せみえび・セミエビ・蝉海老・Scyllarides squamosus
動物界 Animalia
節足動物門 Arthropoda
軟甲綱 Malacostraca
十脚目 Decapoda
セミエビ科 Scyllaridae
セミエビ属 Scyllarides
セミエビ Scyllarides squamosus
成体は体長30cmに達し、イセエビに匹敵する大型種です。
体表は外骨格が分厚く発達して非常に堅く、
体色はほぼ全身が赤褐色で、尾扇が黄褐色をしています。
背面すべてに顆粒状突起が密生し、その間に短毛が散在しています。
半円形の第2触角が体の前面に2つ並び、
その間からひげ状の第1触角が第2触角よりも長く伸びています。
こちらは胸脚（きょうきゃく）です。
歩脚（ほきゃく）とも言われます。
胸脚（きょうきゃく）の付け根部分。
瞬発的に泳ぐ時を除いて、
しっぽをお腹側に折りたたんで歩きます。
また、腹部背面の中央がやや出っ張っています。
体つきはセミエビ科特有の上から押しつぶされたような平たい体型ですが、
同じ科のウチワエビやゾウリエビなどに比べると厚みがあり、
体の縁に鋸状の歯がない点で区別できます。
これがセミエビの目です。
オシャレな紫色の爪
セミエビの尾扇（びせん）。
尾肢（びし）とも言います。
和名もこの体型がセミに似ることに由来しています。
セミエビに似ていますが体長数cm程度のヒメセミエビ類もおり、
大きさの点ではこちらの方がセミに近いです。
インド太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布し、日本では房総半島以南の太平洋岸で見られます。
外洋に面した浅い海の岩礁やサンゴ礁に生息し、イセエビやゾウリエビなどと同所的に分布しています。
昼は岩陰に潜み、夜になると出歩いて貝類や甲殻類などの小動物を捕食します。
刺し網などによってイセエビと同様に漁獲されます。
セミエビ科の幼生は、クラゲ類に乗って移動することから
『ジェリーフィッシュライダー』と呼ばれています。
（すべてのセミエビ類がクラゲ類に乗ると確認されているわけではありません。）
単に乗り物として利用するだけでなく、クラゲを食べることもあります。
体長5mmほどで透明な平たい体で浮遊生活をしている間は『フィロソーマ幼生』と呼ばれます。
浮遊生活から着底に移る中間の段階は『二スト幼生』と呼ばれ体長約3.5cmほどで体はまだ透明です。
近縁種のセミエビ属 Scyllaridesは、全世界の熱帯・亜熱帯域に多くの種類があります。
日本にはセミエビの他にもう一種コブセミエビ（瘤蝉海老） S. haani (De Haan, 1841) が分布しています。
セミエビよりもわずかに大型で、第1触角が第2触角より短く、背中側の起伏がセミエビよりも高いです。
インド洋・太平洋に広く分布していますが、島嶼部に多く大陸沿岸には分布しません。
日本では紀伊半島以南の沿岸域で見られるます。
セミエビの卵（外子 -そとこ-）
頭を外すと、
セミエビの卵（内子 -うちこ-）もありました。
腹肢（ふくし）の左右をハサミで切り、開いていきます。
綺麗に腹肢の殻が開けたら、
腹節（ふくせつ）に沿って、身を剥がすように持ち上げいきます。
綺麗に取れたら、一口大に切り、殻に戻します。
セミエビのお刺身です。
身は美味で、ウチワエビやゾウリエビより量も多いです。
刺身や塩茹でなどで食べられます。
セミエビのお味噌汁
美味しい出汁がとれます。
セミエビ丸ごとお味噌汁。
