日本一熱い!98度の温泉、荒湯(あらゆ)の魅力について
[記録]
兵庫県新温泉町(しんおんせんちょう)
春来(はるき)川の下流にある湯村地区は、
旧山陰道の宿場町、湯治場として発展してきました。
温泉の発見は、嘉祥元年(848年)
天台第2世の座主、慈覚円仁(じかくえんにん)が発見したといわれています。
付近の地質は花崗岩 (かこうがん) と
3百万年前の火成岩の流紋岩( りゅうもんがん) です。
川沿いの足湯も人気です。
山からの冷たい水と熱い温泉が混ざって、程よい温度帯で気持ちよさそうに泳ぐコイたち。
コイ以外にもたくさんの川魚が泳いでいました。
荒湯(あらゆ)は、谷底の河原に湧出していて、泉温は98度。
日本一の高温泉です。
温泉は北西〜南東の谷と南西〜北東方向に走る湯村断層の交差部に位置していて
この断層に関係したものと考えられています。
町内には泉源が約40ヶ所あり、公衆浴場や旅館のほか、
荒湯を源泉とした町内の各戸配湯など、多様な活用が図られています。
温泉を利用して冷暖房が機能している旅館さんなどもあります。
昔、荒湯では麻(あさ)、楮(こうぞ)、布、綿などを蒸していましたが、
最近では湯を利用した蒸し野菜やゆで卵、
アクの強い山菜を茹でたり、コンデンスミルクのメイラード反応を活用した
荒湯キャラメル、化粧水の開発などが行われています。
湯気の黙々具合が他の地域の温泉と違いますもん。
湯村温泉の荒湯には5つの【湯つぼ】があります。
・慈覚大師座像下の湯つぼ
・かみの湯つぼ
・なかの湯つぼ
・しもの湯つぼ
・したの湯つぼ
名前は春来川の川上から「かみ」「なか」「しも」としているようです。
温泉の変化などがあっては大変ですので
いち早く知るために、温泉町観光協会では毎日同時間に、湯つぼの温度・湯量を測っています。
これらの5つの湯つぼは
利用目的によって使い分けるのが、湯村スタイルです。
まずは、このアッツアツの温泉が飲んでも美味しい!ということで
小田垣氏に注いでいただきました。
湯村温泉の開湯者『慈覚大師』の座像下にある湯つぼ。
ここが【慈覚大師座像下の湯つぼ】
ここには手長柄杓やじょうごがあり、飲み湯や湯たんぽ用などに利用されています。
あっつううううううううううううううう!!
美味いとか感じられる温度超えておるわ!!!!
しかし、温度が下がってくると、確かに旨味のある湯でした!
『旨湯(うまゆ)』です!
この柵の中にあるのが【しもの湯つぼ】
湯の流れから一番の元湯で、特に温度が高いです。
昔はここでカニなどを湯がいていたそうですが、
ゆで汁などで濁ったり臭ったりするため、
今はしたの湯つぼを利用することになったようです。
温度が高いため四方に柵を巡らせて、
今はシンボル的に湯の沸くのを見るのが中心となっています。
(98度~92度ぐらい)
しもの湯つぼの中は
温泉成分で自然のアート作品が出来上がっていました。
こういうのはアートとは言わないですね。
自然現象ですもんね。
炭酸水素塩・塩化物・硫酸泉
源泉温度 98 ℃(日本一)
湧出量 毎分470リットル
で出来上がった造形美。
【なかの湯つぼ】
この湯壺(ゆつぼ)に15分で荒湯たまご(固茹で)が茹で上がる!
界隈で販売されている生卵を購入し、
ここに吊るして待つと茹で卵が完成するやつです!
みなさん、茹で卵食べてますねー!
地元の方々も茹でにきています。
これが生活の一部にあるんなんて、羨まし過ぎますね。
この、なかの湯つぼが地元の方にも観光客にも一番利用されていました。
先程の、しもの湯つぼよりも少し低い温度帯(96〜90度)です。
で、茹で卵食べてみました。
うまーーーーい!
味付けいらない!もう、程よい味になっている。
(注:あ、自分は塩分超控えめ味が好きなタイプです。)
これは後日、雪の日に撮った写真ですが
そのすぐ隣りに【かみの湯つぼ】があります。
なかの湯つぼよりもさらに少しだけ温度が下がった94〜88度くらいです。
固茹で玉子なら20分、半熟玉子なら15分です。
このように段階的に温泉の湯の使い方を
使い分けているわけですね!
