ブログ

響屋大曲煙火株式会社

[記録]

hnb15.jpg

秋田県大仙市(だいせんし)

花火で有名な大曲(おおまがり)に来たからには、
是非その花火の作り方を知りに現場を見に行かなければと、
1894年(明治27年)創業
響屋大曲煙火(ひびきやおおまがりえんか)株式会社さんにお伺いしてきました。


 

hnb11.jpg
今回、花火作りの工程をご案内くださった、
花火師で工場長の今野さん。

hnb14.jpg
火気厳禁という看板。
普段生活していても、ちょこちょこ見かけるこの看板ですが、
この場においては、さすがに肌で感じるほど火気厳禁です。
この中に入って花火を作っている方々は皆、花火師さんです。
女性も多く、年齢層も若い印象でした。

【花火作りの工程】は、
各社シークレットにしておかなければならない工程が色々ありますため、
今回撮影させていただいた写真は、このブログに公開は控えさせていただきます。
問題無い部分のみUPさせていただきます。
道具類も含め、とにかく料理の工程に見えるような箇所が多くありました。

hnb18.jpg
顔まで真っ黒にして仕事をしていた
花火師の大黒さん。
【配合工程】をされていました。
様々な薬品(酸化剤、可燃剤、色火剤等)を計量します。
小麦粉や粉砂糖など粉物食材を扱っているようにしか見えなかった工程。

aIMG_8019.jpg

次に『ふるい』を通し混ぜあわせ、均一にして不純物を除きます。
この作業で色を出す火薬や音を出す火薬、
爆発させる火薬など様々な火薬を製造します。
各業者によって配合の比率が違い企業秘密になっています。

火薬だらけの敷地内。
普通に工場内でつけている蛍光灯なども万が一破裂すれば
危険ですので、それを守る特別な蛍光灯。(見たこともないやつ)

aIMG_8021.jpg

とか、
万が一の事故が起きても全てが爆発しないように、
工程工程によって、製造現場がすべて離れた場所にあったり、
その各部屋は四方をコンクリートで覆われているのに、
天井だけは木造にして、
万が一爆発したら、横に広がらず上に抜けるようになど
火気、電気系は一切無い感じでした。
部屋に入る前に静電気を除去機にタッチしてから入ることも当たり前。

aIMG_8022.jpg

雪国、秋田の真冬でもストーブはつけられないので、
特殊な床暖のお部屋もありました。

hnb54.jpg
お玉や、ボール類。
またお料理道具!?

hnb57.jpg
【造粒(ぞうりゅう)・(星掛け)工程】
ミキサーで転がしながら、2mmほどのセラミックボールに、
水で溶いた火薬と粉状の火薬を交互にまぶします。

aIMG_8032.jpg

それを天日や乾燥工室で乾かしながら繰り返すことで、
丸い『星』という火薬が出来上がります。

aIMG_8036.jpg

1回の造粒作業では約1mmしか大きくならないため、
あの大きな大きな10号玉(尺玉)の星が完成するまで、
なんと1ヶ月以上かかるそうです!!!!!

hnb49.jpg
こちらが『星』です。
食べ物にしか見えません。

hnb61.jpg
この容器も酒造りやこうじ作りなどで見られる
こうじ蓋のように見えます。

この後に、
【仕込み(玉込め)工程】です。

aIMG_8068.jpg

完成した『星』を紙製の『玉皮』という容器に均等に並べます。

aIMG_8072.jpg

aIMG_8071.jpg

次に和紙で仕切り、割薬を星の層の内部に入れます。

aIMG_8082.jpg

aIMG_8076.jpg

半球ずつ作り最後に合わせ球状にします。

aIMG_8077.jpg

aIMG_8078.jpg

割物花火や型物花火など、込め方は様々あります。
1cmのズレが、上空で10m以上のズレになるため
慎重に込められています。

そして最後に、
【仕上げ(玉貼り)工程】です。
込めた玉に、糊(のり)をつけたクラフト紙を丁寧に隙間ができないように
貼っていきます。

hnb85.jpg
こちらのクラフト紙、なんと接着するための糊(のり)は、
秋田県産『あきたこまち』!

hnb93.jpg
それを自家製分して、

hnb95.jpg
米粉糊(こめこのり)にして使われていました。

分業された、仕事を花火師さんらの職人技で次々と玉が仕上げられていきます。1回に6層貼ったら、天日や乾燥工室で乾かします。

aIMG_8089.jpg

aIMG_8062.jpg

この作業を何度も繰り返し、花火は完成します。

aIMG_8067.jpg

10号玉(尺玉)は60層以上貼るため、
完成するまで10日以上かかります。

【花火】と【寿司】という、日本人が季節を感じる文化としてや、
お祝い事やお祭りに喜ばれる二つには、
人を魅了する共通点がきっとあるのではないかと、
そういう目線で見学させていただきました。
どちらにも共通していると感じたのは、
本番前に事前の仕込みを徹底的に準備しておくこと。
もくもくと、地味に仕込みをするというのは、
あまりお客様の目に触れる仕事ではございませんが、
しっかりと準備しておけば、本番の時には思い切ってお披露目できて、
お客様の感動する顔を目の前で見れるというところ。 
花火も寿司も仕込みが9割以上大切なんだなということがわかって、
花火という存在が、親近感どころか、大好きになりました。


【花火の色をだす薬品】
紅(赤)・・・ストロンチウム
青・・・銅
緑・・・バリウム
黄・・・蓚酸ナトリウム
紫・・・ストロンチウム + 銅
オレンジ色・・・炭酸カルシウム
錦(金)・・・チタニウム(2-2合金)
銀・・・アルミニウム
白・・・アルミニウム


【花火の大きさ】
玉のサイズの約1000倍にも開くそうです。

〈3号玉〉だと
玉の直径(実寸・センチ)8.5
玉の重量(キログラム)0.2
上がる高さ(メートル)120
開いた時の直径(メートル)60

〈6号玉〉だと
玉の直径(実寸・センチ)16.7
玉の重量(キログラム)2.0
上がる高さ(メートル)220
開いた時の直径(メートル)220


〈10号(尺玉)〉だと
玉の直径(実寸・センチ)29.5
玉の重量(キログラム)8.5
上がる高さ(メートル)330
開いた時の直径(メートル)320


〈20号玉〉だと
玉の直径(実寸・センチ)58.5
玉の重量(キログラム)70
上がる高さ(メートル)500
開いた時の直径(メートル)480


〈30号玉〉だと
玉の直径(実寸・センチ)88.5
玉の重量(キログラム)280
上がる高さ(メートル)600
開いた時の直径(メートル)550

現在、日本の花火大会などでは、
花火の打ち上げは電気スイッチで制御するように規則が決まっているそうです。

見るだけでもすぐに感動に導かれる花火ですが、
これからは、
ただただ花火を見るだけでなく、
その背景を知って見ることで
その感動がさらに膨らむことを教えていただけました。
ありがとうございました。


響屋大曲煙火株式会社さんの花火についてや、
伝統、革新についてはホームページからどうぞ!

響屋大曲煙火株式会社
秋田県大仙市長戸呂ハサバ長根1−5
電話: 0187-63-2848
http://www.hibikiya.co.jp