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中村人形 ギャラリー「傀藝堂(かいげいどう・KAIGEIDO)」

[スーパーリンク岡田イズム記録]

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福岡に行ったら、どこがオススメ?
色々あるけれど、ギャラリーなら、「傀藝堂(かいげいどう)」に是非!

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2023年4月 福岡市中央区桜坂
完成な住宅街の一角に完成したこの建築物は
「中村人形」さんの作品を間近で見ることのできる
洗練されたギャラリーです。

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限りなく自由度の高い伝統工芸である「博多人形(はかたにんぎょう)」を
制作する「人形師」で4代目の中村弘峰(なかむらひろみね)さんにお会いしてきました。
博多祇園山笠(はかたぎおんやまがさ)の人形作りのほか、
福岡をを中心に、迫力と繊細を合わせ持った野外モニュメントなど
手掛けられています。

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「傀藝堂」の「傀(かい)」とは人と鬼の字が示すように神懸かった人間の意。
そこから転じて怪しい、大きい、操り人形などの意味を持つ不思議な文字。
「傀(かい)」という字に込められ意味は
『自分で作っていると思うな』
という中村人形二代目衍涯(えんがい)の口ぐせ。

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「人形師は何か大きなものによって作品を作らされている」という事。
その謙虚な気持ちを中村人形の代々の跡取りが忘れることのないように
後世の中村人形に伝えるために冠されています。
そして
人が天に突き動かされて技を振るう「藝(げい)」という字を合わせて、
それを多くの方に感じていただくための場所として
「傀藝堂」という名を付けたそうです。

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工房はギャラリーすぐ近くに別棟があるそうですが

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今回は何を隠そう、
カミヤアーキテクツの代表であり、友人の神谷修平(かみやしゅうへい)が
福岡に完成させた建築物ということもあって

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神谷ファンとして、すぐに駆けつけさせていただきました。

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外観はもちろんのこと、特殊な形をした敷地を
素人には到底思いつかないような角の組み合わせで整えられた内装は
写真では全く伝えきれませんので、

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ぜひ、足を運んで本物を見ていただきたいです。
そして、本物を見ていただきたいのは建物だけではなく、
中村人形さんの作品の数々です。

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ここからは、この日展示されていた傀藝堂(かいげいどう)さんの、
声を失うほど見入ってしまう博多人形を
中村さんの作品コメントとともにご紹介させていただきます。


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【雨滴(うてき)】
雨粒が飛び跳ねる姿を人形に閉じ込めた。
雲母のきらめく下地に胡粉の白い置き上げで描いた文様が神秘的。
中村弘峰 作

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【大名の大狛犬】
大名ガーデンシティに鎮座する「大名の大狛犬」を作るための
10分の1サイズの原型雛形。
この雛形を3Dスキャンして10倍の樹脂の原型を作り、
砂型を作成してアルミニウムを鋳込んだ。
中村弘峰 作

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【The Legend of Cobra Twist】
レスラーはなぜ戦うのだろう。
そして、人はなぜその戦う姿を熱く見てしまうのだろう。
力みなぎる存在がぶつかり合う時、
そのはじけたエネルギーが見る人に分け与えられていくように思える。
芸術もそういうものであればいいと思う。
複雑に絡み合う姿はまるで、
ギリシア彫刻のラオコーンか安本亀八の相撲生人形のよう。
この作品を作っているときにアントニオ猪木の訃報を知った。
中村弘峰 作

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【壽のつはもの】

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溌溂さのかたまりのような人形を作りたい。
そのエネルギーを金のボールに込めて
こちらへ思い切りパスをしてくるような。
見ると思わず力がみなぎるような。
中村弘峰 作

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【紅い龍】
これから始まる伝説の前の一瞬の静けさを。
中村弘峰 作

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左:桃太郎
右:金太郎

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【桃太郎】
まるで宝箱の中から飛び出して
ちょこんと座っているかのような桃太郎。
金地、置き上げの嵯峨彩色で嵯峨人形に見立てた。

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手には犬・猿・雉子の張子を乗せている。
中村信喬 作

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【金太郎】
桃太郎と対をなす金太郎。
むっと口をへの字に結んで力強さを見せ、

