寿司職人目線で『築地市場』閉場前の様子をレポートしてみました。
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2018年10月6日(土)『築地市場』閉場。
僕が初めて築地市場に行ったのは20歳の時。
寿司修行中だった自分は漫画とテレビでしか見たことのない
聖地にワクワクしながら向かったのを覚えています。
知らないものだらけ、
知らないことだらけ、
勉強不足なのではなくて、経験不足を痛感することが度々ありました。
24歳で独立してからは築地駅の隣り駅、
八丁堀、新富町に住んで毎日のように市場に顔を出していました。
魚を買う日も買わない日も。
市場で魚を見ながら、市場の人とお話しをするのが
その時の自分にとっては最高の学び場だったからです。
さらに奥深くまで学びたい!
そう考えるようになってからは
生産地を見に、生産者さんにお話を聞きにいくことが
自分のライフワークとなっていきました。
その考え方は今も変わらず、
時間をみつけては気になる食材の生産現場に行き続けています。
生産現場に行くと
料理人は何から何までインプットして帰ってきます。
それをずっと続けていると頭でっかちの自己満足な人になっていきます。
当時の自分がそうでした。
店舗でもアウトプットすること、WEBでもアウトプットすることで
メニュー化したり、ブログを書いたり。
自分がインプットしてきた経験は、出来る限りアウトプットする習慣をつけていくと、今度は次のステージのインプットがやってきます。
出したらどんどん入ってきて、出さなければムズムズした日々が続きます。
築地に話を戻します。
現在の酢飯屋は年間で数回ほどしか築地市場で仕入れをすることはありません。
日本各地で気になる食材、特にお店で使用するものから中心に15年ほど各地を巡っていたら、使用するすべての食材を直送していただける仕組みが出来上がってしまったからです。
流通の発達も伴い、自分が日本のどこにいても
あの人からあの食材を仕入れることが出来るようになったのです。
(ただし、すべてに送料がかかります。)
これが正しいかどうかは人それぞれ考えがあると思いますが
それが出来るのかやってみたかったんです。
すべての産直をやればやるほど、市場の凄さを再認識させられます。
一箇所にこれだけのものが揃って、それをまとめて一つの送料で仕入れることが出来る仕組み。なんなら、自分で選んで自分で持って帰って来れる仕組み。
久しぶりに築地を歩くと、
やはりそこには自分のルーツが詰まっていました。
初心忘るるべからずです。
築地の場外と場内をしっかりと把握している人はまだまだ少なく、
度々道を聞かれます。
海外からの観光客で賑わっていると報道されておりますが
まさにその通り。
そりゃそうです。
自分が外国人だとして、
日本に旅行に行ったら一番行きたい場所ですもん。
食にまつわる市場の底力を感じます。
懐かしの場外を進んで突き当たり。
『波除神社(なみよけじんじゃ)』にはもちろんお参りに。
いつもは慌ただしくお参りして、何か急かされるように場内に入っていたので
今回はじっくりとお参りすることにしました。
毎年6月のお祭りになると宮出、宮入する
弁財天お歯黒獅子(雌獅子)と天井大獅子(雄獅子)。
玉子塚
すし塚
すし塚
海老塚
鮟鱇塚
活魚塚
昆布塚
海幸橋(かいこうばし)を渡って場内へ。
ここから一気に気持ちが引き締まります。
戦前戦後と大変な歴史を乗り越えて進化してきた市場。
ここが無くなってしまう寂しさもありますが、
それが時代の流れってものなのでしょう。
いつかは無くなり、新たに進化する。
涙をこらえて進みます。
この暗さ、この香り。
THE・市場!
そのうち発泡スチロールを使わない時代も来ると思います。
観光客がこんな写真を撮りたくなるのもわかります。
自分も撮りたくなりますもん^^;
市場には非日常が詰まっています。
ウエケンの上野くんも攻め攻めで男気は変わっていませんでした。
僕が秋葉原の寿司屋で修行中、彼も仲卸で従業員をしていました。
主にアナゴ担当。
当時から上野くんの扱うアナゴは極上でした。
僕が若くして独立してからも
やはりアナゴは上野くんから仕入れていました。
彼も若くして早々に独立、今では築地で一番
要するに日本で一番のアナゴ屋さんになり、さらに事業は拡大していて
来るたびにカッコイイ男の姿を見せてくれます。
築地魚河岸、大変お世話になりました。
ありがとうございました。
次は青果棟へ
わさびとマツタケ。日本を感じずにはいられません。
朝の忙しい時間に
このダンボールの中を掻き分けて、目当ての野菜を探すのも
今では良い思い出です。
ごはん屋さん、お寿司屋さんは流石の大行列。
この密集感が、より市場メシを美味しくさせるんでしょうね。
ゴム長(長靴)と言えば、伊藤ウロコさん。
本当に丈夫で、自分も全国生産現場行脚にはいつも持ち歩いています。
築地場外で料理道具と言えば『つきじ常陸屋』さん。
道具の品揃えだけでなく、その使い方の説明や
料理道具の文化を丁寧に伝える姿勢にいつもキュンとします。
お料理がしたくなる道具ばかりです。
飯台の中には『季節のおうち寿司』も!ありがとうございます!
豊洲に移転するのは築地場内だけで、
場外はこのまま残ります。
他にはない、ちょうどよい便利さが
また新たな魅力の街になると思います。
是非みなさまお出かけくださいませ!!!!
寿司職人目線で『豊洲市場』開場前の 様子をレポートしてみました。
はこちらからどうぞ。
http://www.sumeshiya.com/blog/2018/09/post-3862.html