ブログ

アラの「桶流し一本釣り」

[海の生き物釣り・Fishing]

PXL_20230624_145020569.jpg
2023年6月25日 深夜0時
新潟県 柏崎市(かしわざきし)

Screenshot_20230625-092541.png
柏崎港

IMG_2065.jpg
アラの「桶流し一本釣り」という伝統漁法を見せていただきました。


全行程を映像で見たい方はこちらからどうぞ。(10:34)

PXL_20230624_144937566.jpg
今回お世話になる船がこちら。

PXL_20230624_144955644.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg
北海丸さんです。

PXL_20230624_172916652.jpg
こちらがアラ漁師の
柴野一志さん

PXL_20230624_145034895.jpg
アラ専門の漁船って、日本の中でも珍しいのではないでしょうか。
僕は他に聞いたことがありません。

※注意
九州などで「クエ」のことを「アラ」と呼んだりしますが、
今回は正真正銘、標準和名「アラ」のアラです。

image_1.jpeg
それでは行ってきます!

image_2.jpeg

PXL_20230624_150420067.NIGHT.jpg
星空の下、漁場へと向かいます。

DSC03311.jpg
〈今回同船したメンバー〉
水土舎 本間俊輔さん(中)
柏崎市 五十嵐徹さん(右)
すし作家 岡田大介(左)
パルズ 山崎友香さん(※写っていないので、また後ほどご紹介します。)

まずはエサの準備

PXL_20230624_164959352.jpg
アラ漁のエサとなるイカ釣りからスタート!

PXL_20230624_170221470.PORTRAIT.jpg
ロッド DAIWA DEEPZONE X 200-240

PXL_20230624_165946657.PORTRAIT~2.jpg
スッテ
(イカ釣りに用いられるスッテとは、イカが抱きやすい形状にデザインされた、カンナ付きの疑似針のことです。)

PXL_20230624_170229003.PORTRAIT.jpg
深い水深での多点掛けで重くなるので
電動リールを用いてイカ釣りをします。
DAIWA SEABORG 800J

PXL_20230624_170207764.PORTRAIT.jpg
仕掛けとともに、集魚灯も一緒に沈めることで
イカにアピールします。

PXL_20230624_163323510.jpg
早速スルメイカが釣れました!

PXL_20230624_164518759.PORTRAIT.jpg
同時にもう一本のイカ釣り竿を出す柴野船長。
ロッド DAIWA DEEPZONE X 200-240

PXL_20230624_164529550.PORTRAIT.jpg
釣り人が持つ、たまに使用する電動リールと違い、
使い倒しているこの感じがたまりません!

PXL_20230624_163324741.jpg
スルメイカ、もういっちょ!

DSC03338.jpg
柴野船長の動きを動画撮影している際、
僕も電動リールを使ってのイカ釣りは何度か経験しているため、
少しでも力になれたらという気持ちで、
『イカ釣りお手伝いしましょうか?』と伝えると、きっぱりとお断りされました。^^;

DSC03344.jpg
この船は遊漁船ではないから、一般の方に釣りをしてもらうこと自体がNGなんだと。
がっつり納得し、今日は取材班に徹底することを改めて決意。

PXL_20230624_161452434.PORTRAIT.jpg
活イカ以外にも
用意しておいた冷凍スルメイカや、

PXL_20230624_163529438.PORTRAIT.jpg
エソ

PXL_20230624_163923256.PORTRAIT.jpg
サバなどを切りエサにしておきます。

PXL_20230624_173212700.jpg
ご紹介遅れました、
こちらが食のショールーム パルズの山崎友香さん。
僕の20代初め頃からの長い友人の一人です。
疲れ果てた顔をしていますが、実は元気いっぱいです。
こんな写真を掲載してごめんなさい!!^^;
いつもは白目写真になりがちな友香さんですので、この写真でもお許しを。。
トイレのない今回の船に深夜長時間同船するという
気合いの入った唯一の女性。
事前に大人用オムツで何度も練習して、今日も装着しての参戦です。

PXL_20230624_165552560.jpg
桶(おけ)の準備

PXL_20230624_165536856.jpg
こちらが
「アラの桶流し一本釣り」のメイン道具
約20個ほどの桶(おけ)です。

PXL_20230624_161505035~2.jpg
桶流し漁を始める前に、
潮の流れを確認するため、1つの桶を試し流ししています。

PXL_20230624_171644121.PORTRAIT.jpg
仕掛けの針にエサを付けて

IMG_1985.jpg
海に投入していきます。

IMG_1977.jpg
オモリとともに
海底付近まで
仕掛けを沈めて、

IMG_1966.jpg
オモリが着底したのを手で感じたら、
底からほんの少しだけ持ち上げます。

PXL_20230624_173408244.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg
このポイントは水深123mほど

PXL_20230624_185314899~2.jpg
糸を縛り、長さを固定。

PXL_20230624_172940460.jpg
改めて、潮の流れを確認して

IMG_1987.jpg
桶、投入!