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手には熊猿兎を乗せた嵯峨人形。
中村信喬 作

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【吉美団子】
3人のお孫さんの干支を描いた陣羽織を着た桃太郎
3人分の節句人形
中村弘峰 作

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袋の中の量から想像して、おそらく犬にきび団子を渡しているところです。

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作品名はご依頼いただいたおじいちゃまおばぁちゃまのお名前から一字ずつとって
「吉美団子」としました。
桃太郎は父の作品が立ちはだかるのと、
節句の定番すぎてなかなか手が出せませんでしたが、
お陰様できちんと向き合わせて頂き、
ありそうでなかった桃太郎のワンシーンの切り取り方が出来た気がしています
また、自分の定番としての桃太郎をこの形の彩色違いで作って行く予定です。

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【瀧津瀬】

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富士の白糸男瀧の神が流れ落ちる滝の中から現れた姿。
中村信喬 作

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【相槌】

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能の演目「小鍛冶」から着想を得た作品。
刀匠宗近(むねちか)が稲荷明神の化身とともに
槌をふるって鍛えた刀には「小狐丸」という名がつけられた。
中村信喬 作

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【月の使者】
上弦の月は成長である。
中村信喬 作

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【表裏】

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開廊記念作品【結びの一番】
「傀」の字からインスピレーションを受け、
桃太郎と鬼の相撲の人形を新たに制作。

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鬼を父 信喬が、

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桃太郎と猿の行司を弘峰が作り、

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親子で初めて人形の合作となりました。

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【Great Mission -Storm Hazard-】
「犬抱き」という種類の人形がある。
犬は多産で子供の守り神と信じられていたことから
多く作られた意匠だと想像できる。
節句人形の本質はその時代時代の英雄像を人形に反映させているのでは?
というアイディアから、現代の英雄はアスリートであるという仮説を導き出して
溌溂とスポーツに躍動するシリーズを展開させてきたが、
そろそろ英雄像の拡大を試みたい。と思っていた矢先、
たまたま「孤塁双葉郡消防士たちの3.11(岩波書店)」という本を手に取った。
東日本大震災の時、原発から最も近い福島県双葉消防本部の
125名の消防士たちが原発事故のため他県の応援も得られず
不眠不休で続けた消防活動を綴った凄まじい内容に絶句した。
綺麗事だけで済まない現実に葛藤しながら、
でも人形を作ることしか芸のない僕は
その葛藤を人形で表現していくしかない。
そうやって気づけばこの作品ができていた。
強い眼差しを持った現代の「犬抱き」。
生きるということを人形で現した一つの姿。
中村弘峰 作

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【一礼】
「自然の皆さん、ご迷惑おかけしております。」
中村弘峰 作

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【道草 藍】
道草くって気づくことはとても多いと思います。
それで怒られるのは仕方ないけれど。
そもそも作品作りなんて、道草くってばかりの仕事です。
中村弘峰 作

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【新たな道】
作ることは何かを壊すことと背中合わせ。
だからむやみやたらに何かを作ることには抵抗があります。
それでもなお僕たちは新しいものを作っていく、
そういう性分の生き物なのでしょう。
先人が引いた道をその先へ。
その過程で壊れてしまうものに心を配りながら、
今日も一日よく働くのです。
中村弘峰 作

ーーーーー

〈Green eyes シリーズ〉
緑の眼をした生き物たちのシリーズ「グリーンアイズ」を
ここ数年制作している。

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【御伽馬来熊(おとぎまれーぐま)】
【御伽山魈(おとぎまんどりる)】
【御伽飛布狒狒(おとぎまんとひひ)】

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【御伽美洲野牛(おとぎばいそん)】
墨で瞳を入れ、目頭と目尻に極細のボカシを入れたその眼には
自分でもなんだか吸い込まれそうになる時がある。

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この眼に僕は「自然が人間の行いを見ている」という意味を込めている。
だがまさか、その呪文に自分がかかってしまうとは思わなかった。
自然のこと、生き物のこと、地球のこと。
歴史のこと。不勉強なことがたくさんある。

