしながら、作家活動を始める。
5月、リビングデザインセンターOZONEにて、日野明子さんとの出会いがあり、
色々な展示会に参加する機会を得る。
日本クラフト展入選。

海外の作家に興味があり、スウェーデン・デンマーク・ニュージーランドの女流陶芸作家の工房を訪ねる。
いつか海外で展示がしたいと強く願う。

2002年 神奈川県三浦郡葉山町に移住。
山と海に囲まれた憧れの葉山に住む。
海が近かったので3日に一度は釣りに出かける。穴釣り、狙いはカサゴ。

2005年 築窯。常滑 伊藤製作所の12KWの電気炉。

2006年 窯場で怪我。右腕3カ所脱臼するも医者が気付かず1カ月外れたままで過ごす。
骨折と間違えギブスをされた日にラーメンを食べに行き、左手でラーメンが食べることに気がつき、左利きなのかも?が発覚。
整体ではめてもらって1カ月ぶりのロクロに幸せを感じる。
作った作品が高岡クラフトコンペに入選する。
脱臼の後遺症でスロットルが握れなくなり、バイクを手放す。

2007年 初海外展示。オーストリアの国際陶磁器コンペティションに通る。
2008年 オーストリアの巡回展にも参加。オーストリアの陶芸雑誌「Neue Keramik」に作品を紹介される。
2009年 ポルトガル・スロヴェニアの国際コンペに入選。
2010年ドイツのコンペに入選。ドイツの銀行「Nassauischen Sparkasse」に作品の収蔵が決まる。
オルデンブルグ(ドイツ)のクラフトフェアに参加。

2011年 横浜市本牧に移住。
震災以降、海外コンペの応募をやめ、日本での活動に力を注ぐ。
国際陶磁器コンペティション美濃に入選。
静岡県笹間町で開催された国際陶芸フェスティバル・益子 陶ismにて、うつわ謙心さんに出会う。

2013年3月 うつわ謙心さん企画、酢飯屋 水道ギャラリーでの展示に参加。
同年11月 酢飯屋水道ギャラリー個展。

2015年7月現在 横浜市在住。横浜市陶芸センター講師。 

2015年 ファエンツァ国際陶磁器展入選。20年越しの夢、イタリアでの展示を果たす。

【醤油差しを作ったきっかけ】
2013年3月に酢飯屋水道ギャラリーで開催された「野菜をたのしむうつわ展」にて初の醤油差しを出品。
器に厳しい目を持つ「うつわ謙心さん」にお誘いを受けた展示。じつにワクワクして制作したのを覚えています。
色々なアイテムを制作し、良い作品を作ろう!!と意気込む。

注器が得意な先生について学んだ修行時代。
その成果をいつか、形にしたいと思い、今までは急須やポットは制作し続けていました。
そして、展示会の2週間前、唯一の師匠が亡くなりました。
これは、本気で注器を作る時が来てしまったと受け止める。
醤油差しは垂れてしまっては、使いものにならない。
陶芸作家の力量が問われます。
デザインよりも使い勝手に重きを向き、切れが良いことだけに集中して、シンプルな醤油差しにしました。
3月の展示で酢飯屋 岡田大介さんの過酷な醤油差し検定に通過した白磁醤油差しが誕生。
これは自信を持って、醤油差しを作り続けていこうと、
同年11月に酢飯屋水道ギャラリーにて個展を開催するにあたりDM作品を醤油差しにする。
(注器とは、注ぐ器のことです。片口・醤油差し・ポット・急須類をさします。)

醤油差しを作る工程
醤油差しなので、汚れが目立たないように、吸水性が少なく、形を作りやすく、硬質な質感のする半磁土を使用しています。
形を作るときに、まず簡単なスケッチをして、イメージを固めます。

醤油差しの場合は、本体・口・フタを別々に作っています。
一度に10個くらい、まず本体を作ります。
張りのある丸みになるように壺のような形に成形します。
この醤油差しはとてもシンプルなデザインです。
かえって、どこかに特徴を持たせていない分、ちょっとしたカーブで全く違う雰囲気に出来上がります。

それから本体の大きさにあわせて、口・フタを作ります。
口を作る工程が一番神経を使います。
口は細いので竹串を使用しながら一輪差しのような形に作ります。
筆を使用して注ぎ口をV字にします。粘土がとても柔らかいので、一発勝負です。
この工程で水切れの良さが決まります。
少し乾いたら下半分を斜めに切って本体と組み立てます。

酢飯屋オリジナルのしのぎ模様の醤油差しは縦に削り模様を入れています。
表面を縦縞模様に削ることで、手で持ったときに滑りにくいようになっています。

フタの削りは2回に分けて行います。
まずはざっくり削って、大きめ(本体から蓋が少し浮いた状態)に削っておきます。
それから完全に粘土を乾かします。
乾燥による粘土のひずみやゆがみが生まれにくい状態にしてから、サイズがぴったりになるように最終的に蓋合わせをします。
超鋼カンナを使ってミリ単位で削るので、白い粉状の粘土が飛びます。
フタ合わせのサイズ感覚は師匠からの直伝です。

一つの本体に3つのフタを作っておくことが理想なので、フタはいつも多めに作っておきます。
フタの内側部分に抜きの削り目を入れて、焼きの工程に入ります。

まずは窯に入れ750度で素焼きをします。9時間かけて焼き、冷めるのも大体同じ時間がかかります。

釉掛けの工程です。釉薬はガラス状に表面に膜を貼り、強度を持たせ、汚れにくいようにします。
釉薬は色々な鉱物を調合してオリジナルのものを作っています。
水と釉薬が半分半分になった液体の中に2秒ほど浸けてコーティングさせます。
液体が分厚くかかってしまったところを削り、均一な厚み(0.7mm)に仕上げます。

窯に作品を入れ、1260度で焼成する本焼きの工程です。
17時間ほどかけて焼き、作品が完成します。

器を作るときに考えていること
インスピレーションは自然の中に存在する美しさです。
葉っぱの形・流れる雲・川に落ちる雨粒の波紋。空気感。
使うことを考えてつくる場合は数少なく、美しい形であることに重点を置いています。
電動ロクロで形を成形している時間は短く、一瞬で形が変わってしまします。
美しい形になった瞬間に気がつき止めることが大事です。
遠心力をコントロールし、回転スピードに乗って一気に粘土を延ばすのが電動ロクロの面白いところです。
回転とスピードがうまく合わさると、粘土は自由に伸びていきます。
リズム感が大事で、気持ち良く形が出来ると陶酔してしまいます。
ほとんど、頭は使っていません。
むしろ、粘土になるというか。なんというか。粘土が友達?みたいな。
キャプテン翼ですね。

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作品を通して伝えたいこと
生活の道具である器たち。
使っているときは陰の存在。
使っていないときは彫刻のように、置いてあるだけで存在感のあるたたずまいのあるものになればいいなと思っています。
器を使うことで日々の生活が楽しくなることが理想です。

好きなものは
自然の風景。水の変化。日常にあふれる自然現象。
建築。
雲・青い空・イスラムの陶器・中国の汝窯の青磁

好きな色は
青です。空の青・水の青。イスラム寺院の青いタイル。

今後のビジョン
陶芸を始めて20年がたちました。作る喜びが、伝える喜びに。器を通してどんどん世界が広がって、幸せな気持ちが広がるのが理想です。

以下、
彼女の作品の一部を
2013年11月に開催した水道ギャラリーでの個展や
2013年6月の風鈴展
2013年3月、野菜をたのしむうつわ展の模様より

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