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「ウロコ取り」進化論

[道具]

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2024年6月24日
新潟県三条市
星三製作所(ほしさんせいさくじょ)

かねてより見てみたかった、すし職人人生をずっと共にしてきた
あの「ウロコ取り」の製造工程を遂に見ることができました。

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写真右が株式会社星三製作所 代表取締役社長の星野宏さん

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長年愛用させていただいていて、一方的に大ファンな星三製作所さんのウロコ取り。
一体全体、どのように作られているのか?
前のめり気味でのご挨拶。^^;
星三製作所では、ウロコ取り以外にも様々なハウスウェア、テーブルウェア、アウトドアグッズ
などが製作されていました。

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その一つがこちらの金串。
料理人ならば、ほとんどの人がお世話になっているのではないでしょうか。

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串の先端を尖らせる加工技術

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当たり前のように使わせていただいている便利な調理道具は、

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こうして作ってくださる方がいてこそだということを
改めて噛み締めました。

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綺麗なテンパーカラーの酸化膜をこのあと綺麗に整えていきます。

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そしてこちらのアイスクラッシャー(アイスピック)も
星三製作所で作られています。写真はスプリングガード付きの商品です。

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ここにも、金属を鋭利に尖らせる星三製作所の技術が光っています。

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ということで、お待たせしました!
ここからが、星三製作所の名作、あの「ウロコ取り」の製造工程になります。

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まずは原料となる真鍮(しんちゅう)を大きな釜の中で溶かしていきます。

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不純物を取り除く作業

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工場の大部分を占めているのが
2,30cmほどの高さに盛り固められた砂。

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穴を覗くとこんな感じ。

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このような網が張ってあり

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その奥に、このような鋳物の型がセットされているという仕組みです。

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溶けた真鍮の温度を計っています。

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いよいよ、準備が整った様子

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釜を傾けて、熱々に融解した真鍮を鉄の容器で受けとります。

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そしてすかさず、セットした型の穴から流し込んでいきます。

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こちらは、修業中の職人さん。
勢いよく入れ過ぎると、

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逆流して噴き上がってきてしまったり、

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慎重にゆっくり入れ過ぎても、
今度は、砂の中の型の隅々まで真鍮が行き渡らず
失敗作ができてしまったり。
この加減も職人技のひとつです。

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こちらは、師匠の仕事。
絶妙に、綺麗に、滑らかに注がれていきます。

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鮮やかに輝いて幻想的な色に溶かされた真鍮。

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溢れさせずピタッとキメていました。

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砂山の表層部が、ある程度冷めたところで鉄板をずらし

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砂の上で固まった真鍮を回収し、また次回溶かして使用します。

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細かく飛び散って固まった真鍮もまた原料になりますので、

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手作業で全て回収していきます。

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数分後、砂の中で真鍮が固まった様子です。

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掘り出してみると!?

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型通りに綺麗に仕上がったウロコ取りの赤ちゃんが誕生しました!

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こうして生まれてくるんだな。

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感動の瞬間でした。

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もうすっかり、あの形をしています!

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使用した砂は、また精製して

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再利用して何度も使用することができます。

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温度が下がったウロコ取りベイビーたちを隣りの工場に運び、
一つ一つ切り離し、磨きの工程へと移ります。

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生まれたてのウロコ取り、実はよく見ると結構バリがあります。

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こんな感じ。

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このバリを取り、磨きの工程を経ると

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こんなにツルッとピカピカに綺麗になるわけです。

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丁寧な磨きから出た、砂金ならぬ、砂真鍮。

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最後に柄(え)を取り付ける工程です。

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柄にも様々な種類があります。

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よほどなことをしない限り、どうやっても抜くことができない
特殊な差し方は、企業秘密!!

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今回の訪問で驚いたのがウロコ取りの進化論について。
昔からの定番のスタンダードタイプでも十分なパフォーマンスだったこともあり、
その進化を全く追えておりませんでした。

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例えばこのウロコ取り、外側の左右に少し角度をつけることで
ウロコとウロコの間に入りやすく工夫されていたり

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このウロコ取りは、

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左右に羽を広げることで、ウロコを飛び散りづらくされています。

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これは、100%真鍮で作られたウロコ取りで
柄の部分までも真鍮になっていて赤いグリップがかぶせてあります。
使用頻度にもよりますが、ながーく使用していると木の柄の場合、ときに抜けてしまうことがあります。そんな時、料理人の場合は自分で叩き差してメンテナンスして使うのですが、一般の方の場合、交換、買い替えとなることが多いようですが、この100%真鍮ウロコ取りなら柄の部分まで一体化しているので一生使えます。(その分、少しだけ重くなりますが。)

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そして、2本の縦穴に対して3本の筋を入れることで
ウロコの飛び散り防止をしているという作品です。

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ゲレンデで見るあの人のように、
工場で見るからウロコ取りがカッコよく見えるのか、
いやいや、やっぱりウロコ取りそのものが素敵なんです。

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ウロコ取り専用プラスチックカバー付きのものまでありました!

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どれだけ工夫しても、ウロコはある程度飛ぶもの。
そう思って向き合うのが良いですね。
少しでも飛ばないようにするためには、
実は、手の動かし方や、魚に当てる角度など
ちょっとしたコツもありますので、それは別件で動画を上げるか
ブログを書きたいと思います。

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この写真の4種以外にもまだ色々とあるウロコ取りとその進化論。
右下のゴレンジャーシールが、何レンジャーか気になってしまうということは置いておいて。

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せっかく魚の世界に生きている人生ですので
それぞれのウロコ取りの特徴を様々な魚でこれから検証していきたいと思います。

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ウロコ取り別の検証報告については
完成次第、この記事にもリンクを貼るようにいたします。

星野社長、この度はお忙しい中ご丁寧にご案内、ご説明くださり
ありがとうございました。


魚をさばく方には、ぜひ一度は見ていただきたい
「ウロコ取り」ができるまで(新潟県三条市 星三製作所)
動画(3:27)