PXL_20230624_172934655.jpg
また後ほど棚が変化していたときに
糸の長さを調整出来るように

IMG_2002.jpg
桶には予備糸も一緒に入れて流します。

PXL_20230624_185240754.jpg
操船しながら
これらの仕事を
すべて一人でされています!

IMG_2042.jpg

PXL_20230624_172849960.PORTRAIT.jpg
こちらのライトはなんでしょう?

PXL_20230624_170210157.PORTRAIT.jpg
流す桶の5つに1つくらいの感覚で
点滅ライトを入れて回収の際の
目印にします。

PXL_20230624_173717432~2.jpg
潮の流れを読んで、
桶流しを20個ほど行います。

PXL_20230624_173739751.jpg

PXL_20230624_173218816.jpg
すべての桶を流し終えたところで、1番から順に様子を見に行きます。

PXL_20230624_185304994.jpg
最初に流した時よりも
2mほど深くなっているのを確認した柴野船長。
出来る限り海底付近にエサを流したいため
固定した糸をほどき、長さを微調整していきます。

PXL_20230624_183820887.jpg
深夜0時から始まった桶流し。
流すだけでもう、夜が明けてきました。

PXL_20230624_185253765.jpg
こうしてまた、
1番の桶から、20数番の桶まで

IMG_2003.jpg
もう一回すべて、棚を微調整していきます。

IMG_2006.jpg

PXL_20230624_200132283.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg
ここでちょっと小腹が空いてきましたので
おやつタイム。
ブルボンの「味ごのみ」。

42b285e5f5b4e816b7175f15488c77595ae79ffd.jpg
船の上で食べる「味ごのみ」が美味しいこと!
超超ロングセラー商品です。

b3c71db53722f59c05445cdaf9490153fabdd70c.jpg
そしてこちら。
皆様これ、何かわかりますか?
ブルボンの「アルフォート」というチョコレート菓子です。

なぜブルボン攻め? と思われた方、鋭い!
何を隠そう、ブルボンは柏崎市に本社を置く、大手お菓子メーカーです。
柏崎港から漁に出ているわけですから、
そこはやっぱりブルボンをチョイス!
しかも「アルフォート」は、ブルボンの造語で、冒険やロマンをイメージした言葉。
それをイメージして船の絵になっているそうです。
簡単に釣ることができない、日本海でのアラ漁にぴったりのお菓子です!

IMG_2031.jpg
ゆかさんは寝ているわけではありません。
ただタイミング悪く目を閉じてしまっただけです。^^;
(ゆかさんあるある。)

IMG_2065.jpg
さて、1番の桶にもう一度戻り、
いよいよ仕掛けを回収していきます。

IMG_2008.jpg
桶が見えてきました!

327423932_2108661562669984_1152210160586489023_n.jpg
アラの「桶流し一本釣り」漁のイメージイラスト

IMG_2022.jpg

IMG_2039.jpg『いるなー、何か。』
真剣に、だけど嬉しそうな柴野さん。

IMG_2016.jpg
このように糸は手でたぐり、「手釣り」をしていきます。

IMG_2028.jpg
仕掛けがフグに噛み切られてしまうことも
多々あるそうです。。

IMG_2071.jpg
こちらは、フグに噛みまくられた痕が見てわかるエサのイカ。

IMG_2040.jpg
『いかに、フグより早く喰わせるかなんだよ。』と柴野さん。

IMG_2072.jpg
糸の先に一体どんな魚がかかっているのか?
果たしてアラなのか?
ワクワクします。

IMG_2074.jpg
1本目の針、
おお! なんかいる!
エサとして針にかけていたイカゲソでした。。^^;

IMG_2077.jpg
次の針には、魚!!!

IMG_2085.jpg
アラだー!!!!!