写真手前の柵の中が【しもの湯つぼ】
写真左に見える穴がいくつも空いている場所が【なかの湯つぼ】
階段を降りて下の川沿いにあるのが
【したの湯つぼ】です。
下から湧き出る湯と上の4つの湯つぼから流れた湯を利用しています。
ワラビ、ゼンマイなどの山菜を茹でたり、アクの出る大きなもの(タケノコとかですね。)
あとはカニなどの茹で汁が出るものなどは
先程の茹で卵したところではなく、こちらでするわけですね。
湯村温泉の荒湯は誰でも、いつでも無料で使用できる温泉です。
本当に素晴らしい、
しかし大変な高温ですのでくれぐれも火傷に注意しなければならないことと、
ここに住んでいる方々の生活の一部をお借りしているのだという気持ちを絶対に忘れてはいけません。
それから、コインが投げ込まれていることがよくあるようです。
コインは長時間温泉水に放置すると
10円玉のような銅貨の緑青化や1円玉のアルミなどは腐食しますので
投げ込まないようにしましょう。
九州は活火山なので蒸す文化が発達しているのに対して
湯村温泉は湯がく文化が発達しています。
昔は春来川の水と湯村で湧く温泉がぬるまったところで洗濯などもしていたそうです。
湯村の温泉には重曹が主成分で入っているからですね!
ちなみに、湯村温泉の美容室はすべて、
この天然の重曹成分たっぷりの温泉水で頭を洗ってくださるという!!
湯村の中心から半径400m以内に民家が密集しているのも特徴的です。
この小規模な範囲の中に源泉が63個もあるそうで
各家々で温泉が出ていて、かけ流しという贅沢な環境。
蛇口をひねれば70度以上のお湯が出るおうち。
お風呂にも台所にも大活躍です。
神社仏閣の前や周辺を表す『門前町(もんぜんまち)』ならぬ、
『温前町(おんぜんまち)』という朝野社長の造語がとても印象的でした。
湯村には、2021年現在、500個ほどの事業所が町にあるので
先程の63個以外は湯財産区から1トン230円で温泉水を購入できるそうです。
何という安さ!!
『湯水のように使う』をまさに実践できてしまうのがこの湯村温泉です。
川上(かわかみ)には年配者さんが住み、
若いものは川下(かわしも)に暮らすという文化もあったようです。
ゆけむりの宿「朝野家(あさのや)」の朝野泰昌(あさのやすまさ)さんが
こんなお話をしてくださいました。
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荒湯から流れた温泉と春来川の水が混ざり、ぬるま湯が出来ていて、昔から洗濯場として使われいた。
温泉成分が重曹泉なので、白く柔らかくなり、加齢臭もとれるので、洗剤や漂白剤もいらない。
でも洗濯場にはローカルルールがあり、川上から年功序列に並んで洗濯をしていました。
決して湯村温泉の年配者の方が若嫁をいじめているわけでなく、
昭和60年ぐらいまでは紙おむつを使う人が少なく、布のおむつだったため、
汚物の付いたおむつを川上で洗わなかった。
当然若い主婦は川下に行き、年功序列に並んでいた。
年齢が若い人が近いほど、話しやすく、湯村温泉のしきたりやルールを井戸端会議を通じて聞いていた。
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この川の利用の仕方、荒湯の使い方などが
住民の井戸端の場所であり、老若のコミュニケーションの場としても機能するわけですね!
荒湯のすぐ横にある荒湯地蔵尊。
無病息災を願いましょう!
ちなみに、
雪の湯村温泉もまた風光明媚です。
川の水や温泉水を利用して、ピューピューと道に吹き出させて
大きめの道は雪が積もらないほどに溶けていきます。
車の除雪からスタートの朝
同じ場所とは思えないほどの美しい雪景色。
こちらが雪の荒湯
続き
その続き
こんな雪の日だからこそ、
茹で卵したくなっちゃうんですよねー。
今回はサツマイモも茹でてみます。
こんな感じで荒湯に入れて紐で吊るします。
そして茹で卵を荒湯で15分。
固茹でにしていきます。
僕は2月2日生まれなので、22番。
寒過ぎたので、近くのカフェ『cafe bloom』さんでお茶して
30分以上茹でちゃいましたが、問題なし!
すぐに二つ食べたかったので、雪で急冷。
熱々の玉子は雪にあっという間に沈んでいきます。^^;
雪の中の茹で卵も、うまーーーーーい!!!
こんなパウダースノー、シロップかけて、かき氷にしたくなるわ。
氷をかいても、いないから物凄いフワトロだろーなー。
すみません。シロップかけて食べてもいいですか?^^;
荒湯天狗(あらゆてんぐ)さま
ご立派!