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八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)

[スパイス・spiceスーパーリンクハーブ種実類調味料]

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2024年5月2日 長野県長野市
このパッケージでお馴染みの七味唐辛子。

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長野駅から向かって、善光寺の入り口にお店を構えるのが

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八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)さんです。

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信州善光寺御髙札前 名物 七味唐からし
根元 八幡屋礒五郎

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店舗の目の前には、七味缶デザインの丸椅子が!
金色の蓋部分は、しっかりとクッション素材になっています!

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店内には、七味唐辛子関連の商品が色々とあります。
どれも興味深い。

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歴代イヤーモデルがずらりと展示されていました。

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七味缶のデザインは六代栄助さんが大正13年(1924年)に考案されたそうで、
今年、2024年でちょうど100年記念。
この百年缶は、長野県産素材100%使用の特製七味唐辛子になっています。

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七味缶のサイズがこんなにあったんですね!
右の小さなストラップの缶にも、ちゃんと七味を入れて持ち運べるようになっています。^^

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店内奥には、「横町カフェ」という、八幡屋礒五郎さんのカフェがあり

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なんと各テーブルには8種類の七味唐辛子が置かれています。

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注文したお料理に、気になる七味をかけて味見することもできるので
ここで、自分の好みの七味の系統を絞り込むことができます。

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3種のカレーの中から選べる横町あいがけカレーを注文。
・黒カレー(信州牛ゴロゴロ)
・赤カレー(バターチキン)
・緑カレー(ガラムマサラ・シュリンプ)
今回は、黒と赤のあいがけで!

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七味バターがとろり。

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黒カレーは、結構な辛さです!!

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まずは定番の七味から。

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裏面は善光寺デザイン

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原材料は
唐辛子
陳皮
胡麻
麻種
紫蘇
山椒
生姜
圧倒的バランスの黄金率七味

※開封後は、吸湿・虫害・退色を防ぐため、冷蔵庫に保管し早めに使用することが推奨されています。

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ゆず七味

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原材料は
唐辛子、柚子、陳皮、黒胡麻、白胡麻、紫蘇、山椒、生姜
という、柚子入りの七味唐辛子。

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深煎(ふかいり)七味唐辛子

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原材料は
白胡麻
唐辛子
柚子
青海苔
黒胡麻
山椒
紫蘇
生姜

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七味 ガラム・マサラ

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MADE IN JAPAN ではなく、 MADE IN NIPPON というのがいいですねー!

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原材料は
唐辛子
クミン
コリアンダー
ブラックペッパー
クローブ
シナモン
陳皮
という唐辛子を主体としたミックススパイスっぷり。

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バードアイ(BIRD EYE)

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原材料は唐辛子のみの、一味唐辛子。

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山椒(さんしょう)

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原材料は山椒のみの、粉山椒。

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七味にも使われている原料で作られたジェラート。
どれも気になるものばかりです。
カカオニブ
麻種(おたね)
万願寺
柚子ミルク
みそ
はちみつ生姜

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今回、八幡屋礒五郎さんにお伺いしたのは、
シーベジタブルオリジナルの「青のり七味」の開発のためです。

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別室にて、レシピ考案と試食を繰り返し行いました。

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八幡屋礒五郎 × シーベジタブル

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どの素材をどのくらいの比率で調合するかで、味も香りも全く異なる面白さ、難しさ。
店頭でもこのようにして、お客様の要望に応じたオリジナルブレンドで七味を調合していただけます。

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シーベジタブルが作る七味ですから、
青のり(すじあおのり)が主体で七味らしさもある絶妙なバランスをイメージして

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まずはAパターン・Bパターンを調合していただきました。

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Aは、2種の唐辛子(益都と万願寺)の両方加え、
麻種(おたね)、柚子、生姜、ガーリックで
旨味、香ばしさ、香り、辛味を整えたもの。
いきなり成功!? というくらい美味しい!

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Bは、唐辛子を益都のみにして、
麻種の代わりに白ごま、柚子の代わりに陳皮
ガーリックの代わりにオニオン。
これも美味しいが、ややAが優勢か!

