感動の『コハダ投網漁』へ
佐賀県藤津郡太良町(たらちょう)
2018年 8月某日 早朝4時30分
待ちに待ったコハダ漁への同行。
台風が多い今年は、
その目をかわして現地まで行かなければなりませんでした。
まず飛行機が飛ばなければ行けず、
飛行機が飛んでも、漁に出られる気象状況でなければ出れず、
出ても、風が吹けばさざ波がたち、コハダが目視できず、
雨が降れば取材もできません。
コハダをみつけられなければそもそも
コハダを獲ることもできません。
コハダを見つけても絶対獲れるかと言えば、
その約束もありません。
どれか一つの条件でも欠けると出漁出来ないのが
漁師さんのお仕事であり、現場取材のお約束です。
この日は、飛行機OK、海も凪(なぎ)、体調万全
小雨も完全に止み、いつも通りのハレ男全開モード。
徐々に夜が明けてくるにつれて
漁師さんたちが続々と港に集まってきました。
が、
皆、地面にあぐらをかいて何やら話しています。
沖は風らしい。
これじゃ出ても獲れないし、危険だ。
僕たちからすれば全然感じないほどの風、港も穏やか。
でも沖は風。
安全第一。
わざわざ来たって、こんなこともある。
わざわざ来てるのは自分なのだから
そして、誰も悪くない。
また出直します。
せっかく来たんだから朝ごはんだけでも食べて行きなよ。
漁師さんからの優しいお言葉に甘えてご自宅へ。
これまでも何度もお世話になっているコハダ漁師の寺田さん宅。
お母様や奥様のコハダ料理が美味しいことは経験済みなこともあり
朝から涙が出そうになる。
優しく漬けられた【シンコの酢漬け】
【シンコの南蛮漬け】
ここのところコハダの水揚げがなかったので
【冷凍のコハダの酢漬け】と。
半分凍った状態のこれが思いの外美味しく、
【アイスコハダ】は、夏の食卓に常に欲しいような一品でした。
また明後日のコハダ漁に同行させてください!
また台風が近づいて来ている九州。
この日がスケジュール的にもラストになりそうだ。
また当日早朝4時30分には港にいるようにしますので!
というと、
大変だから、前日からうち泊まってけ。
一緒に夕ご飯食べよう。
と!!!
本当に本当にありがとうございます。
それでは明日の夕刻にまたお伺いさせていただきます。
風がおさまることを祈り、一旦太良町をあとにしました。
翌日夕刻。
時間通りに寺田さん宅へ。
到着して、乾杯するなり
コハダ料理の数々と佐賀県産の素材がたっぷりと使われた食卓。
テーブルにお皿が乗り切らないほど、次々と出て来ます。
サヨリの天ぷらやワカメのかき揚げ、シログチのすり身揚げ。
シバエビの塩茹で。
コハダの酢の物。
寺田さんご夫妻。
この日は、小さな男の子二人を奥様のご実家に預けてこられて
いつもの賑やかさは落ち着き、しっとりと大人な飲み会に。
奥が寺田さまのお母様とお父様(元 潜水漁師)
明朝からの漁に緊張、ワクワクして
お酒をセーブしているのは自分たちだけで、
さすが漁師さん、良く飲まれます。
一通り、お食事が済んだところで
〆の高菜の油炒めでご飯がとまらないお父さん。
これも本当に美味しかったぁ。
明日、船の上で見せるけんね。
一応簡単に予習。
ということで、投網を見せてくださる寺田さん。
明日は投網漁の前に、
個人的にちょっと港で釣りもしたいので
ほどほどのところで。
ご馳走さまでした。
良い集合写真が撮れました。
翌朝。
漁師さんがどんどん港に集まってきます。
先日と同じ光景です。
あとは、出漁するのかしないのか!?
GOサインが出ました。
これで念願のコハダ漁に出ることができます!
