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みずくらげ・ミズクラゲ・水海月・Aurelia sp.

[海の生き物]

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動物界 Animalia
刺胞動物門 Cnidaria
鉢虫綱 Scyphozoa
旗口クラゲ目 Semaeostomeae
ミズクラゲ科 Ulmaridae
ミズクラゲ属 Aurelia
ミズクラゲ Aurelia sp.

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日本近海でも最も普通に観察できるクラゲです。
夏になると多く現れます。
短い触手には毒がありますが、
刺されても痛みをほとんど感じないほどです。
が、人によっては、
あとは、刺される部位によっては(皮膚の柔らかい部分など)痛いので、注意してください。

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繁殖・飼育技術が確立された最初のクラゲで、
多くの水族館で繁殖から展示まで行えるようになっています。
世界で初めて飼育方法を確立したのは、日本の『江の島水族館』です!!

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傘に透けて見える4つの輪は、胃腔と生殖腺。胃袋が4つある感じですね。
エサ食べると輪の中にエサが流れていき、エサの色に色づきます。
輪が4つあることから、ヨツメクラゲとも呼ばれていますが
たまに輪が3つのものや5つ,6つあるものもいるので探してみると面白いですよ!
英語では Moon Jelly や Water Jelly と呼ばれていて
体の95%以上が水分で構成されています。

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成体で傘の直径が15〜30cm、それ以上のものも稀に見られます。
傘には、縁辺部に中空の細く短い触手が一列に無数に並んでいます。
傘の下側の中央に十字形に口が開き、
その4隅が伸びて、葉脈の位置で二つ折りにしたヤナギの葉のような形の4本の口腕となります。
体は四放射相称で、口腕の伸びる方向を正軸、その中間の軸を間軸と呼びます。
間軸の方向に4つの丸い胃腔があり、馬蹄形の生殖腺に取り囲まれています。
このため、4つの眼があるように見えます。
まれに五放射、六放射になっているものも見られますが、基本的な体の作りは同じです。

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刺胞を持ちますが、刺されてもほとんど痛みを感じることはないです。
ただし、遊泳中に皮膚の角質の薄い顔面にふれたときに、人によっては多少の痛みを感じます。
猛毒のハブクラゲの1/4程度の毒を持っているとされ、
分子量43000の酸性タンパク質が毒性物質の主成分と考えられています。

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北緯70度から南緯40度くらいまでの世界中の海に分布し、
30〜32‰(パーミル)の低い塩分濃度で、
水温9〜19°C(-6°Cから30°C程度までは生息可能とされる)の沿海に多く分布しています。
日本沿岸でも大発生がしばしば見られ、漁網を破損させたり、発電所の取水口に詰まって発電を停止させる事故を起こすなどの害をなすことがあります。
遊泳能力はクラゲの仲間の中でも低い方で、水中に漂って生活しています。

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雌雄異体であり、雄は透けて見える生殖巣が白っぽく、
雌は若干茶色がかっていることで識別できることもあります。

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餌となるのは主に動物性プランクトンで、時に仔魚を捕食します。
遊泳運動は捕食活動も兼ねており、傘を開閉することで縁辺部の触手の間で海水が濾過され、
そこに浮遊する動物プランクトンが触手に捕らえられます。
餌は触手の刺胞に刺されて麻痺すると同時に粘着性の刺糸に絡めとられ、
粘液と繊毛運動により、傘の縁、縁弁の中央の8箇所(胃腔の数の2倍)に団子状に集められます。
間欠的に口腕が触手をなでるときに口腕の溝の内側に餌が包み込まれ、繊毛運動によって口に運ばれます。
胃腔消化された餌の粒子や液は、放射管から水管(血管のようなもの)を通って全身へと運ばれます。
呼吸においても、同じ器官を通して体全体に拡散された海水から酸素を取り込んでいます。
傘を開閉する運動は遊泳と捕食のためだけのものではなく、
循環機能を働かせるための運動でもあり、つまり体そのものが心臓の役割を果たしています。
また、クラゲ類は中枢神経系が無く、体のどの部分にあっても一つの神経細胞が命令を下すと、
超高速度で神経伝達が行われ、相対的に統合した運動を行うことができます。

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傘の縁の8カ所に、光の明暗を感じる眼点とバランスを取るための平衡器を備えた感覚器があります。
繁殖力が強く、生活環も明らかにされていることから研究用途に使われることが多いクラゲです。