IMG_2089.jpg
釣り上げたアラは、スポンジマットの上に寝かせて傷つかないように、
魚が暴れて船体に身を打ちつけないようにします。

IMG_2091.jpg
エラ蓋からはみ出しているのは、浮袋ではなく
急激な水圧の変化で胃袋が反転してしまったもの。
尖ったもので刺し、空気を抜くことで

IMG_2092.jpg
縮み戻っていきます。

IMG_2371.jpg
次に行っているのが

IMG_2093.jpg

IMG_2100.jpg
スパイクを使用しての脳締め。
締まった瞬間に眼が見開きます。

IMG_2104.jpg
次に、ナイフで喉の頸(けい)動脈を切って、

IMG_2114.jpg
血を流し出します。
これが血抜きです。

IMG_2305.jpg

IMG_2118.jpg
海水の中に入れ、

IMG_2120.jpg
どくどくと血が抜けていきます。

IMG_2308.jpg
アラの神経締めです。

IMG_2179.jpg
脳締めした際に開けた穴からワイヤーを入れて神経締め

IMG_2173.jpg

IMG_2171.jpg

IMG_2064.jpg
クーラーの中の温度を徹底管理!
全てはアラのため!
神経締めを終えたアラは、すぐにクーラーボックスにて冷やし込み。
釣り上げてから、魚の徹底処理を終えるまでが物凄いスピードです!

IMG_2070.jpg

IMG_1998.jpg
次の桶はどうでしょう?

IMG_2316.jpg
マフグ

この鋭い歯でエサに喰らいつき
仕掛けを切ってしまいます。

IMG_2182.jpg

PXL_20230624_211456382.PORTRAIT~2.jpg
タヌキメバルもよく釣れています。

PXL_20230624_203754649.jpg
コアラダブル。
小さめのアラは「コアラ」と呼ばれています。^^

IMG_2183.jpg
次の桶はどうでしょう?

db3afd252591120d15a8958e7d996c10720c5e69.jpg
ムシガレイもどんどん釣れています。

IMG_2201.jpg

PXL_20230624_185415643~2.jpg

PXL_20230624_212011862.PORTRAIT.ORIGINAL~2.jpg
ウスメバル

PXL_20230624_185926978.jpg

IMG_2044.jpg

IMG_2263.jpg
アラ

IMG_2269.jpg

IMG_2045.jpg

IMG_2046.jpg

IMG_2058.jpg

IMG_2059.jpg

IMG_2276.jpg

IMG_2292.jpg

IMG_2293.jpg

IMG_2294.jpg
アラ

IMG_2295.jpg

IMG_2296.jpg

IMG_2297.jpg

IMG_2298.jpg

IMG_2299.jpg

IMG_2300.jpg

IMG_2302.jpg

original_bb0b8125-faa8-4ad6-871f-fb8a1691410e_PXL_20230624_213035624.PORTRAIT~2.jpg
アラ

PXL_20230624_212904517.jpg

PXL_20230624_215211174~2.jpg
アカムツ

IMG_2340.jpg
アラ

IMG_2341.jpg
最後はアララッシュ!

IMG_2348.jpg

IMG_2351.jpg
アラ2本同時がけ!

IMG_2357.jpg

IMG_2358.jpg

PXL_20230624_230513536.jpg
アラの桶流し一本釣り 終了!

PXL_20230624_215448089.PORTRAIT.jpg
アラを一匹釣ることがどれだけ大変なことなのか
おわかりいただけましたでしょうか?

image_3.jpeg

PXL_20230625_002637309.jpg
無事、柏崎港に到着。

PXL_20230625_002835029.jpg
アラ一匹一匹にタグ付けしていきます。

PXL_20230625_002844823.jpg

PXL_20230625_002857292.PORTRAIT.jpg

PXL_20230625_002902951.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg

PXL_20230625_002918825.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg
一本釣りアラ 北海丸

PXL_20230625_002938805.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg

PXL_20230625_003031147.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg
このタグを見かけたら、柴野さんが釣ったアラで間違いないです。

PXL_20230625_003113771.jpg
その場で計量し、氷を詰めてトラックで市場に向かいます。

IMG_2375.jpg
柴野さん
柏崎のアラについて1番重要な、漁の時間を全て見せてくださり
色々と教えてくださりありがとうございました!

PXL_20230625_035510397.jpg
柏崎魚市場

PXL_20230625_221054975.jpg

PXL_20230625_221642537.jpg
北海丸さんが水揚げしたアラが
柏崎魚市場に並びました。

PXL_20230625_221714336.PORTRAIT.jpg

PXL_20230625_221655696.PORTRAIT.ORIGINAL.jpg
美味しい料理となって、みなさまの幸せな笑顔に繋がりますように。


PXL_20230624_204314468.PORTRAIT~3.jpg
アラについてのさらに詳しい情報や
アラのグラビア写真は以下のブログからどうぞ。
【あら・アラ・Niphon spinosus】
https://www.sumeshiya.com/blog/2002/09/niphon-spinosus.html