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これまでにオリジナル七味を作られてきた皆様の、個性的なラベルの数々を見せていただきました。デザインやシールの質感で商品のイメージが全く変わってきます。

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青のり(すじあおのり)の美味しい食べ方ランキングの上位に君臨している
ポテトとの組み合わせ。
七味をそのまま味見するよりも、ポテトと食べるとよりその特徴が感じやすいです。
青のり七味もやはり、ポテトとの相性は抜群で、
青のり単体では足りない香りや旨味が重なり合って、
彩りもよく、良い商品が作れそうな予感がビンビンします。

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Cパターン、Dパターンの調合もお願いしました。

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Cは、Aの時に強く感じ過ぎたガーリックを白ごまに変更。
Dは、唐辛子を1種から2種に追加して、ガーリックやオニオンを抜き、紫蘇で。

どれも悪くないのですが、何かもうひと超えという印象。
もうちょっとで整いそうなので、
E、Fのパターンもお願いしてみました。

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Eは、青のりを増量し、出過ぎたガーリックを控えめにしつつゴマで旨みを補う。

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Fも、青のりを増量し、ごま感よりも、麻種(おたね)でナッツ感と旨みを調整。

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お忙しい中、僕たちからの提案に親身になって何度も調合してくださった八幡屋礒五郎さん。
一度持ち帰り、また改めて味見や品質の変化をチェックすることと、
別途G、Hパターンをお願いし、後日送っていただくということで
この日の青のり七味調合の試作を終えました。

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G、Hパターンの結果はまた後日、味見をしてここに記載したいと思います。
皆様が喜ぶ、良い商品が作れますように。

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数日後、これまでのパターンの中で一番よかったのはEという結果になり
そこにベストな青のりをブレンドすることで、ほぼ完成形ができました。
次は、製品化に進みます。

ーーーーー

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試作会議の後、歩いて数分。

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善光寺の横に位置する長野県立美術館へ。

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七味缶 食卓であゆんだ100年 と題して
「八幡屋礒五郎 七味缶 百周年記念展」が開かれていました。

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くるま缶の実物大がお出迎え。

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ここからは、七味缶の歴史、七味缶の世界にどっぷりと浸ってください。

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圧倒的、巨大七味缶を囲むようにして、
七味缶について様々な展示がされていました。

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七味ができるまで
七味に含まれる素材は全て何らかの食材、つまり生きものです。

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左:素材を焙煎するのに使われていた鍋
右:煎り上がった唐辛子を入れる「ハリッカ」と呼ばれる容器
ザル状のものに和紙を複数重ねて貼り、柿渋が塗られています。

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大正時代までは、唐辛子、薬味すべてを石臼で碾いていたそうです。

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白薑(ビャクキョウ)、紫蘇、山椒は製粉機後にこのような篩(ふるい)にかけて
原料に合わせて、篩の目の粗さを変えて、種子と果皮の選別などをしていたようです。

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原料を地元産に
「信州の七味唐からし」としての魅力をさらに高めるべく、
長野県産唐辛子の生産を拡大しています。
一. 蕃椒【バンショウ】 《七味唐からし》の命ともいえる唐辛子
二. 白薑【ビャクキョウ】 辛味やさわやかな芳香が欠かせない生姜
三. 紫蘇【シソ】 食欲をそそる芳香で食材の味を引き立てる
四. 山椒【サンショウ】 痺れるような辛さと香りの高さ
五. 陳皮【チンピ】 甘味と苦み、芳香も一役買う
六. 胡麻【ゴマ】 香ばしさが唐辛子の辛みを和らげる
七. 麻種【オタネ】 コクのある香りと風味

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〈七味を彩る七つの素材〉
七味唐辛子を構成する素材には厳密な定義がありません。
店ごとにそれぞれの「七味」があり、その調合に工夫があり、
それが味や香り、色などの特徴となって表れています。
八幡屋礒五郎の《七味唐からし》は、辛味を出すための唐辛子、
辛味と香り両方を併せ持つ山椒・生姜、
風味と香りの良い麻種・胡麻・陳皮・紫蘇の七つ。
辛味と香りの調和のとれた独特の味わいが特徴です。

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〈七色唐辛子と七味唐辛子〉
七代栄助は戦時下の物価統制令による七味唐からしの売価設定に対して
不満を表明した陳情書を、当時の商工大臣に提出しました。
「七色唐辛子は乾唐辛子を主とした粉で、七味唐辛子は焼(焙)唐辛子を主とした粉でつくられている。焼く(焙る)には祖先伝来の独特の技術を必要とし、焼くことによって風味及び保存の点で優れた製品を生み出せるのであり、質の点からも、コストの点からも、七色唐辛子と七味唐がらしの売価を同一にするのは不当だ!」と書かれています。

