はまぐり・ハマグリ・蛤・Meretrix lusoria
福岡県糸島市
合計8支所からなる糸島漁協のうちのひとつ加布里(かふり)支所に行ってきました。
マルスダレガイ科ハマグリ属ハマグリ
ハマグリの種類は3種あります。
・ハマグリ(絶滅危惧種)
・チョウセンハマグリ
・シナハマグリ
日本で食べられているハマグリの9割以上が
チョウセンハマグリとシナハマグリになります。
今回は
絶滅危惧種に指定されている『ハマグリ』漁に行ってきました。
糸島のハマグリ漁の歴史は古すぎていつからしていたのかわからないほどだそうですが
簡単な歴史背景を。
漁業者が始めたのは1960年頃からと言われています。
1970年代後半まで豊漁だったハマグリ漁獲量は激減。
1996年
ハマグリ等の貝類の資源が回復の兆し。一方、潮干狩り客の無秩序な採捕が横行。
漁協では、二度とハマグリの資源を絶やさないようにと資源管理に乗り出します。
・ハマグリの密漁、潮干狩り客に対する監視、指導
・ハマグリ保護区域(稚貝保護区)を設定
・操業期間の制限開始(10月〜翌年4月末が福岡県のルールですが、糸島はさらに厳しく3月末までに限定)
※一ヶ月出漁禁止などの厳しい罰があります。
この年までは採捕量の制限はなく、概ね殻長4cm前後の貝まで採捕していたそうです。
1997年
漁業者による蛤会(はまぐり会)が発足
貝資源管理規則を制定(採取量 1日1人あたり15kgまで)
福岡県水産海洋技術センターが加布里湾干潟におけるハマグリの生態調査と標識放流調査を実施
ハマグリ資源管理に対する意識が広がりました。
1999年〜
資源管理をさらに規制強化(採取量 1日1人あたり10kgまで、殻長5cm未満のハマグリは再放流)
※ちなみに福岡県のルールでは4cm以上は採取OKのところ、加布里では5cm以上に設定、有明海区は3cmから採取OK。
漁場を3区に分けて輪採制にすることで漁場が散らばって荒れることがなく
丁寧な漁ができます。
徹底した資源管理が行われた結果
僕が伺った2018年3月の時点で
海には270トンほどのハマグリがいると調査の結果が出ている中、
現在は10トンほどしか採取しないようにしているそうです。
多くの産地では、稚貝を撒き貝して生産量を増やす傾向にある中で、
加布里湾では、撒き貝することなく、地道に、むしろ自然にハマグリが生きています。
福岡県初のマリンエコラベル(Marine Eco Label)を取得。
資源管理に対しての早めの取り組みが評価された証拠ですね。
おめでとうございます!
1年目に2cmくらいまで育つハマグリは
2年目以降1cmずつくらい大きくなっていきます。
小 中 大 特大と4サイズある中で
酢飯屋で使わせていただいている大サイズは、6年ものになります。
大潮付近で出漁する加布里のハマグリ漁
現在は15名前後(平均年齢70歳以上)で手掘りされています。
この手掘りも加布里の特徴です。
貝カギという特注の手堀り道具
ねじり鎌
あとは、熊手も道具の一つです。
漁師さんそれぞれがお気に入りの道具で手掘りされています。
このオレンジのブイが上がっている時は出漁のサインです。
この日は天候にも恵まれましたので
ハマグリ漁をやらせていただくことにしました。
こちらが、今回お世話になった加布里支所の田中所長です。
早速、砂の中に手を入れると。
います、います。
元気一杯のハマグリたちがメッチャいます!
23歳の若手がいるということで話しかけに行きました。
こちらが高木さん。加布里生まれの加布里育ち。
漁船も持っていて、公私ともに本当に海が好きなんだなと感じました。
糸島ハマグリ漁体験2018.3(動画)
天然の牡蠣もあちらこちらにあります。
この牡蠣礁の周りにはハマグリが多くいました。
水揚げ後は
ハマグリを選別機にかけて殻長5cm未満のハマグリは再放流です。
自分がとってきたハマグリは選別機でふるいにかけられ
サイズクリアして残ったハマグリは各自、自宅に一度持ち帰ります。
なんと、ここからも手作業。
小 中 大 特大のサイズ分けは、この木の器具で行います。
京都などには発砲スチロールではなく
漁協職員の手作りの木箱にて流通されています。
ハマグリ自身が熱を持ち、温まり、やけるからという理由で指定されているそうです。
ハマグリの砂抜きは2日〜4日間。
漁船にぶら下げて自然の海水で行います。
田中所長、この度はお忙しい中貴重な体験をさせていただきましてありがとうございました。
酢飯屋で美味しいハマグリのお寿司に仕上げたいと思います。
ハマグリ漁のあとは、ご褒美。
海辺のカキ小屋でハマグリの炭火焼きです。
殻が分厚く大きいチョウセンハマグリと違い、
傷がつきやすいのか、鎌などで傷つけたわけではなく
殻は傷が目立ちますが中身は極上です。
どうして傷がついてしまうのかは現在調べ中とのこと。
ここからは
ハマグリの写真集になります。
お好きな方は以下どうぞ。
低温調理して再仕込み醤油で仕上げた煮ハマグリの握り寿司
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こちらは、豊洲(塩浜一丁目)の「はまぐりばし」
はまぐりばしの下に、たくさんのシーバスを確認。