くるまえび・クルマエビ・車海老
[すし・sushi料理海の生き物釣り・Fishing食遊び]
【家族旅行】今回のテーマは熊本県天草で『車海老(クルマエビ)』
2020.10
熊本県 上天草市 維和島(いわじま)
明治時代に、日本で初めて
天然の車海老(くるまえび)の畜養という形での養殖を手掛けたのが、
【山哲水産】さんです。
野牛島と維和島を結ぶ 『東大維橋(ひがしおおいはし)』を渡って、到着。
運転だったので撮影できませんでしたが、橋の上からの景色も絶景でした。
今回は特別に
あのミニボートで池に出て、クルマエビの水揚げを間近で見せていただけることになりました。
山哲水産さんはこのような養殖場を5ヶ所、
種苗育成用に1ヶ所を有しており、質の高い種苗を自ら生み出し育成しています。
養殖場も給排水が不要な自然換水システムになっているので、
筋肉質で甘みのある、車海老を生産することができるんです。
池のすぐ横は海なので、
エビの天敵であるイカ、タコ、肉食魚などが池に入り込み
エビを食べまくってしまうこともあるそうです。
今回、お世話になったのは、
山哲水産の5代目。
山崎光祐(やまざきこうすけ)さん 33歳(2020年現在)
アミューズメントパークのワクワク感をあっさりと超えるドキドキ感。
家族みんなで乗り込み、
いざ出発!!
さいこー!
水や酸素を循環させるための水車。
出発して30秒で、漁場に到着ーーー!!^^
早速仕掛けのカゴを引き上げるとー、
いましたー! クルマエビ!
生き物って、本当に美しい。
水生生物が水から出た時の美しさはまた格別です。
まさにピチピチ!!
カゴに入っていたクルマエビを急いで地上に運び、水に移さなければ。
んんん?
この水槽。というか桶みたいなのに入れるんですか???
あ!
子供達が観察したり、触ったりしやすいようにと
ここに入れてくださったんですね!
きれーい!
かわいい!!
と
大喜びする子供達。
はい。僕もずっと見ていられます。
活きている車海老を見るのは、子供たちも初めてかな。
この美しさを忘れないように、
忘れてもこのブログを見て思い出してもらえるように記録記録。
通常は、水揚げしたクルマエビは、
このような生け簀(いけす)に移されて
静かに落ち着かせます。
これだけ密集していても暴れないなんて、
クルマエビさんたち、もしや寂しがり屋だな?
クルマエビのエサに使用しているのは
『車海老育成用 シグマ P-2』という魚介類がメイン素材となったエサです。
天然の車海老が希少になった現在、
天然の車海老の赤ちゃんをこのように畜養することで、
本来高級で、味の美味しい車海老を適正価格でいただけることに感謝です。
クルマエビの寿命は約1年、
脱皮は満月の時にすることが多い、
水槽だと12〜14℃の水温が良いが、池の水温は20℃前後が良い、
冷た過ぎても死んでしまう、
クルマエビの産卵は3月〜9月などなど
質問には、なんでも答えてくださいました。
で、
さっきの桶、
なんと!
クルマエビ釣り体験のためのサプライズでした!!
山崎さん、本当にありがとうございます!!
これは、大人もやりたい!!!
しかし、残念ながら水揚げされ、桶に移され、
このビックリ環境下におかれたクルマエビにとって、
積極的に喰いついてくれるクルマエビがいるわけもなく、
口元にエサを少しでも寄せたエビを針で引っかけるような釣り方で
何匹かGET。
引く力は強いので面白いです。
山崎さんは、それもわかっていての、このおもてなしに感激いたしました!
【活きたクルマエビの持ち方】
クルマエビは、ここを持つと安全です。
頭と胴体の接続部分辺りですね。
尻尾の先端がこんなに尖っていて、
腰を丸める筋肉が発達しているので、
ピシっと丸まった時にこのトゲに刺されないように持たないと危険です。
直線的にしか筋肉を動かせないので、上記の持ち方をすれば、
トゲ攻撃をくらわずにすみます。
この模様がクルマエビの特徴です。
透明感も美しいですね。
クルマエビの名前の由来は、
丸まった時に、車のタイヤに似ているから。て。
それなら、バイクエビや自転車エビもありえたな。。
クルマエビにはザリガニのような大きなハサミはなく
小さいハサミがたくさんあります。
ヘルメットと呼ばれるこのパーツについている角の部分。
兜(カブト)みたいでカッコいいですよね。
尾ビレが4枚。
扇型に開いてこれまた美しいパーツです。
これで水をかくようにして、腰を曲げながら瞬間的に移動できるわけです。
ちなみに
海の老人と書いて『海老(エビ)』。
その由来は、ヒゲがあって、腰が曲がるところからきています。
車海老は、整列する傾向にあります。
頭の部分もずっと観察していたいほど面白い構造です。
黒い目も宝石のようです。
そこも縞々模様。
秘密を教えちゃうと、
エビの急所は、この胸の奥あります。
水揚げしてきたクルマエビは、全て氷で冷やし込み、
みんなで念願だった車海老パーティーをすることに!!