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〈三大七味比較表〉
八幡屋礒五郎 ・ やげん掘 ・ 七味家本舗

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現在、多彩な商品を提供している八幡屋礒五郎ですが、
その起源はいかにして形作られたのでしょうか。
本章では、八幡屋礒五郎の歴史を追いながら、
代表的な商品である七味唐からしの素材に焦点を当て、
八幡屋礒五郎の礎についてご紹介します。

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〈八幡屋礒五郎 創業ストーリー〉
唐辛子が日本に輸入され、七味が江戸から長野県に渡り
八幡屋礒五郎が創業するまでの経緯と、
看板商品である七味缶の誕生秘話を、時系列で紐解いていきます。

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〈南米出身、唐辛子〉
唐辛子は南米アマゾン河流域が原産地とされています。
これがコロンブスによってヨーロッパにもたらされ、
さらに南蛮船経由で東洋にも広まりました。
日本に関しては、
1. 1592年の秀吉の朝鮮出兵時に唐辛子の種子がもたらされた。
とする説と、
2. それ以前にポルトガルの宣教師が紹介した。
という説があります。

〈七味唐辛子発祥の地と日本三大七味〉
七味唐辛子が日本人の食卓に上るようになったのは江戸時代以降とされています。
その発祥地は、江戸の日本橋薬研堀町です。
この地域は医者や薬問屋が多く、漢方薬を基に生薬を組み合わせて
七味唐辛子を販売していました。
やがて江戸の食文化とともに日本全国に広まっていき、
いつの頃からか「三大七味」と呼ばれる三軒の暖簾を生みました。

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【信州 八幡屋礒五郎】(創業1736年)
・地元産原料を使用
・辛みと香りの調和がとれた配合
・生姜が含まれているため、寒い地域にあった七味になっている

【東京 やげん堀】(創業1625年)
・唐辛子を二種類使用し、辛さに深みを出している
・山椒や胡麻の風味が高い

【京都 七味家本舗】(創業1655年)
・香りが強い素材を使い、香りをたたせている
・京料理に合うように風味を持たせるため、山椒を重視している

他社さんへのリスペクトとご紹介までされているのが素敵ですね。
ライバルという位置付けではなく、
七味業界自体を盛り上げていきたいというあらわれですね。

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〈七味唐辛子が信州にやってきた〉
長野市の北西に位置する、旧鬼無里村周辺は、通称西山と呼ばれ、
日本でも有数の麻(大麻)と和紙の産地でした。
この麻と和紙は、善光寺境内のすぐ西側にある桜枝町に集められ、
商人の手によって、江戸を中心に全国に運ばれていきました。
麻を運んで江戸におもむいた商人たちが、帰途に日用雑貨や食品の類を仕入れ、副業として善光寺周辺で売りさばいており、その中に、七味唐辛子がありました。

〈善光寺建立と八幡屋礒五郎誕生〉
江戸から帰る商人たちが七味唐辛子を仕入れ、善光寺周辺寺で販売したことで
地域の人々に広く愛用されるようになりました。
さらには、善光寺の大工に耐寒食として唐辛子を舐めさせた、という逸話もあります。
善光寺は雪深く寒さ厳しい土地にありながら、1704年に着工しわずか3年後の
1707年に完成しました。
短期間での完成の秘密の一つに七味唐辛子の存在があったのです。
初代勘右衛門が七味唐辛子の販売が生業として成り立つことを確信し、
1736年に七味唐辛子を善光寺の堂庭(境内)で売り出したのが、
八幡屋礒五郎の始まりです。

〈八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう) は創業者の本名ではない〉
前述の通り「八幡屋礒五郎」という名称は創業者の本名ではありません。
「八幡屋」と名乗る商店は各地にあり、海外・外国といった概念が込められ、
インターナショナルファームであることを指します。
また善光寺本尊は阿弥陀如来であり、本地垂迹(ほんちすいじゃく)によると
阿弥陀如来=八幡神であることは当時の常識でもありました。
「礒」は、信州に海がないことから八幡屋独自の新製品のイメージを表現しています。
「五郎」は婿養子の「五左衛門」からとったとされる説が妥当であり、
戦国武士の流れを汲んでいることを意味しています。

