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静岡県静岡市「三和酒造」〜臥龍梅〜

[酒蔵訪問]

静岡県静岡市、清水。太平洋がすぐそこに見える海沿いの町。
この清水の地で300年以上に渡りお酒を造り続ける三和酒造さんを訪ねました。

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三和酒造さんのお酒といえば、あの「臥龍梅(がりゅうばい)」。
「臥龍梅」は、知る人ぞ知る名酒なのですが、とっても丁寧にお酒を造られているため
年間でも作られるお酒の量が限られており秋口にはほとんど商品が売り切れてしまうのです。

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ということで、酢飯屋ではさっそく2種類オーダーさせていただき
3月の月替わりメニューに組み込んでおりますので
お店に遊びに来られた際には是非この貴重なお酒をお試しください!
香りも味わいもインパクトがありながら、するりと切れる後味が病み付きになる綺麗なお酒です。

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さて。通常、蔵の中は一般公開はされていないという三和酒造さん。
この度、鈴木克昌社長さんのお友達経由にて、特別に見学させて
いただくことが叶いました。(S原さん、ありがとうございます!)

この日訪れた午前10時は、蔵人さん達がせっせと翌日の為の洗米作業中。
真冬の寒い中、手作業でお米を水の中で洗うお仕事、大変ご苦労様ですっ

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蔵の内部へ潜入。
社長さんの後に続いて、麹室をご案内いただきます。

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この麹室にも丁寧さが表れています。
丁寧に白い布をかけられ麹米がつくられている最中(写真左)。

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この中に温度センサーが差し込まれていて、麹が一定以上の温度になると、
別室のアラームが鳴ってすぐに人が駆けつけられる仕組みなのです。

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大吟醸や吟醸酒の仕込みのお部屋。
タンクはどれも人の身長よりちょっと高いくらいでなんとも小ぶり。
これが600kg仕込みの小タンクで、前述の通り「臥龍梅」が丁寧に作られている所以です。
(大量にお酒を造る酒蔵さんなどでは、15㌧タンクなんかもあります)
一日に蒸せるお米の量や、タンクの温度管理の面からもこれより大きいサイズでの仕込みは難しいのだとか。
このタンク1つからは一升瓶70本分しか仕込めず、蔵内にはこのサイズは計10台。
それを1シーズンで数回転するのが精一杯とのこと。
とっても貴重です。。。

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まるで箱入り娘のように、丁寧に丁寧に造られている「臥龍梅」。
実際に造られている現場を拝見すると、ますますお酒をいただくときの喜びも大きくなります!

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ひととおり蔵を見学させていただいていたら、杜氏・菅原富男さんにお会いできました。
写真を撮りそびれてしまいましたが。。とーーっても優しいお人柄が表情ににじみ出ている方。
お話を伺っていたら、岩手のご出身で、南部杜氏流でお酒を造られているとのこと。

「以前は岩手のどちらかの蔵にいらしたのですか?」と質問したところ
「宮古市の千両男山におりました」

ん?それって、ちょうど1月に訪問したばかりの酒蔵さんではないですか!
(そのときの記事はこちらからどうぞ!)

菅原さんは、現在の千両男山の辻村杜氏とも、もともとご一緒に働かれていたのだとか。
なんとなく、勝手にご縁を感じる酢飯屋でした・・・♪

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なお、「臥龍梅」という銘柄は、清水の「清見寺」に実在する梅の木からとられています。
清見寺で、天下を取る前の徳川家康が植えた梅の木がいつしか龍が臥するような形に
成長したことからついた「臥龍梅」という名前。
「臥龍」とは、元々中国の古典、三国志演義の中で、世に出る前の英雄諸葛孔明を例えたもの。
地にひそみ隠れる龍が、天に昇る機会をうかがっているという意味。

この「臥龍梅」を植えた徳川家康もやがて天下をとったことから、三和酒造さんでは、臥龍の故事と
地元の名刹に残る銘木にちなんで、"やがては天下の美酒と謳われるように"との願いを込めて
「臥龍梅」と名付けたそうです。(蔵のHPに詳しい説明があります。)

せっかくなら、と清見寺も見学させていただきました!

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清水の土地の歴史とともに歩み続ける三和酒造さん。
これからも、妥協の無い丁寧なお酒造りをされる三和酒造さんをを応援いたします。

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[今回訪問した蔵元]
三和酒造株式会社
静岡県静岡市清水区西久保501-10
TEL.054-366-0839
http://www.garyubai.com

訪問日:2014年2月22日