えぞいしかげがい・エゾイシカゲガイ・蝦夷石陰貝・Clinocardium californiense
1998年 僕がすし修行を始めて間もない19歳の頃、
東京の築地市場の貝専門の仲卸さんで
初めて目にした「エゾイシカゲガイ」。
当時築地では、「イシガキガイ」と呼ばれていたのを覚えています。
岩手県陸前高田市
広田湾の海で養殖されているエゾイシカゲガイは、
マルスダレガイ目
ザルガイ超ザルガイ科
イシカゲガイ亜科
イシカゲガイ属です。
エゾイシカゲガイの養殖は、砂を入れたタライを海中に吊るして行われています。
エゾイシカゲガイの養殖発祥の地は、岩手県陸前高田市の気仙町地区で、
事業ベースで養殖を行っているのも、
全国では広田湾漁協のみとなっています。
エゾイシカゲガイの水管
水管が片方閉じました。
エゾイシカゲガイの無給餌貝類養殖を成功させたのは小泉豊太郎さん。
トリガイ養殖試験中にタライの中に見たこともない貝を発見したところから
始まっています。
貝殻左側から
小月面(しょうげつめん)・外靭帯(がいじんたい)
殻の間から入水管(にゅうすいかん)と出水管(しゅっすいかん)が確認できます。
こちら側からは、エゾイシカゲガイに2つある貝柱(閉殻筋)の内の一つが確認できます。
閉殻筋(へいかくきん)は、白くて縦に筋があります。
殻と殻の間に見える外套膜(がいとうまく)部分、
通称「ヒモ」のデザインが意外と野生的で美しいです。
殻と外套膜がともに開いてきました。
外套膜と外套膜の間から出てきたのは、
エゾイシカゲガイの足です。
この足を伸ばして、動き回ります。
こちらが、エゾイシカゲガイが足を使って動く様子をショート動画にしたものです。
Dancing Clam!「エゾイシカゲガイ」が大暴れ!
2015年
息子たちが初めてエゾイシカゲガイに触れた時のリアクション映像です。
見様見真似でエゾイシカゲガイを貝剥きしてみたい長男くん。
エゾイシカゲガイの剥き身
器:田子美紀さん
酢飯屋でのエゾイシカゲガイがおすしになるまで
器:望月万里(もちづきばんり)さん
酢飯屋名物「エゾイシカゲガイの叩きずし」
器:馬場光二郎さん
酢飯屋では、エゾイシカゲガイはすしとして握らずに
酢飯のみを握り、醤油をちょこんと垂らしておきます。
その横に、エゾイシカゲガイをそーーっと置きます。
少しでも刺激を与えると硬くなってしまうからです。
【エゾイシカゲガイの叩きずしの食べ方】
1.醤油のついた酢飯を口の中に入れ、噛まずにキープしておく
2.利き手でエゾイシカゲガイをそーっと持ち、お皿の中央に音が鳴るくらい強めに叩きつける
3.ギューっと硬くなったエゾイシカゲガイを3秒以内に口の中に入れ
口の中ですし化する。
また、酢飯をあらかじめ入れずに
このように、硬くなったエゾイシカゲガイをすぐに酢飯にのせて食べる方法もございますが、叩いたあと、すぐに食べないと
徐々に身の硬さが緩まってきてしまいます。
このくらい、そそり立っていれば問題ありません。