檜山納豆(ひやまなっとう)
秋田県能代市
元祖 檜山納豆さんに行ってきました。
あれ?
看板は檜山ではなく、桧山になってますね。
創業は江戸時代。
秋田音頭にも唄われるほど、秋田では有名な
檜山納豆。
あれ?
ここも桧山になってますね。
のれんは、檜山になってる。
ま、
檜も桧もどちらも『ヒノキ』ですからどちらでもOKという感じですかね。
ちなみにこのあたりの地名は檜山町になっています。
こちらは檜山納豆さんに初めてお伺いした2014年に見せていただいた
驚きの工程。
藁納豆(わらなっとう)、わらずとと呼ばれるこの藁の入れ物は、
お母さん方が一つ一つ手作りされていました。
当たり前のように作られていますが、
現代人にとっては、非日常の光景です。
元々は稲。
からの副産物が藁ですからね。
お米には感謝しきれませんね。
パックの納豆よりも温かみを感じるのは、素材と手作りからくるものでしょう。
この窪み、蒸した大豆を入れる場所ですね。
綺麗に切り揃えられた藁を
折り返したり、編んだり、整え切ったり。
食べる部分ではない、このわらづとにさえも
入念なチェックを入れるお母さんたち。
藁細工のようです。
こちらが大豆の蒸し器です。
収穫された大豆は10度ほどで冷蔵管理されていて、
蒸す前に15時間ほど浸漬します。
その時間はもちろん、季節ごとに微調整されています。
120度で1時間ほど蒸した大豆を納豆に使っていきます。
これは、藁を殺菌する機械です。
納豆菌はそもそも、藁の中にすんでいる菌ですが、
それ以外の雑菌もすみついていることもあります。
120度で30分。
藁に付いている雑菌を滅菌します。
ん??
この時、納豆菌も死んでしまうのではないですか?
弱い納豆菌だとここで雑菌と一緒に死んでしまいます。
しかしなんと、
強い納豆菌はその程度では死滅しないそうです。
檜山さんの納豆に力強さを感じるのは、
これらの強力な納豆菌が含まれていたからなんですね!
ちなみに、納豆菌の大敵は
『バクテリオファージ(bacteriophage)』
納豆菌を食べ尽くし、死細胞さえも残さないツワモノ。
感染すると納豆が粘らなくなるそうです。。。
蒸しあがった大豆の品質チェックも目視です。
発酵室(Fermentation room)
42℃で24時間、その間、納豆菌が大豆のタンパク質やでんぷんを分解して
納豆を作ります。
その後、藁ごと寝かせてから出荷になります。
完成した藁苞納豆をさらに製品として綺麗にしていきます。
細かく飛び出してしまった藁などを切って
見た目を整えていきます。
中身を開けて見せていただくと、
バッチリ納豆が出来上がっています。
パッケージを巻きつけて
商品完成です。
こちらが元祖 檜山納豆 十五代目 西村庄右衞門 西村省一さんです。
藁の未来と人手の心配をされながら、
『シンプルを保つのが仕事。』とおっしゃっていました。
わらづとから納豆を綺麗に取り出す方法知ってる?
そう言いながら、手慣れた手つきで藁づとを解き始めてくださったのは
西村さんの妹さん。
納豆がチラッ。
出ましたー!
まずは藁づとの蓋を外します。
糸引いてますねー^^!
ふたを外したら、こうしてくの字に折ります。
グイッと思い切って!
そうして少し戻すと藁づとから納豆がほぐれました。
ほわっと。
それをひっくり返して、器に入れていきます。
重力のままに。
元気いっぱいの納豆たちが
一粒一粒、力を合わせるようにして、
粘りをシェアして降りてきます。
思っている以上にたっぷりと入っている
檜山納豆さんのわらづと。
納豆降臨です。
お箸で持ち上げてみるとわかるのですが、
お豆のドッシリとした重みと先述の熱殺菌でも勝ち残った納豆菌の
粘りの強さを感じます。
様々な納豆を用意して、
その糸同士で綱引きしてみたいと思うほど
この納豆からは横綱感を感じます。
箸で混ぜていくと、さらにその強度は増していきます。
魯山人さんも良く混ぜて食べると美味いとおっしゃるように、
納豆の組成、旨味成分のメインはグルタミン酸です。
ネバネバは、『ポリγ(ガンマ)- グルタミン酸』が鎖のように結合したもの。
この結合をかき混ぜてちぎることで旨味成分を分離させて旨味を引き出すことができます。
そして、塩で食べるのが檜山流です。
寒暖差が激しい地域で穫れる大豆ほど味が美味しくなると言われていますが、
ここ秋田の大豆もその環境で育ったものですので、抜群の美味しさです。
あきた白神大豆・リュウホウが原料です。
『お塩で食べるのは、豆の味をしっかりと味わうためにですか?』
と質問すると
醤油がまだ高価だった江戸時代、庶民の食べ物だった納豆は
当時は塩で食べていたそうです。
う、うまいです。
本当にうまい。
僕が酢飯屋で檜山納豆さんを使わせていただこうと決断したのは、
この瞬間でした。2014年
ちなみに、
秋田県内でも北側は塩気で納豆を食べるのに対して、
南側は砂糖を入れる方が多い傾向にあります。
納豆を取り出したあとの藁苞(わらづと)の美しさ。
お母さん方が手作りしたこの作品を捨てるわけにはいきません。
納豆を取り出したあとの藁苞(わらづと)は乾燥させておいて
この藁納豆の藁で藁焼きをさせていただいております!
