アラの「桶流し一本釣り」
2023年6月25日 深夜0時
新潟県 柏崎市(かしわざきし)
柏崎港
アラの「桶流し一本釣り」という伝統漁法を見せていただきました。
全行程を映像で見たい方はこちらからどうぞ。(10:34)
今回お世話になる船がこちら。
北海丸さんです。
こちらがアラ漁師の
柴野一志さん
アラ専門の漁船って、日本の中でも珍しいのではないでしょうか。
僕は他に聞いたことがありません。
※注意
九州などで「クエ」のことを「アラ」と呼んだりしますが、
今回は正真正銘、標準和名「アラ」のアラです。
それでは行ってきます!
星空の下、漁場へと向かいます。
〈今回同船したメンバー〉
水土舎 本間俊輔さん(中)
柏崎市 五十嵐徹さん(右)
すし作家 岡田大介(左)
パルズ 山崎友香さん(※写っていないので、また後ほどご紹介します。)
まずはエサの準備
アラ漁のエサとなるイカ釣りからスタート!
ロッド DAIWA DEEPZONE X 200-240
スッテ
(イカ釣りに用いられるスッテとは、イカが抱きやすい形状にデザインされた、カンナ付きの疑似針のことです。)
深い水深での多点掛けで重くなるので
電動リールを用いてイカ釣りをします。
DAIWA SEABORG 800J
仕掛けとともに、集魚灯も一緒に沈めることで
イカにアピールします。
早速スルメイカが釣れました!
同時にもう一本のイカ釣り竿を出す柴野船長。
ロッド DAIWA DEEPZONE X 200-240
釣り人が持つ、たまに使用する電動リールと違い、
使い倒しているこの感じがたまりません!
スルメイカ、もういっちょ!
柴野船長の動きを動画撮影している際、
僕も電動リールを使ってのイカ釣りは何度か経験しているため、
少しでも力になれたらという気持ちで、
『イカ釣りお手伝いしましょうか?』と伝えると、きっぱりとお断りされました。^^;
この船は遊漁船ではないから、一般の方に釣りをしてもらうこと自体がNGなんだと。
がっつり納得し、今日は取材班に徹底することを改めて決意。
活イカ以外にも
用意しておいた冷凍スルメイカや、
サバなどを切りエサにしておきます。
ご紹介遅れました、
こちらが食のショールーム パルズの山崎友香さん。
僕の20代初め頃からの長い友人の一人です。
疲れ果てた顔をしていますが、実は元気いっぱいです。
こんな写真を掲載してごめんなさい!!^^;
いつもは白目写真になりがちな友香さんですので、この写真でもお許しを。。
トイレのない今回の船に深夜長時間同船するという
気合いの入った唯一の女性。
事前に大人用オムツで何度も練習して、今日も装着しての参戦です。
桶(おけ)の準備
こちらが
「アラの桶流し一本釣り」のメイン道具
約20個ほどの桶(おけ)です。
桶流し漁を始める前に、
潮の流れを確認するため、1つの桶を試し流ししています。
仕掛けの針にエサを付けて
海に投入していきます。
オモリとともに
海底付近まで
仕掛けを沈めて、
オモリが着底したのを手で感じたら、
底からほんの少しだけ持ち上げます。
このポイントは水深123mほど
糸を縛り、長さを固定。
改めて、潮の流れを確認して
桶、投入!
また後ほど棚が変化していたときに
糸の長さを調整出来るように
桶には予備糸も一緒に入れて流します。
操船しながら
これらの仕事を
すべて一人でされています!
こちらのライトはなんでしょう?
流す桶の5つに1つくらいの感覚で
点滅ライトを入れて回収の際の
目印にします。
潮の流れを読んで、
桶流しを20個ほど行います。
すべての桶を流し終えたところで、1番から順に様子を見に行きます。
最初に流した時よりも
2mほど深くなっているのを確認した柴野船長。
出来る限り海底付近にエサを流したいため
固定した糸をほどき、長さを微調整していきます。
深夜0時から始まった桶流し。
流すだけでもう、夜が明けてきました。
こうしてまた、
1番の桶から、20数番の桶まで
もう一回すべて、棚を微調整していきます。
ここでちょっと小腹が空いてきましたので
おやつタイム。
ブルボンの「味ごのみ」。
船の上で食べる「味ごのみ」が美味しいこと!