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〈素材の宝庫、信州 西山地方〉
旧鬼無里村周辺の西山地方では、七味の原料の多くが栽培に適していました。
この地域は元々麻の産地であり麻の実(麻種)にはこと欠きません。
また、山椒は自生しており、唐辛子、胡麻、生姜、紫蘇は近隣の農家に委託されました。
日持ちのする陳皮のみ上方から調達することで、
江戸とは異なる、山国信州ならではの風味を持つ
八幡屋礒五郎の七味唐辛子が生まれました。

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善光寺の堂庭(境内)でお客様の好みに合わせて販売していた頃の
調合用の木箱です。素材ごとに区分され、小さじで調合して大小の袋に詰めて販売していました。 調合箱の中に見えるのは、手刷りの和紙袋に七味唐からしを掬い込むための2匁(約9g)用匙です。
当時はひとつひとつ計量はせずに匙加減でした。

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〈八幡屋礒五郎の売りすがた〉
三代目儀左衛門の時代から、善光寺堂庭の中で一番よい場所である御高札前に店を張る「特権」を許されました。『善光寺繁盛記』には八幡屋礒五郎の古い売りすがたが描写されています。
また、「旅の客が七味唐がらしを使うと、酒や飯を沢山食べるので宿屋のまかないの経費がかさむ。そこで七味唐がらし売りの老人に金百両を握らせて、専売をやめさせようとしたが、老人はガンとして聞かなかった。」という逸話もあります。

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〈善光寺繁盛記〉
明治11年(1878年)出版 / 長尾無墨(ながおむぼく) 編輯(へんしゅう)
江戸末期から明治初期の善光寺界隈の様子を知る上で貴重な資料です。

枝垂れ柳の下に高札が立っていた。その下に大きな傘を開き、台を士つらえて、
一人の老人が七色唐辛子を売っていた。
その袋の表には『善光寺御高札前八幡屋礒五郎』の十三文字が記されている。
台の上には、大きな袋や小さな袋が左右に積まれていた。
箱も置かれていて、味ごとに七つに区分されている。
そして、客の好みに応じて、小サジで、七つの味を調合して売っていた。

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〈パッケージデザイン〉
八幡屋礒五郎の七味唐からしの特徴として、忘れてはいけないのが、
パッケージのデザインです。

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当時使われていた紙袋のデザインは、江戸末期に流行った木版画の技法を用いて作られたものです。
先祖の出生地である鬼無里村で作られた和紙「山中紙」を使っていました。
写真右は竹筒でできた容器。

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〈小袋の手刷り道具一式〉
1930年代まで、小袋は和紙を裁断し、版木を使って一つずつ印刷していました。

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〈七味缶誕生〉
もう一つのパッケージ、ブリキ缶は、六代目栄助が大正13年、56歳のときに考案したものです。
紙袋よりも食卓での実用に便利で、耐食性も強く、現在も八幡屋礒五郎の顔として多くの人に使われています。
赤地に斜めに大きく描かれた唐辛子。
その上部のヘタの部分に振り出し口を重ねると開くように作られています。
裏面には空と石畳の中に建つ善光寺。
金、銀、青、赤の四色が艶やかです。

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〈大解剖 七味缶ができるまで〉
七味缶の容器は印字されたスチール板を円柱状に丸めて作られています。

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別室でその全工程を動画で見ることができました。
製造工程やその歴史にも勿論感動しましたが、
最後の食卓での使用シーンのショートムービーで泣きそうになりました。


「時代が変わっても、社会が変わっても、百年変わらずにおいしいのは、信州の食卓です。」(30秒)

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〈展覧会概要〉  ここから順に書くべきでしたね^^;
八幡屋礒五郎の定番商品である「七味唐からし」は、缶に入っていることが特徴です。 1924年に六代栄助が考案して以来、「八幡屋の七味といえば缶入り」と
広く定着し「七味缶」として多くの方々に親しまれてきました。
2024年はその七味缶が誕生百周年を迎えます。
本展覧会ではこれまでに誕生した様々な七味缶を中心に、八幡屋礒五郎の歴史と新しい挑戦についてご紹介します。

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〈ご挨拶〉
七味缶の斬新なデザインは、六代栄助が大正13年(1924年)に考案したものです。
以来、百年にわたり八幡屋礒五郎の顔として皆様に親しまれてまいりました。
正面に大きく唐辛子を描き、右側面には善光寺本堂を山門の二階北側から
見下ろして描かれています。
赤青黄が大胆に配色され、一度見たら忘れられない七味缶を、
今後も大切に受け継いでゆきたいと思います。
九代目 室賀栄助