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【御伽純白犀(おとぎじゅんぱくさい)】
「学ぼうよ」と自分の作品に言われているような気がして色々と知ろうとしたり、
ちょっと行動してみたり、すぐに忘れてしまったり。
その中で一番マシな方法が多分
この「グリーンアイズ」を増やすことだ。
中村弘峰 作

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【青嵐(せいらん)】
青嵐とは初夏に吹き抜け緑を揺らす風の名前。
その風が人の姿を借りて現れた姿。
中村弘峰 作

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【長崎幻影】

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東インド会社のカピタンが柿右衛門の壺を手に長崎の街並みを眺めている姿。
中村信喬 作

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【伊万里の海】

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伊万里の港で、カピタンに東インド会社の文様VOCが入った
柿右衛門様式の鉢を捧げている姿。

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こちらは小物類の物販コーナー

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【小烏神社(こがらすじんじゃ)】
旧家から引き継いできたという、いくつかの木材を
ギャラリー入り口扉のハンドル部分やこの神棚にも活用されています。

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良く見ると、白いカラスが飛んでいるようにも見えます。

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壁面には、中村さん親子の想いが叶ったその心情が記されていました。
ーーー
人と人が出会う場所を作ること、それが私たちの長年の夢でした。
それは、家業を本来あるべき姿に整えるためです。
文化を未来に繋ぐためには、
常に時代に合わせて変えるものと変えてはいけないものを見定める必要があります。
我が家、中村人形の作品はそういう思考のもと変容し錬磨されてきましたが、
作品をお客様に見ていただく場所は百貨店の美術画廊や
コマーシャルギャラリーなどの空間であり、
そこで催される展覧会期間のみに限定されていました。
例えば、畑から採れたばかりの野菜をその場でワゴンに並べてマルシェを開くように、
アトリエに隣接した場所にギャラリーを構えられたら、
そこで私たちの作品を色々な人に純度高くお見せすることができる。
100年続いた家業の次の100年を見据えたとき、
このギャラリーは必須の要素でした。
そして、この望みに神谷修平さんは見事に形を与えてくれました。
まるで地表から縦に隆起した岩盤に古代人が深く掘り進んだ洞窟のような重厚な外観。
四角く切り取られた大穴から空間の内部に入ると限りなく削ぎ落とした抽象度の高いディテールの積み重なりが外観から受ける印象を一変させて、
今度は未来感さえも想起させます。
施工をお願いした未来図建設にも非常に難易度の高い工事を
忍耐強く、良いものを作ろうという信念を持って取り組んでいただきました。
改めて建築とは設計と施工の共演であり、
人の手で作り上げられる藝術なのだと実感しました。
時代の変化に耐えうる強度のあるデザインが
私たちの家業にこれからずっと寄り添い続けてくれることに喜びを感じています。
中村信喬 弘峰

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【Kプレート】
カミヤアーキテクツが手がけた建築物として
その証明になるものをを施主さん自らのお申し出により
外壁にひっそりと輝く「Kプレート」。
今後、世界のあちらこちらでKamiyaが活躍し、
このKプレートのある場所を目指して
神谷修平の追っかけ旅が楽しめる人生が
僕の人生の一部でもあります。
〈カミヤアーキテクツ(KAMIYA ARCHITECTS)〉
https://kamiya-architects.com/
そしてなんと、このプレートにもご縁が!
手掛けたのは、株式会社鎚絵の大野浩介さん。
suido cafeの看板を作ってくださったあのお方です!^^!
https://www.sumeshiya.com/blog/2016/11/suido-cafe-5.html

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弘峰さん
刺激的な作品の数々と、
お人柄が表れた作品に込められたメッセージ。
貴重な時間をありがとうございました。
これから世に発表される作品の数々も楽しみにしています。


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【中村人形ギャラリー「傀藝堂(かいげいどう)」】
住所:福岡県福岡市中央区桜坂1-10-46 1F
TEL:092-791-5316
営業時間:13時~17時(4/29(土)~6.30(金))
休廊日:水曜・土曜・日曜・5/4・5/5 *4/29-30は開廊します
入廊料:無料
公式Instagram:https://www.instagram.com/kaigeido/