かつおの藁焼き
金目鯛の藁焼き
この香りと炙り加減が炭火の良さとはまた違った感じで
様々な食材を1ランク上に進化させてくれます。
ただ、もちろん 藁焼きが合わない素材もあるんです。
これは、日々実験しております。
カツオの藁焼きは美味しくて有名ですが、
サワラの藁焼きのお寿司も、美味しいですよ。
味付けは、塩だけで十分です。
灰になった藁もまた庭の植木の肥料に出来たらと思ってます。
秋田音頭の歌詞として唄われるほど、
秋田では有名な納豆ではございますが、
この納豆を知らない方もまだまだ多くいらっしゃると思います。
酢飯屋で檜山納豆が出てきたら、
このブログを思い出していただけましたら幸いです。
ちなみにこちらは、パック詰め納豆のライン。
檜山納豆エコバッグ
西村社長とパチリ。
【元祖 檜山納豆】
〒016-0151
秋田県能代市檜山字檜山町19-1
ホームページ http://www.hiyama710.com
以下、しばらくは
檜山納豆さんの藁苞(わらづと)のグラビア写真になります。
大量の納豆を手で混ぜていると
どんどんどんどんネバネバしてきて、
その糸の引き具合を確認したくなってきて、
ふざけているつもりはないのですが、
【納豆カーテン】をついやってしまいます。
右手前にあるのは、秋田県横手市の『羽場こうじ店』さんの二倍麹味噌。
納豆は、味噌で食べるとまろやかで美味しいです、
大豆三昧。
檜山納豆と同じ、秋田県と言えば『いぶりがっこ』。
刻んで納豆に混ぜると最高です!
酢飯屋バーベキューでも大人気だった納豆ブース。
やはりネギとの相性は抜群ですね。
わらづと納豆の一口手巻き寿司
【納豆巻きと日本酒のペアリング】
想像以上に難しかったのが
意外と引き立ってしまう海苔の苦味対応と
納豆を引き立てるための温度決め。
バッチリな1本を見出しました。
1番良かったのは、
杉勇 39℃ 銅チロリ 小さめの平盃に醤油1滴
2番が、大老 古酒 平成13年もの同じく39℃ 銅チロリ 小平盃に醤油1滴
3番が、鯨波 無濾過生原 40℃ 銅チロリ 大盃
温めたおちょこに、あらかじめ醤油を1滴垂らしておきます。
口の中で、ひきわり納豆より細かくなるまで良く噛んで
海苔と酢飯と合わさってぐちゃぐちゃになったところで
お酒を醤油の入ったおちょこに注ぎ、合わせてみてください。
納豆菌が元気に動くのは42℃前後
それ以上の温度の熱燗は納豆からでる香りとバッティングして
納豆臭が大暴れしてしまいます。
さらには海苔ともけんかしてしまうので、口の中が苦くなります。
燗の温度を39℃前後くらいにすることで
海苔とお酒を口内調理からの口内調味するには
食べてすぐにお酒を含むと早すぎます。
大粒の納豆がひきわり納豆くらいになってきてからがベスト。
納豆巻きをずっと噛んでいると納豆汁の素ができて、
そこに杉勇を含むことで納豆汁になります。
納豆巻きに合うのは甘い系の酒より醤油系のお酒が良さそうです。
【納豆巻きとお茶のペアリング】
浅蒸しの煎茶を、ぬるめの25度くらいで合わせると
納豆を食べやすくエスコートしてくれます。
紅茶は18度で合わせると日本人としては、気品ある納豆巻きに変化したように感じます。
ぬるめの抹茶と合わせると、一体化して口の中が海苔になります。
玉露の茶葉を氷で戻して、水分を含んで柔らかくなった茶葉は
旨さと苦味のバランスが絶妙で、
檜山納豆と合わせると旨苦い納豆のお寿司になります。
納豆手巻き寿司 黒米酢飯と和芥子(わがらし)で
納豆混ぜ巻き寿司
納豆うどん
子供たちの納豆巻き食遊び
次男は納豆の細巻き
長男は納豆と刻みカンピョウの中巻き
失敗してもいい。
どんどん巻くのだ〜!
いずれ、君たちの特技となる。
今日はしろたまりで食べてみようか。
藁をわざと触らせることで、
子供達に本来の納豆を五感で感じて欲しい。
次男、千歳も小さな頃から納豆は大好き。
ネバネバしながら
パクって食べるのが可愛くて。
その納豆で君の体が作られていく。
次男作【なっとうおばけ】
どうゆうこと??^^;
なっとう・ナットウ・納豆・Nattou