安全祈願。
出漁の準備が始まりました。
コハダは獲れたらすぐに氷水で〆るため
氷を多めに積み込みます。
いざ出航です。
トンビのお出迎え。
操縦は基本、お父様担当です。
舟先で海の状態や、周りの舟の状況などを見る寺田さん。
息子を見ながら船を操縦するお父さん。
これがすでに素晴らしい親子の形に思います。
朝日が出て来ました。
双眼鏡を取りだし、
コハダの群れを探し始めました。
そう、コハダは魚探を使いながらも、
基本、魚影は目視です。
30年以上使い続けているずっしり重たい双眼鏡
コハダの群れをみつけたようです。
ある程度群れの近くまで船で近づいたら
舟のエンジンを止めます。
シーンと張り詰めた海上に浮かぶ舟。
ここからは手漕ぎでゆっくりと近づき投網を投げるという手順になります。
音や人影に敏感なコハダは
ちょっとしたことですぐに逃げてしまうためです。
あそこに見えるのがコハダの群れ。
え!?
細かな波が立っているので、全くわかりません^^;。。
寺田さんが網を持ち、立ち上がりました。
いよいよその時が来ました。
静かに静かに近づきます。
ここからは同船しているもの全員会話をとめ
息を殺してさらに近づきます。
投げたーーーーーーーーーーーー!!!
網をすぼめていくと、
コハダが入っていました!
一投目は小さな群れだったようで、
網に入ったコハダの数は少なめ。
氷水ですぐに〆て、すぐに
次の群れを探します。
次の群れを発見。
エンジンを止めて、手漕ぎで近づいていきます。
もう一回見て見ましょう。
寺田さんの職人技。
ちなみに、ガタイの良い投網漁師さんが多い中
寺田さんはこの地域では圧倒的に小さい体です。
しかし、
腰を上手に使って重い投網を綺麗に広げながら投げる様は
全く引けをとらず、むしろカッコいい。
今度は小さなシンコサイズが網に入りました。
何度でも見たくなる!投網漁。
もう一回お付き合いください。
おおおおお!
かなり入ってます!!
これでもまだまだ少ないほうだそうです。
この水面がピチピチする感じ。
これがコハダの群れのサイン。
やっとわかってきました。
というか、
近くで見ればわかるのですが、
これを遠くから双眼鏡で確認するのが凄い!
何度もごめんなさい。
もう一回いきますよ!
コハダの群れが目の前に!
興奮を抑えて静かに静かに近づきます。
もう、海面がポコポコいってます!!!
バクバク。
次は、寺田さんの表情メインで連写いきますよー。
大漁キターーー!!
という嬉しい気持ちと
つい、魚目線に立ってしまい、
可哀想という気持ちが入り混じりながらも
この海の恵を大切にいただきます。
と改めて誓う瞬間でした。
もう、カッコ良すぎて、何回でも見てしまいます。
船上での朝ごはんタイム。
手作りのお弁当には
愛しか入っていませんでした。
昨夜美味しかったと連呼した高菜炒めがおにぎりの具材に!!
岩礁や流木に引っかかったり、
ダツのような歯の鋭い魚などが網に入ると切れてしまい
陸仕事となってしまいます。
寺田さんは宿題と言って苦笑いしていました。
海の上だけでもこれだけ大変なのに、
それ以外の網の手入れなど
目に見えない部分も漁師さんの尊敬すべき仕事の一つだということを
忘れないように。
漁師の親子フォト。
岡田も入れていただきました。
港に戻るとお母さんが待っていました。
コハダの水揚げをして
道具類、舟の掃除をして、係留します。
生のコハダ。
コハダの刺身を食べさせたいと、
お母様が獲れたてのシンコやコハダをすぐにさばいてくださいました。
一緒に網にかかっていたヒイラギやコイカなどはあっという間に煮付けにされていました。
コハダを扱ったことがある方ならわかることなのですが、
コハダの皮を手でむけることの凄さ。
鮮度が良い証です。
コハダを中骨ごと薄めのぶつ切りにしていく
【コハダのせごし】
【コハダの刺身(皮付きバージョン)】
【コハダの刺身(皮むきバージョン)】
小さなシンコを開くスピードも流石の速さです!
漁師さんと一緒に食卓を囲ませていただける幸せのひと時。
シンコの刺身
シンコの刺身(皮むきバージョン)
ふっくら焼かれた【コハダの塩焼き】
頭ごと、骨ごと食べられます。
もっとコハダマニアになりたい方は
酢飯屋公式ブログ
【こはだ・コハダ・小肌 ・Threadfin shad・Konosirus punctatus】
からどうぞ。
こちらが
感動のコハダ投網漁の動画です。