え!? まさか、先ほど店舗で七味調合をさせていただいていた際に
名刺交換させていただいたあの室賀さん!?
九代目さんだったのですかね!!!??
肩書きには、 Executive Director と書いてあってので気がつきませんでした^^;
(※後日教えていただきましたが、九代目の息子さんだったようです。)

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〈七味缶のデザイン〉
長年愛されてきた「七味缶」について、その形状や配色、意匠に込められた秘密をご紹介します。

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〈ヒミツ1〉
唐辛子のヘタの先に穴を合わせると・・・
あら不思議、振り出し口があらわれます。

〈ヒミツ2〉
実は、絵柄面には隠された唐辛子が描かれています。
一つとは限りませんので、ぜひ探してみてくださいね。

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〈配色〉
七味缶には赤、青、金、銀の4色が使われています。
強烈な赤、青、金をふっと柔らげる金属そのものの銀色の配置がみごとです。

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善光寺が描かれたデザインは長野県内限定。
県外へはシンボルマーク「七味丸」を中心に
七味の素材が描かれたデザインを販売しています。

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〈七味の可能性〉

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八幡屋礒五郎は、1736年の創業以来七味唐辛子を作り続け、
9世代に渡り善光寺門前で販売しています。
お客様と常に接点を持ち、それを製品作りに活かすことで発展して参りました。
本章ではアイデンティティとストーリーを大切にしながら新たな挑戦に取り組む姿勢をご紹介します。

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〈素材のひろがり〉
七味唐からしに使用される従来の七つの素材だけでなく、
様々なスパイスが登場したことで七味にも多様性が生まれました。
八幡屋礒五郎の店舗では、お客様の好みに合わせてその場で七味を調合する「カスタムブレンド」というサービスを展開しています。
約40種類の素材から調合するため、辛さや香りも自由自在です。
ぜひお気に入りの素材を見つけてみてください。

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〈こんな料理にも合う! 新しい七味〉
七味との相性が良い料理は和食に限定されません。
調合を通じてスパイスに関する知識と経験を培った店舗のスタッフが、
様々なレシピを考案し、それが新商品の発売に繋がりました。

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エスニックなミックススパイス 【七味ガラム・マサラ】
ガラム・マサラとは、インド料理で使用される辛いミックススパイスを意味します。
香ばしい香りを大切にするために、《七味唐からし》の焙煎技術をガラム・マサラにも活かしました。
ご家庭で辛味を控えたカレーでも、《七味ガラム・マサラ》で辛み調節し、
エスニックな味をお楽しみいただけます。
焼き魚にも、ポテトサラダにも意外に合う!

香りの華咲く、我が家のラーメン 【拉麺七味】
ラーメンと相性の良いブラック&ホワイトペッパーにオニオンのコクと香り高い柚子、青海苔を加えました。
麺やスープにふんわりと絡み、味を引き立てます。
チャーハンや野菜炒め、クリームシチューなどにも幅広くお使いいただけます。

「イタリアン七味」と呼んでください【伊太利庵七味】
唐辛子、レモン、バジル、パセリ、オニオン、ガーリックをブレンド。
パスタやピザとの相性抜群。
塩ラーメン、トースト、洋食にも気軽にお使いいただける七味です。

肉とも魚介とも相性抜群【七味バーベキューソルト】
国産の塩をベースに、ブラックペッパー、レモン、唐辛子、ガーリック、パセリ、ナツメグをブレンド。
肉・魚介と相性が良く、刺激的な風味と香りが食欲をそそります。
バーベキューや焼肉の際に味の決め手としてもおすすめです。
フライドポテトやサラダにも!!

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〈イヤーモデル缶で見る 長野と八幡屋礒五郎のあゆみ〉
イヤーモデル缶とは、
缶の絵柄をその年の長野の出来事にちなんだデザインに変更したものです。
2006年に長野県内初のシネマコンプレックス「長野グランドシネマズ」のオープンに合わせて「映画缶」が最初に販売され、毎年新しいデザインが登場しています。イヤーモデル缶を通じて長野と共にあゆんできた八幡屋礒五郎の出来事を振り返ります。

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【2006年 映画缶】
七味缶の初代イヤーモデル。
長い八幡屋礒五郎の歴史の中でも、ブリキ缶に善光寺本堂以外の建物が描かれたのはこのモデルが初めてのことでした。
絵柄は、2006年に長野市権堂町にオープンした県内初のシネマコンプレックス「長野グランドシネマズ」の外観です。