会場はこちら。
地元の下山公民館をお借りさせていただきました。
氷の冷たさで動きが鈍くなっているとはいえ、
鮮度抜群でギュンギュン、ビンビン動くクルマエビに
長男(小4)と妻で串を刺していきます。
まずまず上手に串打ち出来てます。
次男(小2)は、綺麗なお姉さんとジャガイモの皮をむきむきしています。
このお姉さん、実は山崎さんの奥様、のりこさんです。
誰とでもすぐに仲良くなれるのを得意とする次男、さすがです。
せっかくのクルマエビ、塩焼きするなら炭火にしようと、
あらかじめ七輪を天草まで送っておきました。
焼き上がりが楽しみだぁ。
クルマエビの頭落とし。
僕が料理長となり、各自に役割分担を的確に指示することで
皆が調理に楽しく集中し、準備がはかどりました。
これぞまさに『食遊び』!!
焼けたそばから食べていく。
熱いけど、それが美味い!
いい感じにクルマエビの炭火焼きが焼けてきました。
エビの尻尾側から串を刺すのが山崎さん流(上)
胸から串を刺すのが岡田流(下)
焼き立てを、いっただっきまーす!
どうも、車海老料理研究家の岡田大介です。^^
注) 料理教室ではございません。
完全なるプライベートです。
この場所。
普通に、いい感じの公民館です。
ただ、どこにでもある公民館かと言えば、そうではありません。
入り口の戸を開けたら、目の前には海が広がっています。
さきほど串打ちしたクルマエビを茹でていきます。
茹で上がりました。
茹でたてのクルマエビも、いっただっきまーす!
活クルマエビの殻むき
クルマエビの背腸(セワタ)取り
背腸(セワタ)は、その名の通り、背中にある腸なので、
消化されたエサやフンなどが入っているのでしっかりと取り除きます。
【レモン汁を手につけると殻がむきやすくなる??】
ちょうどエビフライ用にレモン持ってきていたので、
もったいないですが、やってみると、あら剥きやすい。
酸の効果でしょうね。
スベらなくなります。
エビの尻尾だけを茹でることで青紫色を朱色にします。
ほら、この通り。
生車海老を握りやすいように開いていきます。
寿司を握ることが楽しくて仕方がない岡田大介。
酢飯は自宅で炊いたものを持参。
俺がいて、魚と酢飯があったら、そりゃお寿司握ってみんなで楽しみたいでしょ!
クルマエビの尻尾の綺麗さはやはり残すべき気がする。
お客様が食べやすいようにと、長年、尻尾は取り外してお寿司をお出ししておりましたが、
エビの尻尾の美しさは、やはりご覧いただいたほうが良いなと改めて思いました。
綺麗で美味しいクルマエビ。
人気者なわけです。
生の車海老の握り寿司
尻尾の色の変化が綺麗です。
茹でた車海老の握り寿司
夢のような、クルマエビ寿司パーティー。
全ての料理を作って、並べてからいただきます!
も楽しいのですが、
今回のように、作りながら、出来た順に食べていくバーベキュースタイルも
やはり楽しいです。
そして何より出来立てが美味しいです!
握りたてのクルマエビの寿司を頬張ってくださったのりこさん。
『おいしーーーーーーー! 何この酢飯ーーー!!』
って、そっちかーい!!
ま、酢飯屋としては最高に嬉しい褒め言葉ですが。^^;
エビフライを作る時の基本。
尻尾の中の水分を切り出す。
これをしないと油ものすごく跳ねますからね。
学べや学べ。
そして、今回の旅の主目的である
『車海老のエビフライを車海老の生産現場で、自分たちで作って食べる!』
ここに実践中でございます!
目的を持った旅の良さは、その達成感にあります。
子供の記憶は残酷なもので、
成長のために新しいことを吸収しまくるためか、
親が思い出と思っていることを片っ端から忘れていきます。。。
しかし、今回のように皆で目的を決めて、それを実現出来たことは
きっといつまでも忘れずに、良い記憶、経験として
心と体に刻まれていくと信じています。
生物観察と調理実習が同時に出来る食遊び。
生きものが食べものになるまで。
そのことを決して忘れてはいけません。
パン粉は僕にまかせろ。な次男
エビフライ、揚げていきまーす。
今回使用しているのはなたね油。
夢のような、クルマエビフライパーティー
エビの身の繊維をしっかり断っていないものは、
腰がクルッと丸まっているのがわかりますね。
公民館のメインスペースを贅沢に使って
車海老パーティー。
公民館パリピ。
山崎さんご夫妻も岡田家と一緒になってこの時間を全力で楽しんでくださり
本当に嬉しかったです。
山哲水産の山崎さんご夫妻、
お忙しい中、何から何まで大変お世話になりました。
家族に幸せをくださった御恩、しっかりとお返しさせていただきます。
またお会い出来ますその時を楽しみにしております。
ちなみに、天然の車海老についてですが、
干潟を含め広くて浅い海に生息しています。
三河湾や伊勢湾周辺で多く漁獲されています。
愛知県は全国2位の水揚げということもあり
愛知県のシンボルとして『県の魚』に制定されています。
愛知県の主な産地としては西尾市、蒲郡市、南知多町です。
全国で流通しているクルマエビは養殖物が大半ですが、
愛知県では養殖をしていないため、愛知県産のクルマエビはすべて天然物です。
田原市にある愛知県栽培漁業センターでは、稚エビを育てて放流しています。
こちらは、高知県土佐湾にて釣りをした時に使用した
エサとしての活クルマエビ。
茹で車海老(くるまえび)
生クルマエビの握りずし
クルマエビの握りずし
クルマエビの握りずし 自家製マヨネーズとスジアオノリを添えて