潮かつお
創業明治15年
静岡県 伊豆 田子節・潮鰹の
『カネサ鰹節商店』さんにお伺いしてきました。
有りそうで、無い、現在日本で唯一のここだけで作られているもの。
それが
『潮かつお(しおかつお)』です。
(左)酢飯屋 岡田大介(中)カネサ鰹節商店 芹沢安久さん (右)奥様
作業前の風景
芹沢さんが手に持っているものが
昔は2000本ほど作っていたが、今は半分になってしまった潮かつお。
お正月にだけ作る神聖なもの。
お正月に神様に奉納して祈り、三が日が過ぎると
近所のみんなで食べるのが潮かつおの文化。
魚を愛する人間の一人として、
藁(わら)を纏った鰹の姿を見て、
魚愛の真髄を感じました。
ここ西伊豆は昔、
かつお漁船40槽、かつお加工屋が60軒あったそうです。
しかし、
かつおが獲れなくなると
漁船がなくなり、
祭りもなくなってきてしまいました。
芹沢さんは、
この文化を絶対に残したい!
ということで
一般の方にも潮かつおを受け入れていただけるよう
まずは入り口として
さまざまな加工品を作ったところ、
『神様の食べ物を加工するな!』と怒られたそうです。
継承するために行動したのに。
潮かつおは『荒堅魚(あらかたうお)』ともいい、
日本で唯一、静岡県 西伊豆 田子で作られています。
塩分濃度は20パーセントほど。
粗塩で2週間漬けて3週間ほど日陰で干します。
日陰でじっくりと干すことで鰹の水分が出やすくなるそうです。
ちなみに、
本枯節は『煮堅魚(にかたうお)』と呼ばれるそうです。
今はなぜ、潮かつおが流通しないのか?
それは、
鰹が生で食べられるインフラが整ったから。
塩漬けにして保存性を高めて流通させなくても
冷蔵、冷凍で流通出来る時代になったからですね。
原料となる鰹ですが、
中部太平洋(赤道近く)の脂の無い鰹(かつおぶしに適している)を
静岡県焼津で水揚げ、冷凍し、かつおぶしなどの様々な加工品になります。
かつおは、見た目でオスとメスを見分けることが困難です。
お腹を切って初めてわかります。
かつおは、生まれた瞬間から泳ぎ、酸素を得なければならないので
速く泳ぐためにウロコが少なく進化したと言われております。
鰹節の作り方は、
まず90℃で約2時間ほど煮込みます。
煮込んで冷めると堅くなります。
ここで骨を抜いたものが『なまり節』になります。
なまり節を燻乾燥(くんかんそう)させます。
普通、一般的には60℃くらいの密閉空間で中まで満遍なく水分を抜きます。
が、カネサ鰹節商店さんでは
手火山式焙乾法(てびやましきばいかんほう)という、
要するに、直火製法です。
かつおぶしを密閉空間に閉じ込めず、
人間も同じ空間を共にするため、
煙も吸うし、何より熱い。
最も危険な方法と言われておりますが
最もかつおぶしを美味しくする方法だとも言われております。
一般の倍の120℃を超える熱さで4,50分、
一気に表面を硬めて中に旨味を閉じ込める匠の技です。
かつおぶしは、世界一硬い発酵食品と言われております。
ちなみに、世界二は、干しアワビ。
世界三は、干し肉だそうです。
日本最古の本枯節の作り方は
180年代初頭、静岡賀茂田子鰹製造法
麹菌を付けることで
かつおぶしの水分を取る。
カビを多めに付けて、
天日干しで殺菌、またカビが出てきて、天日で殺菌。
これを4回以上繰り返せば、
一般的には、かつおぶしの最高峰『本枯節(ほんがれぶし)』と呼ぶことができる。
しかし、田子の手火山式は水分が多いので
20日から30日間、カビが生えなくなるまで
これをなんと6回から8回も繰り返します。
完成のチェックは、打音で金属音を職人の耳で聞き分けます。
この日は、カビ付けの前の工程までを見せていただけました。
先日、カネサ鰹節商店の芹沢さんの
潮かつおの勉強会が行われるということで、
潮かつお料理をケータリングさせていただきました。
会場:HAPON新宿
東京都新宿区西新宿7-4-4 武蔵ビル5F
かち栗の山椒いろり煮
※鰹色利(堅魚煎汁)-かつおいろり-は
鰹節を作る最初の工程で、
かつおを煮込む時の煮汁をずっと煮込み続けて
漉して煮込んで作るもの。
700リットルが4リットルになるまで煮詰める。
実際に出汁の起源(高級版)と言われていて
庶民の出汁の起源は、潮かつおを焼いたものでとっていたそうです。
断面が七色に輝く潮かつお(生)
無漂白かんぴょうの潮かつお煮
潮かつおの粉末でいただく焼きレンコン
酢飯屋ちゃんという牛さんを潮かつおと落花生ボールで
かつおの塩辛
潮かつお燻焼き
他、酢漬けなまりぶし寿司、大根とかつおの塩辛汁
をメニューに組みました。
(左)カネサ鰹節商店 五代目 芹沢安久さん (右)酢飯屋 岡田大介
(左)こめみそしょうゆアカデミー 事務局長 堀田雅湖さん
船主×船員×神様
地元の漁師さんの間では
潮かつおを食べて契約を交わすほどの神聖なもの。
自分たちがこれから、
失礼の無いように、いかに継承させていただける一部分でも担えるか。
日々の生活に上手に取り入れていけたらと思います。
カネサ鰹節商店さん
静岡県 賀茂郡 西伊豆町 田子600-1
電話番号 0558-53-0016
ホームページ http://homepage2.nifty.com/kanesa16/