【2007年 川中島缶】
永禄4年(1561年)川中島にて、武田信玄は軍師山本勘助と共に上杉謙信と雌雄を決する戦をしました。
絵柄は、同年放送のNHK大河ドラマ「風林火山」に合わせて、この3人の戦国武将の勇姿です。

【2008年 山門缶】
平成14年から5カ年をかけて行われた重要文化財善光寺三門の平成大修理が無事完了。工事中に発見された数々の資料から、江戸時代建立(寛延3年・1750年)当初の雄姿が正確に復元されました。
絵柄は、今や《日本最大の栩葺屋根建造物(とちぶきやねけんぞうぶつ)》として蘇ったこの山門です。

【2009年 御開帳缶】
「善光寺御開帳」とは、数えで7年に1度、秘仏である御本尊様の御分身として
前立本尊様を本堂にお遷ししてお参りする盛儀です。
2009年は御開帳の年。
絵柄は、中日庭儀大法要の様子です。

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【2010年 松代缶】
松代城(海津城)は、永禄3年 廃城後の打ち壊しで城の景観を失いましたが、
平成の大普請により太鼓門、橋詰門などが復元整備されました。
絵柄は、この松代城太鼓門です。

【2011年 AC長野パルセイロ缶】
「AC長野パルセイロ」は、1990年長野エルザサッカークラブとして結成。
2007年にポルトガル語で「パートナー」を意味する現名称になりました。
第34回全国サッカーリーグ決勝大会で好成績を収め、2011年JFL昇格となりました。
絵柄は、この健闘を讃え、新たな飛躍を祈念してパルセイロのエンブレムです。

【2012年 電車缶】
1957(昭和32年)に営業を開始した長野電鉄2000系車両は、
当時の最新技術を取り入れた新鋭車両で、長野電鉄の看板オリジナル特急車両として半世紀以上にわたり北信濃を訪れた観光客や地元の足として運行して来ました。
絵柄は、新型特急車両の導入に伴い、2012年春引退を迎えた長野電鉄2000系車両です。

【2013年 動物缶】
長野市郊外の緑豊かな森の中にある茶臼山動物園は、1983(昭和58)年8月8日、長野市政80周年記念事業の一環として開園しました。
動物の生態をそのまま観察できる放し飼い方式を取り入れ、自然環境の中で動物の保護繁殖を進めています。
特に2009年10月には新レッサーパンダ舎が完成し、レッサーパンダの自然な姿を間近で見られると人気を集めています。
絵柄は、開園30周年を迎えた長野市茶臼山動物園の動物たちです。

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【2014年 戸隠缶】
1963年12月、1基のリフトからスタートした戸隠スキー場。
現在ではリフトは7基に増え、初級者から上級者まで楽しめるコースが19コースとなりました。
ゲレンデトップからは戸隠連峰や北アルプスの絶景が眺められ、良質な雪は「魔法の粉雪」と云われるサラサラしたパウダースノーで有名です。
絵柄は、開園50周年を迎えた戸隠スキー場と、戸隠スキー場のマスコットキャラクター「とがっきー」です。

【2015年 2-7缶】
上信越・北陸地方を経由して東京と大阪を結ぶ計画の北陸新幹線。
1997年に東京 - 長野間を長野新幹線として開業、2015年3月に長野から金沢まで延伸となりました。
絵柄は、2015年3月開業の北陸新幹線に投入された新型車両《E7系》と、
長野新幹線を走り続けてきたベースとなった車両《E2系》です。

【2016年 芸術缶】
2016年のイヤーモデル缶の絵柄は《長野市民会館》と《長野市芸術館》です。
昭和の時代、斬新な建物であった《長野市民会館》は竣工から50年が経ち、惜しまれつつも幕を下ろしました。その地に、2016年5月、新しく《長野市芸術館》が開館しました。芸術館は音楽・演劇・伝統芸能などをはじめ、様々なジャンルの文化芸術の拠点となることが期待されています。

【2017年 ながの銀嶺国体缶】
2017年1月〜2月、第72回国民体育大会冬季大会〜ながの銀嶺国体〜が
長野県にて開催されました。
長野県での冬季国体開催は、2008年に開催された第63回大会以来、9年ぶりの開催となります。
2017年イヤーモデル缶は冬季国体開催を記念した七味缶です。
冬季国体競技のコスチュームに返信した長野県のPRキャラクター「アルクマ」を雪色の七味缶に散りばめた可愛らしい缶です。

