そうぎょ・ソウギョ・草魚・Ctenopharyngodon idellus・鯇魚・Cá trắm cỏ
[淡水魚]
動物界
脊索動物門
脊椎動物亜門
条鰭綱
骨鰾上目
コイ目
コイ科
クセノキプリス亜科
ソウギョ属
ソウギョ
原産地の中国では、淡水魚の中で最も多くの量が養殖・出荷されています。
植物プランクトン食のハクレン
動物プランクトン食のコクレン
淡水生巻貝類などを食べるベントス食のアオウオ
と、ともに【中国四大家魚】と称されています。
草魚(ソウギョ)は名前のとおり草食で、水草や水辺の草を食べます。
もともとは、大陸性の長く大きな大河と、そこに連なる湖沼群に生息しているので、そうした環境に適応した生態を持っています。
特に中国南部では、他の四大家魚とともに
農業と有機的に結びついた伝統的養魚システムで養殖され、
農村地帯の重要な蛋白源となっています。
ベトナムからアムール川流域まで、
中国を中心に東アジアに広く分布していますが
日本を含む世界各地に移入され定住している外来種になります。
中国の広東省などでは鯇魚(ワンユイ)と呼ばれています。
ベトナムでは、草のコイを意味する Cá trắm cỏ(カー・チャム・コー)と呼ばれています。
体長は2mほどまでに達する大型魚ですが、
日本で見られるのは殆どが体長1.2m程の個体です。
体は全体的に緑灰色で、腹面は黄白色、特に目立つ模様はありません。
コイに似ていますが、コイの背ビレは前後に細長いのに対して、
ソウギョの背ビレは小さくて丸いです。
浮上期から体長30mm程度までの間は、
雑食性で植物性プランクトンのランソウ類、ケイソウ類、緑藻類、ベンソウ類等のほか動物性プランクトンのワムシやミジンコを餌としています。
体長30mm程度から130mm程度までの間は、
植物性プランクトン以外に浮遊する動物性のものやユスリカをエサとしています。体長130mm程度を越えた個体は草食性で、
水中で成長する藻や水面で成長するウキクサやヒシなどの他、
マコモやヨシなどの抽水植物や水面上に垂れ下がった雑草なども食べます。
口に歯はありませんが、
喉に丈夫な咽頭歯をもち、これで植物を刈り取って食べます。
緑色をした1cmくらいの丸い糞が新鮮な状態で水面に浮いているのを確認できたらソウギョが近くにいる可能性が高いです。
繁殖期の初夏になると、
成魚は大河に集まって上流に向けて遡上し、水温18℃以上で産卵活動を行い浮遊性の大型卵を産みます。
産み出されると水を吸い受精卵は5mm程度に膨らみ大河の流れに乗ってゆっくりと下り、約50時間らか70時間で卵黄を持った仔魚が孵化します。
卵は海まで流されると死んでしまうため、
日本列島では海まで距離があり、勾配が弱く流れが緩やかな
利根川水系以外では自然繁殖が成功しない要因とされています。
この繁殖行動と浮遊卵という特性はハクレンなど他の四大家魚にも共通しています。
中華料理では、
コクレンなどと並んで、重要な食用淡水魚で、中国南部を中心とした各地で養殖が行われ、流通しています。
通常は、蒸し魚、煮魚、唐揚げ、スープなどにして食べることが多いです。
中国浙江省杭州市の浙江料理のひとつ「西湖醋魚」は、
水煮にしたソウギョに酢の風味を効かせたくず餡をかけた名物料理です。
福建省の清流県と寧化県、広東省仏山市では、
刺身や生の切り身の和え物も伝統的に食べられていますが、
ソウギョには有棘顎口虫が寄生している事が多いので、
生食は非常に危険です。