むつごろう・ムツゴロウ・鯥五郎・Mudskipper・Boleophthalmus pectinirostris
スズキ目ハゼ科ムツゴロウ属ムツゴロウ
有明海(ありあけかい)。
ムツゴロウが求愛のダンスを踊る。
その瞬間を撮らえるために
この日も数人の方々が望遠カメラを構えておりました。
今回、『むつかけ』名人にその伝統漁法を見せていただけることになり
向かった佐賀県。
『むつかけ』とは、
専用の道具で、ムツゴロウを引っ掛けるようにして撮る漁法のこと。
名人の登場です。
テンガロンハットに、デニムを短パン丈に切り裂いたスタイル。
ムツゴロウ漁歴40年を超えるワイルドな出で立ちの岡本さんです。
桶と竿をサッともって、早速 海にご案内してくださいました。
先ほどまで海だった場所が
あっという間に潮も引き、干潟(ひがた)の登場です。
日本一の干満差がある海。 それが有明海の一番の特徴です。
見渡す限りの干潟。
まずは、捕獲したムツゴロウを入れておく桶を海水で濡らします。
寿司屋がすし桶を使う前に濡らす場面と勝手にリンク。
そして、こちらが 潟スキー(がたスキー)と呼ばれる
ドロドロの干潟の上をスイスイ移動できる道具です。
サーフボードのレンタル屋さんみたいになってます。
有明海以外で見たら、完全にサーファーです。
ムツゴロウがどこに多くいるかを見定める岡本さん。
よーーく見ると、ちょこちょこと飛び跳ねているのが確認できますが
その容姿までは裸眼では確認できない感じです。
近くで飛び跳ねないかなー?と
見渡しますが、
警戒心が強いムツゴロウは人の気配を感じる距離だと
顔すら出してくれません。
こちらが『むつかけ』の針。
形がとてもカッコいいです。
サーフィンのようにパドリングすると
泥だらけになってしまうので、
片膝を板について、
もう片方の足で、泥を蹴りながら進むのですが、
岡本さんがスイスイいくのに、
僕はズブズブと沈んでいきます。。。
ムツゴロウに気がつかれないように
近づけるだけ近づいて、息を殺します。
いよいよ『むつかけ』開始です。
3メートル以上の長い竿を
あの干潟の中で自由に操る様は、
まさに名人でした!
遠く離れたところからムツゴロウが出てきた所の50センチほど先に釣り針を落として
一瞬でムツゴロウに引っ掛け、引き上げます。
えええええええええええええええ!!!!!!
もう、引っ掛けてる!!!
見えますかね、あの宙に浮いている黒いの。
ムツゴロウよりも少しだけ奥に針を落として、
一気に引き上げて引っ掛ける。
まさに『むつかけ』!!
ムツゴロウを追い、どんどん奥に進む岡本さん。
僕は潟スキーに乗りながら撮影していたのですが、
この板の上でバランスをとって、
このドロドロぬるっぬるの泥の上で
あんなにヒュッヒュと竿を振れる岡本さんを
尊敬の眼差してみていました。
そして、遂に生きているムツゴロウとご対面!!!
感動。
可愛すぎる。
そして、何この Light Blue!!
質感。
歯がまた可愛い!!
他に見たことがないこの様々なバランスに
興奮状態。
この不規則にあるドットは、絶対 暗号だと思う。
青い空バックにパチリ。
もう、ずっと写真撮っていたい。
体長は15cmほど。
口はこんなに大きく開きます。
人差し指、軽く入ります。
そして、
このハート型の目!!!
頰のデザインも魅惑的。
ムツゴロウはエラ呼吸だけでなく
皮膚呼吸もできる魚。
そのため、海水が引いた干潟の上でもいられる。
胸ビレと尾ビレの筋肉が発達していて
干潟を飛び跳ねたり這った李りできる。
危険を感じると素早く干潟の穴の中に隠れてしまうため
なかなか近くで見ることが出来ず
捕まえることは難しい。
あっという間にムツゴロウ漁を終えて
スキー板を洗い場へ。
たった数分でこれだけのムツゴロウを!!
笑顔の岡本さん。
僕は汗だくで、下半身は泥だらけパンツ一丁です^^;
今回、この生きたムツゴロウを
東京まで持ち帰らせていただけることにしました。
飛行機のカバンの中、
帰りのタクシーの中でもずっとゴソゴソ。
自宅に到着。
元気の良さは変わらない。
とてつもない生命力。
そう、僕はお寿司屋さん。
ムツゴロウを生で食べて見たい。
地元の方々も生ではあまり食べないと聞いておりましたが、
食べられないわけではない。と。
3枚おろし。
!!! 赤身だ!!!
皮を引いてみると、
こんなに綺麗な身質。
そして感想は、
赤身の旨味と
光り物脂の旨味、
白身の食感と歯ごたえ。
ムツゴロウはお刺身で美味しくいただけること、
お寿司にしても美味しくいただけることが判明しました!!!
焼いたムツゴロウを使って作る
佐賀県白石町の郷土寿司
『須古寿司(すこずし)』については
こちらからどうぞ。
郷土寿司プロジェクトホームページ