【2018年 特急あずさ缶】
松本駅から新宿駅間を走る中央本線・新型特急車両《E353系スーパーあずさ》が営業運転を開始しました。
《E353系》は《E351系》の後継で、外観コンセプトは「伝統の継承、未来への躍動」。南アルプスの雪をイメージした白を基調とした車体に《E351系》から引き継ぐ伝統カラー「あずさバイオレット」のラインが走ります。
2018年のイヤーモデル缶は、新型特急車両《E353系》登場を記念し、
スーパーあずさを描いた七味缶です。

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【2019年 雪猿缶】
世界で唯一、《温泉に入るサル》を間近で観察できる場所《地獄谷野猿公苑》が、長野県の北部・志賀高原を源とする横湯川の渓谷にあります。
2019年イヤーモデル缶は、地獄谷野猿公苑開苑55周年を記念して、
温泉に入る"スノーモンキー"と、野猿公苑へのアクセス手段として利用され、
観光客にも人気がある長野電鉄特急列車"スノーモンキー"を描いた七味缶です。また、表面の大きな唐辛子のイラストに、赤い山椒の実をくわえたサルもポイントで配置しています。

【2020年 軽井沢缶】
2020年、(旧)軽井沢駅舎開業から110周年を迎えます。
当時(1910年)の姿に復元され、今も活躍中。
この軽井沢〜長野間を走る観光列車〈ろくもん〉も、その名にあやかれば6周年を迎えます。
(旧)軽井沢駅舎と、〈くろもん〉のデザインに携わる水戸岡鋭治氏のご協力をいただいた絵柄です。

【2021年 城山缶】
善光寺東側に位置する〈城山(じょうやま)〉。
2021年イヤーモデル缶は、この地で愛され続ける2つの施設
〈城山動物園〉開園60周年と〈長野県立美術館〉リニューアルオープンを記念した絵柄。桜の名所でもあるこの地をイメージした桜色を背景に、白とガラスのコントラストが映える〈長野県立美術館〉と〈城山動物園〉の元気な仲間たちがお祝いに花を添えています。動物のイラストは〈城山動物園〉飼育員・久保田美菜さん作。

【2022年 御開帳缶】
7年に1度の盛儀【善光寺前立本尊御開帳】。
創業より善光寺のお膝元で商いをさせていただき、幾度も御開帳を数えて参りました。このご縁にあやかり、2022年の絵柄は、中日庭儀大法要の様子を描きました。

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【2023年 松本缶】
長野県の中信地方に位置する松本市で、長年人々を魅了し続けている2つの国宝〈旧開智学校〉と〈松本城〉です。
〈旧開智学校〉は2019年に近代学校建築として初めて国宝に指定され、
2023年で開校150周年を迎えます。
〈松本城〉は現存する五重六階の天守の中で日本最古の国宝の城であり、
明治の修理から2023年で110周年を迎えます。

【2024年 百年缶】
2024年、《七味缶》は誕生100周年を迎えます。
絵柄変更や改良を重ねながらも、手の中にすっぽりと収まる《七味缶》の形状は今も昔も変わりません。
2024年イヤーモデルは、誕生当時の姿をオマージュした《百年缶》です。

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〈善光寺 周辺マップ〉
長野県立美術館から八幡屋礒五郎本店までの道のりには、
善光寺をはじめ、八幡屋礒五郎創業の地やイヤーモデル缶のモデルとなった場所があります。
ぜひ歩いて長野の街を楽しんでください。

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七味缶のきょうだい

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最後は、巨大七味缶と記念撮影。
すっかり、八幡屋礒五郎さんの大ファンに!^^!

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今回お伺いした
【八幡屋礒五郎 本店】
長野県長野市大門町83(善光寺表参道)

【横町カフェ】 本店に併設

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他にも
長野駅の駅ビル【MIDORI 長野店】2階 ORAHO エリア内

【軽井沢店】 しなの鉄道 軽井沢駅3階 しなの屋 店舗内
などにも店舗がございます。

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商品数は限られますが、長野駅の売店 信濃の風 MIDORIでも色々購入できます。

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【八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)】
ウェブサイト:https://www.yawataya.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/yawataya.isogoro/
YouTube:https://www.youtube.com/@user-gw3qr8pb9o