トナカイ・Riendeer・Rangifer tarandus
[動物]
北極圏に生息するシカの仲間で、シカ科の中で唯一メスにも角(つの)が生えます。
冬の間は隠れ場所の多い森林で過ごし、短い夏に向けてツンドラへと季節移動をします。
この移動の時には数万頭もの大きな群れを作ることがあります。
人によく馴れるため、昔から家畜として飼育されてきた動物です。
『トナカイ』という和名は外国語っぽいですが、アイヌ語に由来しています。
【トナカイの1年】
1月 冬季限定もぐもぐタイムがはじまります。
雪の下に隠された餌を探し出して、雪を掘って食べます。
2月 最も寒い時期。空気が澄んでいるのでトナカイ特有の
カチカチと鳴る足音が響き渡ります。
3月 オスの角(ツノ)が伸び始めます。
大人のオスは1日で1cmくらい角が伸びます。
4月 メスや子供の角が抜け落ちます。
抜けて1〜2週間で角が伸び始めます。
5月 フサフサの白い冬毛が抜けて茶色で短い夏毛に変わりはじめます。(換毛期 かんもうき)
妊娠しているメスは出産のシーズンです。
赤ちゃんのからだの色は白か茶色です。
6月 生まれた赤ちゃんは1ヶ月ほどで母乳を飲む回数が減り、親と同じ餌を食べ始めます。
お父さんが赤ちゃんに近づくとお母さんは怒って追い払います。
お母さんの方が強くなります。
7月 オスはまだ子供に近づくことを許されません。
お母さんの真似(マネ)をして、子供がお父さんを追いかけることもあります。
8月 暑いのが苦手なので日陰で過ごします。
角の成長が止まり大きさが決まります。
9月 うっすらと冬毛に変わってきます。
春の換毛と違い、ゆっくり生え変わるので
気がついたらフサフサになっています。
10月 袋角-ふくろづの-(角を覆う皮膚)がはがれて角が完成します。
オスの気性が荒くなります。
11月 発情がきたメスはオスと交尾をして7〜8ヶ月後に出産します。
12月 オスの角が抜けてしょんぼりします。
メスや子供に追い払われるくらい弱くなります。。。
写真は夏毛ですが
トナカイの冬毛は防寒に優れた2層構造になっています。
白くて長い毛は空気を含み断熱の効果があり、
生え際のあたりには細くて縮れた毛がびっしりと生え、体温が奪われにくくなっています。
人間がフリースの上にダウンジャケットを重ね着しているような感じですね。
これで北極圏の厳しい寒さにも耐えることができます。
逆に、トナカイは暑さに弱いため、暖かくなってくると冬毛が抜け始め、夏には短くすっきりとした夏毛に生え変わります。
秋頃からだんだんと冬毛に変わっていき、冬にはフカフカの白い姿になります。
【蹄(ひづめ)】
トナカイの蹄は身体のサイズの割に大きく、薄くて広い形をしています。
実は、走ること以外に3つの大きな役割があります。
1つ目は、スコップの役割。
薄く鋭い蹄で雪や氷を掘るのに役立ち、冬の間も雪の下に埋まっている地衣類(ちいるい)などを食べることができます。
2つ目は、水かきの役割です。
季節移動の途中で川や湖を泳いで渡らなければならないことがあり、
広い蹄が水かきになって上手に泳ぐことができます。
3つ目は、かんじきの役割です。
かんじきは雪の中に足を踏み込んだり、滑ったりしないように靴の下に付けるものです。広い蹄が体重を分散させて、雪の上を歩いても足が埋まりにくくなります。