超超ロングセラー商品です。
そしてこちら。
皆様これ、何かわかりますか?
ブルボンの「アルフォート」というチョコレート菓子です。
なぜブルボン攻め? と思われた方、鋭い!
何を隠そう、ブルボンは柏崎市に本社を置く、大手お菓子メーカーです。
柏崎港から漁に出ているわけですから、
そこはやっぱりブルボンをチョイス!
しかも「アルフォート」は、ブルボンの造語で、冒険やロマンをイメージした言葉。
それをイメージして船の絵になっているそうです。
簡単に釣ることができない、日本海でのアラ漁にぴったりのお菓子です!
ゆかさんは寝ているわけではありません。
ただタイミング悪く目を閉じてしまっただけです。^^;
(ゆかさんあるある。)
さて、1番の桶にもう一度戻り、
いよいよ仕掛けを回収していきます。
桶が見えてきました!
アラの「桶流し一本釣り」漁のイメージイラスト
『いるなー、何か。』
真剣に、だけど嬉しそうな柴野さん。
このように糸は手でたぐり、「手釣り」をしていきます。
仕掛けがフグに噛み切られてしまうことも
多々あるそうです。。
こちらは、フグに噛みまくられた痕が見てわかるエサのイカ。
『いかに、フグより早く喰わせるかなんだよ。』と柴野さん。
糸の先に一体どんな魚がかかっているのか?
果たしてアラなのか?
ワクワクします。
1本目の針、
おお! なんかいる!
エサとして針にかけていたイカゲソでした。。^^;
次の針には、魚!!!
アラだー!!!!!
釣り上げたアラは、スポンジマットの上に寝かせて傷つかないように、
魚が暴れて船体に身を打ちつけないようにします。
エラ蓋からはみ出しているのは、浮袋ではなく
急激な水圧の変化で胃袋が反転してしまったもの。
尖ったもので刺し、空気を抜くことで
縮み戻っていきます。
次に行っているのが
スパイクを使用しての脳締め。
締まった瞬間に眼が見開きます。
次に、ナイフで喉の頸(けい)動脈を切って、
血を流し出します。
これが血抜きです。
海水の中に入れ、
どくどくと血が抜けていきます。
アラの神経締めです。
脳締めした際に開けた穴からワイヤーを入れて神経締め
クーラーの中の温度を徹底管理!
全てはアラのため!
神経締めを終えたアラは、すぐにクーラーボックスにて冷やし込み。
釣り上げてから、魚の徹底処理を終えるまでが物凄いスピードです!
次の桶はどうでしょう?
この鋭い歯でエサに喰らいつき
仕掛けを切ってしまいます。
タヌキメバルもよく釣れています。
コアラダブル。
小さめのアラは「コアラ」と呼ばれています。^^
次の桶はどうでしょう?
ムシガレイもどんどん釣れています。
最後はアララッシュ!
アラ2本同時がけ!
アラの桶流し一本釣り 終了!
アラを一匹釣ることがどれだけ大変なことなのか
おわかりいただけましたでしょうか?
無事、柏崎港に到着。
アラ一匹一匹にタグ付けしていきます。
一本釣りアラ 北海丸
このタグを見かけたら、柴野さんが釣ったアラで間違いないです。
その場で計量し、氷を詰めてトラックで市場に向かいます。
柴野さん
柏崎のアラについて1番重要な、漁の時間を全て見せてくださり
色々と教えてくださりありがとうございました!
北海丸さんが水揚げしたアラが
柏崎魚市場に並びました。
美味しい料理となって、みなさまの幸せな笑顔に繋がりますように。
アラについてのさらに詳しい情報や
アラのグラビア写真は以下のブログからどうぞ。
【あら・アラ・Niphon spinosus】
https://www.sumeshiya.com/blog/2002/09/niphon-spinosus.html