ブログ

イタリアワインと郷土寿司

[すし・sushi]

1e2e3u43243.jpg
2019年10月
日伊協会が主催するイタリアワイン講座〈第1回〉にて
紀元前8世紀 イタリア半島中部でエトルリア時代から続く伝統農法で造られたワインと
日本の郷土寿司の歴史から見る、寿司とワインの共通の魅力や今後の課題について
Antonella Barbieri さんと一緒に講義させていただきました。

1e2e3u43196.jpg
Alberata Aversana(アルベラータ・アヴェルサーナ)という
古代エトルリア 紀元77年(A.D.)から存在し、その時代から続く農法の1つです。
別名をVITE MARITATA(ヴィーテ マリタータ)と言います。
アスプリーニオとポプラの結婚 という
1つの木にもう1つの木が絡みついています。
この、アスプリーニオ種のみを栽培している地域は
世界でもアヴェルサとアグロアヴェルサーノのエリアのみです。

la vite maritata.jpeg

1e2e3u43209.jpg

FOTO-4.jpg

火山性の土地で露地栽培、土壌の豊かなこの場所で
ポプラの木を利用して高さ約20メートル、低くても15メートルほどの高い場所でぶどうを栽培しています。

1e2e3u43207.jpg
Antonella Barbieri さんの熱のこもったお話が続きます。

1e2e3u43212.jpg
イタリアワイン講座は大人気で満席でした。

1e2e3u43215.jpg
見てください、この農法!
超巨大なグリーンカーテン『FILARE(フィラーレ),複数形は(フィラーリ)』
全長200〜250メートル 昔は外敵から身を守る意味もあったようです。
間隔は20メートル 1日中、陽が全てのブドウに当たるように計算されています。

1e2e3u43229.jpg
ハシゴに登っている写真。
このあたりで3メートルくらいでしょうから、
地上20メートルでの収穫は想像するだけで足がソワソワしますね。

FOTO-3.jpg

ちなみに、命綱を装着しないで収穫するのも
この伝統農法の基本だそうです。
ハシゴ自体の幅間隔は人間の膝から下の長さに各々カスタマイズすることで、
しっかりと足を挟んで安定して上に登っていけるそうです。
万が一の時のために、自分のハシゴと隣りのハシゴの間の幅は
人の手でカバーし合える幅にしてあるとおっしゃってましたが
かなり危険な収穫方法です。

1e2e3u43228.jpg

昔は、このカーテンの下の方の隙間で、背の低い野菜や果物(イチゴ、チーマディラーパ)を育てていたようです。
かつての栽培面積2000ヘクタールから現在は160ヘクタールまで減少してしまいました。
しかし、樹齢は160〜200年の非常に古いものばかりです。

1e2e3u43216.jpg
ASPRINIO(アスプリーニオ)というぶどう品種は、
Alberata Aversana(アルベラータ・アヴェルサーナ)という農法でしか
作られていないものです。
ちなみにアスプロは酸っぱいという意味です。

FOTO-5.jpg

1e2e3u43230.jpg

アンジュー家のRobert Anjou ナポリ賢王(フランス人 1277-1343)と
ソムリエの原型と言われるCantiniere(カンティニエレ)
と呼ばれる賢王のお抱えのワイン管理人だったLouis Pierrefeu氏が
アヴェルサの土地でアスプリーニオ種を発見し

1e2e3u43231.jpg

偶然の産物として瓶内二次発酵(メトド・クラシコ)し、
世界初のスパークリングワインが誕生したそうで、
シャンパーニュの起源とも言われています。

1e2e3u43217.jpg
こちらは今回のイタリアワイン講座のコーディネーターでもあり、
インポーター、ソムリエでもある櫻井芙紗子(さくらいふさこ)さん。
的確な解説とフォローで司会進行をしてくださいました。

1e2e3u43219.jpg
アヴェルサの場所はイタリア半島のあの辺りです。

drengot_mappa02.jpg

1e2e3u43220.jpg

1e2e3u43221.jpg
このアヴェルサには、ワイナリーが7,8軒しか残っていないそうで
今回ご縁をいただいたのは、
3代続くブドウ農家『DRENGOT(ドレンゴット)』さんです。

1e2e3u43222.jpg
DRENGOTはノルマン人で、アヴェルサのシンボルです。

_1199870.jpg

1e2e3u43224.jpg
農園のメンテナンスで大事なのは、どうやって枝を上手く巻きつけていくか。

1e2e3u43227.jpg
この独特な農法にはとても興味深く、多くの参加者の方が様々な質問を投げかけていました。

1e2e3u43232.jpg
こちらが、製造工程。

日本と同様にアヴェルサでも、
後継者不足、若い世代のアルコールへの無関心感が大きな悩みとおっしゃっていました。
スローフード絶滅危惧種食材にも認定されているアスプリーニオ
ユネスコ無形文化遺産登録にも申請中だそうです。

1e2e3u43240.jpg
そして、ここからは酢飯屋 岡田大介の郷土寿司のお話。
イタリアワインの講座にお越しの方々でしたが、
日本の郷土寿司にもとても興味関心を持っていただけましたし、
イタリアワインと郷土寿司のペアリングを楽しみにお越しくださったようです。
郷土寿司業界でもやはり、後継者不足は深刻です。
まだ見知らぬお寿司が日本中には沢山あります。
それを知ることすらなく、消えてしまうお寿司すらあります。
寿司文化継承家としては、なるべく多くの知られていないお寿司に出会いに行き、
まなび、継承していけるように
引き続き郷土寿司プロジェクトは全力で取り組んでいきたいと思います。

さて、いよいよ
歴史あるワインと郷土寿司の夢の共演です。

1e2e3u43195.jpg
こちらが今回の主役ワイン2種です。
向かって右がスパークリングワイン
【THE OLDEST SPUMANTE IN THE WORLD!!】
『TERRAMASCA ASPRINIO D'AVERSA EXTRA BRUT(テラマスカ アスプリニオダヴェルサ エクストラブルート)』
ぶどう品種:アスプリーニオ100%

向かって左が白ワインの
『SCALILLO ASPRINIO D'AVERSA DOC』(スカリーロ アスプリニオダヴェルサ ドック)
ぶどう品種:アスプリニオ100%
※スカリッロは長くて幅の狭いハシゴという意味

1e2e3u43194.jpg
今回のワインに合わせて、
郷土寿司大国の高知県のお寿司の数々をご用意させていただきました。

1e2e3u43190.jpg
田舎寿司の仕切り箱寿司にて

1e2e3u43181.jpg

1e2e3u43185.jpg
田舎寿司の桶盛り

1e2e3u43267.jpg

1e2e3u43257.jpg

1e2e3u43260.jpg

1e2e3u43261.jpg

1e2e3u43262.jpg

1e2e3u43263.jpg

1e2e3u43266.jpg

1e2e3u43273.jpg
高知県の『こんにゃく寿司』に興味を示していた
Antonella Barbieriさん。

1e2e3u43271.jpg
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

logo drengot 2 (002).jpg

そんなDRENGOTのワインをイタリアより直輸入させていただきました。
数に限りはございますが、
ぜひその歴史ある味わいをお楽しみいただけましたら幸いです。

00000IMG_00000_BURST20200308111422185_COVER.jpg

00000IMG_00000_BURST20200308111230827_COVER.jpg

IMG_20200308_111328.jpg
SCALILLO(ハシゴ)のデザインがカワイイです。

【DRENGOT】
https://www.drengot.com/