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小夏(こなつ)

[青果食遊び]

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高知県のMさんから『小夏(こなつ)』が届きました。
暑さの訪れを感じさせていただけるこの柑橘を見ると、
洋服ダンスにTシャツが登場するタイミングです。
小夏の一番の美味しさは、なんといっても外皮を剥いてから出てくる
あの白いフカフカした甘皮(内果皮)にあります!
小夏は他の柑橘と比べて甘皮が甘いです。(甘いと言っても苦味も含みます。)
ですので、小夏の皮を剥く時はあえて白い部分を残すようにして剥きます。

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【小夏の切り方】
小夏はリンゴ剥きが基本です。
リンゴを剥く要領で、ふわふわの白い部分を残し、クルクルと薄く剥きます。
他の柑橘類とは違い、白い部分(内果皮)も食べられるので、
皮の黄色い表面だけを薄く剥きます。
この白い部分がとても重要で、
ふかふかしてほんのり甘苦いため、
甘酸っぱい小夏と合わせて食べると美味しさが増します。
お子様によっては、この甘苦ささえも苦く感じますので、本人の確認が必要です。

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あまり欲張って、これくらい薄く剥いてしまうと
外皮の苦味も感じてしまうので、
もう少し厚めに切ったほうが良いです。

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と言っても、苦いもの好きな方でしたら、
これくらい薄く剥いても美味しいです。

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小夏は、このように切っては、いけません。
種取り工程が増えてしまいます。

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中央に種が寄っているので、このように中央を避けて
斜めにそぎ切り、兼、乱切りにしていくと
種無し部分を多く切り分けることができます。

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薄すぎず、厚すぎず、
これくらいの厚みで剥くのがちょうど良いと思います。

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上手に繋げて剥くことができた場合は、
必ず、孫悟空ごっこをしてください。

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あとは、美味しくいただくのみです。
器:和田山真央さん

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元々は江戸時代・文政の頃(1820年あたり)に、
宮崎県宮崎市の真方安太郎氏宅にて、偶然自生しているのが発見されました。
その後、明治20年に、明治政府の中央官庁であった「農商務省」(現在の農林水産省)の技師、
田村利親(たむらとしちか)氏によって、正式に和名登録されました。
標準和名は「日向夏蜜柑(ヒュウガナツミカン)」。
学名「citrus tamurana」(ラテン語)
後半=tamurana は、田村さんが命名した為です。
田村利親氏は、元々高知が故郷で、
その後地元に帰ってから、この樹を移植し、高知県でも広まりました。
高知では小さい実がもてはやされた事から、『小夏』という名が広まり、
定着しました。
その後、食味や収穫時期などが異なる変異種の発見、
品種の登録に至り、小夏は、高知で独自の美味しさを発展させる事となりました。

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高知では小夏と呼ばれていますが、
原産地は宮崎県由来の『日向夏(ヒュウガナツ)』の枝変わりによる変異種です。
ただ、宮崎県のものは小夏よりも大玉で収穫がはやいため、
酸味が強く残っています。
一方、高知の小夏はその名の通り小さく、時期と個体差にもよりますが
日向夏よりも甘みがあります。
ですので、『小夏』と『日向夏』は
別物として味わった方が良いと思います。

小夏(こなつ) = 日向夏(ひゅうがなつ)というわけではなく、
小夏は、枝変わりの変異種が多く、
小夏と言っても、実際はその中でさらに細かな品種に分かれています。
例えば高知県で枝変わりの品種として栽培されている小夏の品種としては、
『西内小夏(にしうちこなつ)』・『宿毛小夏(すくもこなつ)』
『室戸小夏(むろとこなつ)』・『松岡小夏(まつおかこなつ)』などが挙げられます。
実際に販売される際には、これらの細かな品種名は使用されず、
高知で栽培され、出荷される小夏は『土佐小夏(とさこなつ)』
という名称で出荷される事がほとんどです。
(※宿毛小夏(すくもこなつ)は、高知県の西南地域にある宿毛市(すくもし)産の小夏の総称、ではありません。
一部混同されている場合がありますが、「宿毛小夏」という品種があり、
例えば土佐市で作っている温室(ハウス)小夏の品種も「宿毛小夏」だったりします。)
このように、単に小夏と言っても、高知県だけでも、このぐらい細かな品種に分かれており、様々なものが存在します。
そのような品種の違いに加えて、ハウス栽培か、露地栽培かによっても、味、品質、価格が大きく異なります。
高知では、土佐市の波介(はげ)地区でハウス栽培されている土佐小夏の中から、
最も高値で取引される小夏が出る場合が多く、
ハウス小夏の名産地として、その名を馳せています。
ハウス小夏は、露地栽培の小夏と比較して出荷が早く、
まだ肌寒い3月半ば頃から出回り始めます。
甘みも強く、高価ながらとても人気があります。
ハウス小夏の出荷時期は、4月半ば頃から本格化し、
4月下旬頃から最盛期に突入します。
5月が最も出荷量が多く、美味しい小夏が沢山出回る事から、
初夏のフルーツとして、広く愛されています。

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高知産の小夏は、土佐市と宿毛市で多く作られています。
特徴は、温州みかんより、一まわりほど大きくて、
鮮やかな 黄色い皮の果実で、独特の甘酸っぱさが特徴です。
高知で主に育てられている『小夏(こなつ)』は
『土佐小夏(とさこなつ)』とも呼ばれ収穫時期は栽培方法によって変わります。
ハウス栽培の早生小夏は3月初旬頃から、
普通小夏は4月上旬から収穫され、7月頃まで長く出回ります。
路地栽培は4月の中下旬から、7月頃まで。
春~初夏を代表する果物として、4月~7月頃は全国各地から需要があります。
また、
小夏は小玉なほうが果肉の房が柔らかく濃い味で、好まれる傾向にあります。
小玉のまま成長させるのは大変難しいため、大玉よりも希少価値が高くなります。
収穫が終われば『マルハナハチ』で受粉を行い、
また来年美味しい実がつくのを待ちます。

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サラダに小夏が入っていると、ちょうど良い酸味と甘みが合います。