とりがい・トリガイ・鳥貝・Fulvia mutica
マルスダレガイ目ザルガイ科トリガイ属トリガイ
大切な方にプレゼントを送るように、
一つ一つのトリガイが包まれて、流通過程で転がって割れないように
梱包されて届いた殻付きトリガイ。
京都府 丹後 某所のもの。
これはトリガイの稚貝(赤ちゃん)です。
ここまで大きくなるんですね!
とにかく、サイズがすごい!
自分の寿司人生20年で一番のサイズ。
そして、大きいだけでなく、
綺麗で、元気で、味が濃い。
どのパーツも美しく、ついつい、
魚介カメラマン岡田大介に篠山紀信さんが憑依したが如く、
その殻の中まで美しく撮り抜きました。
まずは、殻の造形美から堪能していきましょう。
水管が見えます。
中に見える、ツヤツヤの赤黒紫色のものが本体です。
手前のピロピロの部分が俗に言うヒモの部分です。
そうこうしていると、ビローーンと。出てきましたよ。
殻の片側、貝柱を2箇所切り、パカっと開けます。
殻の内側の色が何とも雅なお色で、大好きな色です。
トリガイの身の部分
トリガイのエラのような部分
トリガイの貝柱
この大きさ、厚み、写真では伝わりにくいですね。
殻の内側
この凸部分と
この凹部分でキッチリと閉じるような構造です。
殻と殻の間にある薄膜。
全て殻から取り出してみました。
ここはエラと同じような構造になっています。
トリガイの中心部。筋肉ムキムキマッチョマンです。
身とヒモとエラを切り離していきます。
水管を切り、水管の渕や中を綺麗にします。
いよいよ、トリガイの身を開いていきます。
ど真ん中にスーーッと包丁を入れていきます。
先端に近づくにつれて、内臓が無くなります。
ちょうど身の真ん中あたりまで、内臓が入っているので、
真ん中だけ開いて、内臓を綺麗にする場合と、
より大きく見せるために、先端までしっかり開く場合があります。
こちらが内臓全体図です。
内臓、下部分に見える泥色のものは
トリガイの内臓ではなく、排泄物ですので、
後ほど綺麗に取り除きます。
こちらの透明な棒状のものは『桿晶体(かんしょうたい)』という器官。
トリガイが食事をする際に消化を助けるために、すりこぎのように体内で動きます。
この部分は肝。食べられます。
排泄物と間違えないように注意が必要です。
均等なサイズに排出される糞(フン)。
桿晶体と排泄物を取り除きます。
ちなみに、桿晶体は食べられますが、ほとんど味がしません。
汚れ一つないように綺麗に身から取り除きます。
今回は、先端までしっかりと開きました。
キモを傷つけないように取り外し、
塩漬けにして、後ほど塩辛やソースにしていきます。
生のトリガイは黒い色素がとれやすいので、
まな板にあたるだけで、どんどん、白くはげていってしまいます。
ので、まな板にラップを敷いて、黒い色素をしっかりと残したまま開きます。
こんな感じにしっかりと色を残して。
少し擦れただけで、白くなってしまっているのがわかりますでしょうか。
酢を加えたお湯で茹でると色止めができますが、
完全に生で食べる場合は、とても丁寧に開きます。
通常サイズの酢飯に対してこんなに大きいトリガイ。
上から見ても、
横から見ても、酢飯が綺麗に隠れてしまいます。
トリガイに先っちょをデコピンすると、
ウイーーーン!っと、いきり勃ちます。
大きな大きな生トリガイの握り寿司は、
一口で頬張るのがやっとのサイズ。
何回も何回も噛んで堪能させていただきました。
こちらは、トリガイのヒモをサッと湯がいたもの。
細かな黒い点は、ホタテ同様、トリガイの目!!!
しっかりトリガイ味で美味しいですよ。
器:馬場光二郎さん