藍染絣工房(福岡県八女郡広川町)
藍染絣工房(あいぞめかすりこうぼう)
山村さんのところにお伺いしてきました。
パシーン! パシーン!
え!!何をされているんですか!?
綺麗な藍色に染まった糸の束を叩きつけている
キリッとカッコイイお兄さん。
山村研介さん(33才) 2017年現在
藍は、
染料は茶色いんですが、酸化して初めて藍色になるんです。
叩いて、叩いて、空気を入れて、
括ってある際まで空気を入れていかないと、
そうしないと色がぼやけるんですよ。と。
まさに染め作業中の山村さん。
以下の写真
みなさま、何かお気づきになることはありませんか?
山村さん、裸足!
そこもですが、白のパンツに汚れ一つ無し!!!!!
それだけではなく、
この作業場自体が本当に綺麗なんです!!!!!
仕事が綺麗という表現ではしっくりきません。
その動きには全くの無駄が無い。
まさに所作というレベル。
絞って見せてくださった藍の染料は確かに茶色でした。
そして、この液体、生きてます。
枯草菌(こそうきん)がたっぷり発酵しています。
なんという色合い。
言葉が出ません。
こちらが染料の染に草冠がついた文字『蒅』とかいて『すくも』と呼ばれるもの。
徳島県の蒅が最上ということで、このように仕入れて置いてあります。
日本三大暴れ川としても有名な四国の吉野川。
洪水、氾濫があればお米がとれません。
ならば台風が来る前に収穫できるものということで
藍の栽培がされるようになったそうです。
藍は栄養と水をたっぷりと必要とする植物。
藍師さんにとっても、草取りの手間は大仕事だそうです。
こちらが染料を混ぜていた道具。
日本酒造りの際に杜氏さんが櫂でかき混ぜているようにも見えました。
濃度の違う染料が並びます。
甕(かめ)に入れて再度発酵された藍。
アルカリ性の高い灰汁の中に色を溶かし込む作業。
蒅は沈殿。
バクテリアの管理も山村さんの大切な仕事の一つです。
デニムなどは、ハイドロなどで強制的に染める文化。
そこには、バクテリアは一切関係しない。
インディゴは色抜けしやすいのに対して、
本藍は、バクテリアが細かく入り込んでいくため
染めが落ちにくいということ。
濃度が薄いものから染めていく。
真ん中のくぼみは、火所。
薄い染料ももっていないと
様々な中間色が表現できない。
ようするに、グラデーションが細かく刻めない。
藍の花の鮮度の目安を泡ではかる。
染料の状態をみるのに、
山村さんは舌を使い、味見もするそうです。
PH(ペーハー)が上がって雑菌が増えても
アルカリ性に無限に耐えれるのが藍菌。
浸けて、絞って、たたく。
5回ほど繰り返すと薄い色。
限りなく黒に近い、濃い藍色を出すには
これを50回も繰り返すそうです。
染めるだけでなく、
絣(かすり)を手織りまでするのが、藍染絣工房さん。
設計した生地のデザインがずれないように織るのだけど
少しだけずれてしまう。
要するにかすれてしまう。
絣の魅力はかすれているところにあるんです。
貴重な和綿。
普通の水でアク抜きの工程。
小さな不純物を取ることで
紫外線での劣化やヤケを防ぐことができるそうです。
そして、藍染の一番のメンテナンスは洗うこと。
目に見えない不純物が何度も洗うことで生地からなくなり、
最強の藍染生地になるんです。
4代目の山村健さんは言います。
『絣の先駆が久留米、プリントと絣の全く違う世界を知っていただきたい。化学染料は劣化しあせていくけど、藍染は経年変化を楽しむことができます。』
健さんの奥様が庭の葉でささっと作って見せてくださったバッタ。
季節の植物とお菓子、美味しいお茶に藍染だらけの空間。
見るものすべて写真に撮っておきたいような
模様と藍色。
あの工程を80回繰り返し、染め上げられたコースターなどもありますよ!
是非、福岡県八女に行かれた際には
訪れてみてください。
ちなみに
伝統工芸品としての久留米絣の定義は
この藍染手織のみとのことです。
藍染絣工房さんの藍染の無地のもんぺやクッションカバーは、
うなぎの寝床さんにひっそりと販売されています。