ブログ

鯛蒸し(たいむし)

[レシピ・recipe料理海の生き物豆腐青果]

230122_a058.jpg
高知県香美市香北町で作られる郷土料理の一つであり、
「おきゃく」でのお料理にあると大盛り上がり間違いなしの一品が「鯛蒸し(たいむし)」です。

簡単にいうと、鯛におからを詰めたもの。
ですが、その味付けと材料が加わることでなんとも美味しいお料理となります。
(※鯛はマダイに限らず、イシダイアマダイなど、その時手に入るお魚で代用可能とのことです。)

PXL_20230120_075612269.PORTRAIT.jpg
今回は「ヘダイ」が手に入りましたので、これで鯛蒸しを作ることになりました。

PXL_20230120_075636788.PORTRAIT.jpg
今回、「鯛蒸し」の全行程を教えてくださったのは、畠中智子さん(モコさん)。
高知ではいつもお世話になりっぱなしです。
今回もありがとうございます!^^
前回の高知旅の際に、モコさんに「鯛蒸し」のお話しを聞き、
どうしても食べてみたくてお願いしたところ、
なんと今回特別に準備してくださり実現に至りました!

PXL_20230120_075623712.PORTRAIT~2.jpg
僕、岡田は
日本各地に女(おんな)がいるわけですが、高知の女の1人が彼女です。
(冗談です。^^;)

PXL_20230120_075708723.PORTRAIT.jpg
骨をつけたまま背開きにしたヘダイに塩をしていきます。
表面だけでなく、内側やヒレの付け根など
細かな部分にも強めに塩を効かせて、一晩冷蔵庫で寝かせます。
この日の高知はちょうど大寒波の時でしたので
玄関での保管でちょうどよい気温でした。

PXL_20230120_075642632.PORTRAIT.jpg
僕はマダイを捌いていますが、これはおきゃくでの握りずし用です。

PXL_20230120_080026226.PORTRAIT.jpg
すし職人は
やっぱり、みなさまからは「おすし」を求められますので
どこで料理をする時でも、料理の中にはなるべく握りずしを組み込むようにしています。

ーーーーー
翌日
ーーーーー

「鯛蒸し」用の詰め物を準備していきます。
〈材料〉は
おから 500g
豆腐 1丁
葉ニンニク 2本
卵 3個
すりゴマ 15g
砂糖 130g
塩 5g

PXL_20230120_083052523.PORTRAIT.jpg
まずはこちら、「葉ニンニク」を

PXL_20230122_004632660.PORTRAIT.jpg
細かく刻んでいきます。

230122_a022.jpg
さらに、フードプロセッサーでペースト状近くまで刻んでいきます。

PXL_20230122_010922055.PORTRAIT.jpg
さらにすり鉢ですり潰しておきます。

230122_a023.jpg
豆腐とおから

PXL_20230122_010218092.PORTRAIT.jpg
卵を入れてたボールに

230122_a033.jpg
すり潰した葉ニンニクを合わせて混ぜます。

230122_a034.jpg
そこに砂糖を加えて、

230122_a037.jpg
全体的にしっとりとするまで良く混ぜます。

PXL_20230122_011532766.PORTRAIT.jpg
これで鯛の詰め物は完成です!

IMG_7540_2.jpg
前日に塩をしておいた「ヘダイ」、どうなったかなぁ?

PXL_20230122_011918269.PORTRAIT.jpg
ちょうどいい感じに水分も出て、身が程よく締まっていました。

PXL_20230122_012309445.PORTRAIT.jpg
塩を水で洗い流して、ペーパーで水分をしっかりと拭き取ります。

230122_a039.jpg
洗い過ぎると、塩が抜け過ぎて、食べた時に味がぼやけてしまうので
塩はそこそこ利いている状態です。

230122_a040.jpg
背開きにして頭は割らずに、腹も切らないように包丁を入れてあります。


PXL_20230122_012539004.PORTRAIT.jpg
この位置から切れ目を入れている理由は、
仕上げで盛り付けた際に、表から見て切れ目が見えないようにするためです。

230122_a041.jpg
頭や腹骨あたりまでの包丁の入れ方はこんな感じです。

PXL_20230122_012545496.PORTRAIT.jpg
身がしっとりとしていて、塩の利き方も良さそうです。
このまま干物にして食べても美味しそう。

230122_a042.jpg
腹骨の奥、お腹の中は内臓は取り除いてあるのですが
洗った際の水分などが溜まりがちですのでしっかりと拭き取っていきます。

PXL_20230122_012549556.PORTRAIT.jpg
手を突っ込むと、内臓を取り除くために切った腹骨の断面がチクチクと当たり
少々痛いですが、美味しい鯛蒸しに仕上げるために
しっかりと工程を進めていきます。

