野澤食品工業
[調味料]
新潟県村上市。
木桶で仕込んだお醤油。
それがどれだけ貴重なことかと数値でお伝えしますと。
日本お醤油の出荷量全体の1%ほど。
木桶に住み着いた菌で蔵ごとの特徴が楽しめるということも
現在では少なくなってきているということです。
【木桶仕込 ふたなつ醤油】
一般的な醤油には、油を搾ったあとの大豆(脱脂加工大豆)が使われていることが多いのですが、これを使用すると、半年から1年で出荷が可能です。
大手メーカーでは約半年で出荷されます。
野澤食品工業さんでは丸大豆で仕込み天然熟成させていますので
溶けるのに時間がかかり、出荷までに1年半から2年(夏を二回越す)の期間が必要です。この長い熟成期間が優しく力強い旨味を生み出しています。
ちょうど大豆が蒸しあがりました。
ほっかほかの大豆です。
この大豆自体が味が濃厚!とっても美味しいーーー!!
蔵の中から外までご丁寧にご案内くださった野澤陽祐さん
この奥までながーーーーーい造り、創業180年の雰囲気も最高な蔵内。
もちろん登録有形文化財です。
麹と大豆を混ぜ合わせていきます。
一般的には「アスペルギルスオリゼー菌」が使われますが、
野澤さんでは醤油麹カビの「アスペルギルスソーヤ菌」を使用。
子供の頃に見たら、汚い蔵だなーときっと思ってしまうのでしょうが、
菌によって人間は生かされていることが理解できるようになってからは
この環境の凄さ、美しさを拝むようになりました。
しょうゆ LOVE。
桶ごとに熟成年数が違うため、
その色の違いを見せてくださいました。
目を瞑って、合掌し、頭を下げます。
ありがとうございます。
【ワイン樽仕込 ふたたび】
ワイン樽で日本酒や焼酎を仕込んでいる蔵はいくつか見たことがありますが、
ワイン樽でお味噌を作っているところは初めて見ました!
木桶で仕込むと蔵ごとの菌が住み着いて美味しい特徴がでますが、
大きな木桶で仕込むと品質の管理が難しくなります。
使い終わったワイン樽のサイズに目を付けて『ふたたび』味噌を仕込むことからこの名前が付けられました。
使用している大豆は糖類が多く含まれ、柔らかくぽってりとした味噌に仕上がる新潟県産『アヤコガネ』を、お米は糀菌が育ちやすい酒造好適米の五百万石と高根錦(村上産)。
酒米を使うことで、糀の溶けもよく、口触りの良いお味噌になるそうです。
漆塗りで仕上げられた昔の桶、日本酒が作られていた桶の証拠です。
こちらは漆が塗られてないないそのままの木桶。
醤油を搾る槽(ふね)。
搾ったあとに出る醤油の板粕。
この板粕もまた味わい深いです。
搾りたての生のお醤油です。
少し浮いている油。
丸大豆の油は重量の約20%もあります。
この油が醸造過程では、醤油が酸化して黒くなるのを
防ぐ役割を果たしてくれるそうです。
アミノ酸と糖分でメーラード反応が起き、
赤みがかった色合いの、透明感のある醤油になっていきます。
麦炒機。
初めて見ました!
自家焙煎麦。
蔵に住む菌さまたち。
【野沢食品工業邸(甚左衛門)】
江戸時代後期にできたとされており、過去帳までもが江戸時代まで残っていて、塩谷の庄屋として、歴史上にでてくる由緒ある家柄である。また、中条にある大総寺が平安時代の約850年前に塩谷に寺があり、この家が初代創設者(初代僧侶)と記されている。特に江戸の頃、村上藩の殿様が立ち寄った場所でもあり、奥座敷はほぼ当時のままで面影がしのばれる。武士階級より身分が下のため、床柱においては、杉材を使用しているが、当時のものでは最高級のものを使って、さりげなく、もてなしの空間を造り上げている。
また、床の間脇の書院、障子の桟も杉材ではあるが、横から見れば一枚板の木目になっていて、見えないところに、もてなしを表現しています。
それに、江戸時代に玄関は、真ん中付近であったことが、外部から軒桁受を見れば伺われ、縁側の幅が他の町屋と違い7尺5寸と広くなっている。
これは、殿様が槍を刺されても、届かない長さとして、注文したものとされる。内部の柱はケヤキの通し柱があり、若干の反りは歴史を感じさせ、特に吹き抜けの天井にある化粧梁は、醸造業を営んでいた麹菌が伝統を物語っている。
ささら戸やケヤキ戸にケヤキの茶箪笥、机、地棚及び神棚が見事に町屋を表現している。土蔵からは、古文書が数多くあり、筑波大学教授、平野哲也氏により解読され『江戸時代後期における湊町商人の経営展開』という文献が発表されている。現在において、醤油・味噌の製造販売をしており、町屋の地続きで工場があり、レトロの空間で見学もできて楽しめます。
味見をさせていただくと、自分の好みの味噌がきっとみつかると思います。
自分は、ワイン樽で仕込んだお味噌がとても好みでした。
新潟県村上市塩谷1227
野澤食品工業さんのホームページからも
ご注文可能です。気になった方、是非お試しくださいませ。
http://www.nozawa-shokuhin.co.jp