ミートボール・meatball
器:村上祐仁さん
ミートボールは、
挽肉につなぎと調味料を入れて混ぜ、
丸く成形してから、加熱して作る料理です。
日本語では肉団子(にくだんご)・メンチボール、ミンチボールなどとも呼ばれます。
ミートボールは、似た料理が世界各国で作られていますが、
材料の選定、味付け、加熱方法には国ごとの特徴があり、呼び方も様々です。
使用するお肉にも、牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉などの家畜、家禽の肉の他、
一部では、内臓や爬虫類など特殊な動物の肉を用いる例もあります。
魚肉を用いるものは日本では『つみれ』と呼びます。
つなぎにはパン・パン粉・卵を使い、塩を加えて練って粘りを出します。
風味や栄養を考えてスパイス、ハーブ、野菜などが加えられる場合もあります。
国によっては、ゆで卵を包み込む場合もあります。
(スコットランドのスコッチエッグ、アフガニスタンのナルギス・カバブ等)。
加熱方法としては、
フライパンやオーブンで焼くもの、
他にも、煮るもの、蒸すもの、揚げるものなどがあり、
揚げてから煮るなど、複合して用いる場合もあります。
形状の違いを除けば、材料や作り方はミートローフに良く似ています。
形を扁平にすればハンバーグとも良く似ています。
この他、肉団子の素材は『ファルス』としても使われ、
ピーマンやアケビ、キャベツなどに詰めて焼いたり揚げたりする料理
(ドルマ、肉詰めピーマンやロールキャベツ)などもあります。
岡田家の【ミートボール】の作り方
〈材料〉(ミートボール約30個分ほど)
合挽き肉(豚挽き肉 200g・牛挽き肉 200g)←お好みの割合で。
玉ねぎ(みじん切り)50g
油10ml
パン粉 30g
牛乳 60ml
卵 1個
塩 4g
ナツメグ(パウダー) 1g
〈作り方〉
合挽き肉は冷やしておきます。
パン粉と牛乳は合わせておきます。
中弱火で熱したフライパンに油ひき、玉ねぎのみじん切りを入れ、
玉ねぎが透き通るくらいまで炒めます。
炒め終わったら、別皿に移し冷ましておきます。
全ての材料をボールで混ぜます。
(冷たい合挽き肉、パン粉牛乳、卵、塩、ナツメグパウダー、炒めて冷ましたみじん切りたまねぎ)
両手でコロコロ丸めてお団子状にしてバットに並べていきます。
フライパンを中弱火で熱して油をひいて、
フライパンを揺すりながらミートボールを入れていきます。
最初のうちは常に揺らし続けて、
お肉ボールの全面の色が変わってきたら
30秒に1回くらい転がすようにして火を入れていきます。
ここまで作ってしまえば、
あとは、何味にするかはその時の気分で。
炒めて出た脂はソース作りのために残しておく。
TOP写真にあるような
トマトソースに絡めたり、煮込んだりする際のレシピはこちら。
岡田家の【ミートボール トマトソース】の作り方
〈材料〉(2~3人分)
焼きミートボール 30個ほど
タマネギ (みじん切り)100g
ニンニク(みじん切り) 10g
トマトの水煮缶 1缶(400g)※液体込み
水 100ml
粗糖 5g
ソース(なるべくウスターソース)10ml
塩 2g
黒こしょう(パウダー) 0.2g
ニンジンの葉かパセリ(みじん切り) 適量
〈作り方〉
ミートボールを焼いて出た脂か少量の油でタマネギとニンニクを中弱火で炒める。
ある程度炒まったら、トマトの水煮を加えて、(ホールトマトなら潰しながら)
中火で5分ほど煮詰たら
水、粗糖、ソース、塩を加えて混ぜ溶かし、
最後に黒コショウパウダーを振りかけて完成です。
ミートボールの上からかけても一緒に煮込んでも良しです。
盛り付けたらみじん切りしたニンジンの葉などを散らしましょう。
器:和田山真央さん
この写真のような
ミートボールの定番の基本ソース(ミートボール10個分)のレシピはこちら。
岡田家の【ミートボール基本ソース】の作り方
〈材料〉
ケチャップ120g
ソース15g
オイスターソース 15g
粗糖 15g
みりん30ml
酢 15ml
〈作り方〉
全て鍋かフライパンに入れて弱火で溶かして完成です。
こちらも
ミートボールの上からかけても鍋の中で一緒に絡めても良しです。
【各国のミートボールについて】
〈スウェーデン〉
ミートボールは、『ショットブッラール(köttbullar)』と言い、
牛と豚の合い挽き肉に卵とパン粉、タマネギと水を加え、
塩と胡椒で味付けしたものです。
フライパンを使ってバターで焼き上げるスタイル。
子牛の肉やレバーが使われることや、
バターの代わりにラードで焼き上げることもあります。
スウェーデンミートボールは、
国王カール12世が、
1715年にオスマン帝国から帰国した際に持ち帰ったレシピに基づいているそうです。
〈ドイツ〉
各地にミートボールがあり、
ベルリンでは『ブレッテ (Bulette)』、
シュヴァーベンでは『フライシュキューヒレ (Fleischküchle)』、
バイエルンでは『フライシュプランツル (Fleischpflanzl)』、
北ドイツでは『フライシュクロプス (Freischklops)』、