230122_a046.jpg
ヘダイの眼の凹み具合を見てみても、塩梅の良さがわかります。

230122_a047.jpg
背開きしたこの鯛のお腹の中に、先程豆腐やおから、葉ニンニクで作った
甘めの詰め物を入れていくわけです。

230122_a048.jpg
元々内臓があった空間に、しっかりと詰めていきます。

230122_b064.jpg


230122_a049.jpg
思っている以上にたっぷり詰めるのがポイントのようです。

230122_a050.jpg
結構入りましたよ。

230122_a052.jpg
が、まだまだ詰めるそうです。

230122_a053.jpg
もうパンパンです。

230122_a054_2.jpg
下半身のほうが少し詰めが足りないということで

230122_b066.jpg
ギュッギュっとしていきます。

230122_a055.jpg
立ててみると、こんな感じ。

230122_a057_2.jpg
バットの縁に寄りかからせているとはいえ、
自立するほどお腹の中に詰め物がたっぷりと入っています。

PXL_20230122_013516281.PORTRAIT.jpg
仕上げはモコさん。

230122_a058.jpg
溢れんばかりにたっぷりと隙間なく入れるのがポイントだそうです。

PXL_20230122_013525495.PORTRAIT_2.jpg
鯛の詰め物の量、想像を遥かに超えたものでした!^^;

PXL_20230122_013628873.PORTRAIT.jpg
背ビレを立てて、ヒレの付け根につまようじを刺して固定します。
綺麗にヒレが立った状態で仕上げるためです。

PXL_20230122_013649490.PORTRAIT.jpg
胸ビレの付け根にも刺して、ヒレが寝ないようします。

PXL_20230122_013713145.PORTRAIT.jpg
魚は、ヒレが立っているか立っていないかで見え方が全く変わってきますので

230122_b061.jpg
美しく見せるための先人の知恵ですね。

230122_b144.jpg
モコさんが、何やら藁(わら)を持ってきました。

230122_b145.jpg
蒸し器の底に藁を渡し

PXL_20230122_021435442.jpg
数本の藁を1本の束にしてセット、

PXL_20230122_021450682.jpg
もう1箇所、同じようにセット。

PXL_20230122_021529198.jpg
その上からハランを敷き、

PXL_20230122_021612823.jpg
底だけでなく、横にもハランをセットして

PXL_20230122_021632151.jpg
詰め物がパンパンで重たくなったタイをハランの上に置きます。
蒸した後の熱々のタイを崩さないように蒸し器から丁寧に取り出すための藁とハランなわけです。

PXL_20230122_021805739.jpg
そして、さつまいもを入れて準備完了です。
さて、
このさつまいも、何のために入れたのでしょうか?
感の鋭い方なら、もうおわかりですね!

230122_a136.jpg
蒸し始めて、このさつまいもに串を刺して
すーーっと通ったら、鯛蒸しの完成のサインというわけです。

230122_a133.jpg
蓋をして、蒸しあがるまで他の調理をして待ちます。

PXL_20230122_031909699.jpg
そろそろ蒸し上がったかな?

PXL_20230122_031910790.jpg
OPEN!

PXL_20230122_031855341.PORTRAIT.jpg
さつまいもにもスッと串が刺さり、見事に蒸しあがりましたー!
見た目からして、ヘダイもふっくらと仕上がっております。

230122_a134.jpg
美味しそう過ぎます。

230122_a138.jpg
パンパンに詰めた詰め物が左上からはみ出していますが
少ないよりは、はみ出しているくらいが良いということで
のちほど修正していきます。

230122_a139.jpg
崩れないように注意して釜からテーブルへ移して

PXL_20230122_032145767.jpg
柔らかくなった身を崩さないように、そっと藁を引き上げて大皿に移していきます。

230122_a142.jpg
緊張の一瞬。

230122_b222.jpg
モコさんと同じ力加減で、同じスピードで同時に持ち上げます。

せーの!

230122_a143.jpg
そりゃ!

230122_a145.jpg
よいしょー!

230122_a144.jpg
着皿!
ふぅ〜。

230122_b224.jpg
藁とハランを優しく丁寧に引き抜きます。

230122_a239_2.jpg
無事、大皿に盛り付けることができました。

PXL_20230122_032503872.PORTRAIT_2.jpg
詰め物はこんな感じ!上出来です。

230122_c38.jpg
「おきゃく」での一品というよりは、
メイン料理となる華やかな一皿です。
かんぱーい!

230122_b604.jpg
鯛蒸しの食べ方
まずは観音開きにします。

PXL_20230122_072537403.PORTRAIT.jpg
ぱかっ。

230122_b643.jpg
鯛の身と詰め物をどちらも一緒に器に取り分けます。

IMG_7728.jpg
ふわふわな鯛の身と葉ニンニクが効いた甘じょっぱ旨い逸品です。

230122_b670.jpg
大人気の鯛蒸しは、あっという間になくなっていきます。

230122_b619.jpg
モコさん、全行程作るところから食べるところまで
本当にありがとうございました。
今後も、色々な魚で鯛蒸しや、鯛蒸しアレンジ料理を作っていきたいと思います!
ごちそうさまでした!!


「鯛蒸し(たいむし)」の作り方動画のダイジェスト版(3:36)