葉ニンニク
[青果]
葉ニンニクとは、ニンニクになる前の成長過程の段階のもので、
1月2月あたりに高知県で旬を迎える冬野菜です。
中国から伝わった中華野菜の一つだと言われています。
9月頃にニンニクの種(一片)の植え付けをして
1週間ほどで芽を出し、その葉が大きくなったものが葉にんにくです。
葉は、4月を過ぎると葉先から茶色に変色し始め一気に枯れていきます。
葉の栄養が地中のニンニクに移り、
地上の葉がほぼ枯れた5月頃、
大きく育ったニンニクの収穫となります。
通常、ニンニクとして栽培されている品種は、ニンニク(芋)に特化した品種ですので
葉にんにくとして収穫されることは基本的にはありません。
葉にんにくは「葉にんにく専用品種」のため、
ニンニクになるまで待たず葉にんにくとして収穫されます。
葉にたっぷりと栄養がある状態で収穫するため美味しいわけです。
もし葉にんにくを収穫した場合、
地中のニンニク(芋)には栄養がたっぷりと届かないため
美味しく育たず、そもそも再生栽培ができないので
葉にんにくは、葉にんにく専用品種がベストなわけです。
葉ニンニクは、ニンニクよりも香りや辛みが穏やかで
色々な料理に使いやすい野菜です。
細かく刻んで、
料理によって、白と緑で使い分けたり、混ぜたり。
すり鉢で擦って、
白みそとお砂糖とともにしっかりと練って、
柚子酢や醸造酢を混ぜて、「葉ニンニクぬた」にするのが高知流。
一般的には酢味噌や、辛子酢味噌を「ぬた」と呼びますが
高知の「ぬた」は葉にんにくがたっぷりと入っているので鮮やかな緑色です。
お刺身(特にブリ)に、お
醤油の代わりに「葉ニンニクぬた」をつけて食べられるように
このように添えてあります。
葉にんにくの香りと旨みに酢味噌の酸味と甘みが重なって
脂が多いブリなどのお刺身をさっぱりといただくことができます。
ちょこんと付けるも良し、
たーーっぷり付けるも良し!
もう一つ、高知県での葉ニンニクの代表的な使われ方として
「すき焼き」があります。
写真は「鯨の煮物」ですが
甘辛いあのすき焼きの味付けで。
香りだけでも美味しいのに、
食べたらもう!
ネギも美味しいけれど、葉ニンニクが手に入るなら
すき焼きには、葉ニンニクを入れたくなってしまうほどです。
他にも高知の郷土料理で、葉ニンニクが欠かせないのが
おからに豆腐、卵やすりゴマ、卵、砂糖、塩と一緒に葉にんにくを混ぜて
魚の背から詰めて蒸す
「鯛蒸し(たいむし)」です。
ここでも葉ニンニクの旨みと香りが絶妙に効いています。
そして中華料理、特に四川料理でもよく使用されています。
代表的な料理である回鍋肉(ホイコウロウ)にはキャベツではなく
本場では葉にんにくが使われています。
今後も、葉ニンニクを追いかけていきたいと思います。