西ドイツでは『フリカデッレ (Frikadelle)』 と呼ばれています。
東プロイセンでは、『ケーニヒスベルガー・クロプセ』という
アンチョビまたは塩漬けヘリングを加えた肉団子を
ケッパーソースで食べる料理が有名です。
〈オランダ〉
『ヘハックトバル(Gehaktbal)』という、
合い挽き肉などに牛乳を加えてこね、大きめにまとめて
焼くか、揚げた後にトマトソースなどと合わせて作るミートボールがあります。
〈スペイン・メキシコ〉
『アルボンディガ(albondiga)』と言い、
キャベツなどと共にトマトソースで煮込んだりします。
なお、ミートローフは『アルボンディゴン(albondigon)』と呼ばれていますが、
これは「大きなミートボール」を意味しています。
〈イタリア〉
伝統的な料理に『ポルペッティーネ(polpettine)』があります。
〈アルバニア〉
ミートボールを油で揚げた料理
『チョフテ・タ・ファルグァラ(Qofte të fërguara)』があります。
〈南アジア・西アジア・北アフリカ〉
肉団子の名称には言語によって
クフタ(アラビア語)、
キューフタ(アルメニア語)、
キョフテ(トルコ語)、
コフタ(ヒンディー語)、
クーフテ(ペルシア語)等の差異がありますが、
楕円形の肉団子を平たい串に巻き付けて焼いた『コフタ・カバブ』や、
肉団子を野菜と煮込んだ料理など、殆どの国が似通った肉団子料理を共有しています。
〈インドネシア・マレーシア〉
中国料理由来のインドネシア料理に『バクソ (bakso)』 があります。
牛肉に少量のタピオカを混ぜることで、
身が引き締まり歯ごたえのある食感となっています。
たいていの場合、スープないしはスープ麺 (中華麺、フォーなど) の具材として一緒に提供されます。
〈アメリカ合衆国〉
家庭料理として、
トマトソースで煮込んだミートボールを
スパゲッティにかけた『スパゲッティ・ミートボール』と、
小粒のミートボールを甘酸っぱいソースで煮込んだ
『スウェーデン風ミートボール(Swedish meatball)』がよく知られています。
前者はイタリア料理のミートソースが元になっていますが、
アメリカ人の嗜好に合わせて、
ミートソースを肉団子にして肉の量を増やしたものです。
(アメリカ合衆国では、イタリアよりも安価な挽肉が手に入りやすかったことも理由の一つです)。
スパゲッティ・ミートボールのミートボールは
イタリアの伝統的な肉団子『ポルペッティーネ(polpettine)』よりも大きく作られます。
人によっては、つなぎを入れずに肉だけで肉団子を作ることも多いです。
〈中国〉
中国語では『肉丸(ロウワン)』と言います。
中華風の甘い餡をかけたミートボールは、日本でも人気ですが
中国で甘いミートボールというのは稀で、
近いのは酢豚と同じ味付けを施した『糖醋肉丸(タンツーロウワン)』です。
豚肉を主材料に、油で揚げて、塩味を付けた『脆炸肉丸(ツイジャーロウワン)』や、
さほど甘くない醤油味のタレで煮た『紅燒肉丸(ホンシャオロウワン)』を食べる地域が多いです。
鍋料理の具としても好まれています。
豚肉を使用した物以外にも、牛肉や鶏肉を使用した物もあります。
揚州の名物料理である『獅子頭(シーズトウ)』は、
テニスボールほどの大きさの巨大ミートボールで、
中に良く火が通るようにスープと共に蒸して作ります。
このため身は軟らかく、また、スープにも濃厚な味が出て美味しいです。
鎮江や南京では、『劗肉(チャンロウ)』という
大きめで甘辛いタレで煮たミートボールが食べられています。
福州料理には、肉団子を魚肉のすり身で包み込んだ『つみれ』があります。
安徽料理には、もち米をまぶした肉団子を蒸して作る『徽州丸子』があります。
〈香港〉
香港では、中にスープが入っていて、
噛むと汁が飛び出す『爆漿牛丸(バオジャンニュウワン、広東語:バーウジョンアウユン)』
という物が作られており、映画の中にも登場するなど一世を風靡しました。
飲茶の時に食べる点心には『陳皮蒸牛丸(チェンピージョンニュウワン、広東語:チャンペイジェンアウユン』
という、ミカンの皮で香りを付け、蒸籠で蒸した肉団子があり、ソースをつけて食べる人もいます。
〈台湾〉
台湾の新竹には、『貢丸(コンワン、台湾語:コンワン)』
と呼ばれる麺棒で潰して作る肉団子があり、汁ビーフンの具として好まれています。
彰化には、肉団子を芋のでん粉で作った葛の様な透明の衣で包み、
甘いたれをかける『肉圓(ロウユェン、台湾語:バーワン)』という名物料理があります。
〈日本〉
日本では、ミートソースやケチャップなどのトマトソース、
中華風のあん、テリヤキソース等の味付けをした肉団子であることが一般的です。
お弁当の人気メニューでもあります。
『つくね』は、鶏肉・豚肉・牛肉などの挽肉を鶏卵やヤマノイモなどのつなぎでまとめたものです。
棒状にまとめたつくねの軸に串を刺して焼いた『つくね串焼き』も焼き鳥の人気メニューの一つです。
球状に丸めて鍋物や煮物に入れたり、また揚げることもあります。
ミートボールと基本的製法は同じでも、
日本では、専ら『つくね』と呼ばれ、一般にミートボールとは呼ばずに別物として扱われています。