成熟した雄から精子が水中に放たれ、雌がそれを取り込んで受精をします。
受精卵は雌の口腕の保育嚢に運ばれ、卵割を繰り返して体表に繊毛が生じて『プラヌラ幼生』にまで成長してから海中に泳ぎ出ます。
成体のミズクラゲの有性生殖(オスとメスの生殖細胞が合体することで子供が増えること)で生まれたばかりの
『プラヌラ幼生』と呼ばれる時期は、
体長が約0.2mmほどで、楕円形をしており
体の表面の繊毛を動かして海中を回転するように動きます。

数日間遊泳した後、岩などの適当な付着基盤に着地する変態を開始します。
先端に触手が伸び、定着してから15時間ほどで
イソギンチャクに似た姿の『ポリプ』になります。
体長は約2mmほど。
変態直後のポリプは2本の触手を持ち、中央に口が開きます。
触手には刺胞が備わっており、触手でプランクトンを捕まえて食べることできます。
ポリプは摂餌により成長し、触手の数は4、8、16本と増え、24本に達することもあります。
成長したポリプは無性生殖で増殖し、コロニーを形成します。
無性生殖は直接、あるいは走根(ストロン)上に新しいポリプを形成する出芽と、
体が水平方向にのびて、縦に2つに分かれる分裂が主ですが、ポリプが移動した後にシストを作ることもあります。
ポリプは非常に優れた再生能力を持っています。
例えば細かくすり潰してしまっても、
しばらくするとバラバラになった細胞組織が集まり始め、最終的にポリプを再生するという驚きの能力です。

成長していったポリプは徐々に体にくびれ(環溝)ができ始め(横分体形成、ストロビレーション)、
くびれはさらに発達して8枚の縁弁が形成されます。
この時期のポリプを
花びらが何枚も重なったような形の横分体『ストロビラ』と呼びます。
ちなみに、『ポリプ』や『ストロビラ』の時期は、
無性生殖(自分の体の一部から子供を増やすこと)でクローンを増やすことができます。
横分体はくびれの枚数を増やしながら伸びてゆき、全体が動き始めます。
この時の体長は約5mmほどです。
やがて先端の触手は吸収されて消失し、『ストロビラ』の各節が一枚ずつ分離して海中へと泳ぎ出します。

この時期から『エフィラ』と呼ばれる花の形をしたものが
ミズクラゲの幼生です。
触手は8本に分かれ、プランクトンを食べて成長します。
この時の体長はまだ変わらず5mmほどです。

腕状の縁弁の間が成長して円形になった時点で成体とほぼ同じ形の稚クラゲ(直径1〜2cm)になります。
エフィラと稚クラゲの間にメテフィラと呼ばれる段階を区別することもあります。

まとめると、

『プラヌラ』→『ポリプ』→『ストロビラ』→『エフィラ』→(メテフィラ)→『稚クラゲ』→『成体』
という順に成長していきます。
一部の地域個体群では、
プラヌラ幼生が直接エフィラ幼生に変態してそのままクラゲになるものがあることが知られています。

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半透明の美しい姿と人々を魅了し、
ミズクラゲは、観賞用ペットとしてもよく飼育されています。
遊泳能力の低さから、普通の水槽では濾過器の吸い上げ口に吸い込まれたり、
水を対流させないと沈んでしまったりするため、
基本的には、専用の水槽と濾過装置が必要となります。
非常にデリケートな生き物なので飼育は簡単ではないです。
適正pH(ペーハー)8.0。
弱アルカリ性の水質を好みます。
水中には好気性バクテリア(硝化細菌)が必須で、
このバクテリアがいないと餌の残りなどの有機物から発生するアンモニアが
クラゲにとって無害な硝酸塩に分解されません。
ただし、硝酸塩も増えすぎるとpH値が下がって水質が悪化するので、
pH7.7以下になる前に水換えが必要となります。
濾材に酸素が十分含まれており、
アンモニアを発生させれば好気性バクテリアは自然に繁殖します。
逆に酸素が不足していると嫌気性のバクテリアが増加し、
硝酸塩を有毒な亜硝酸塩に変えてしまいます。
強制的にアンモニアを発生させるには、
先に試験的に魚を1,2匹入れてしばらく飼育するとよいです。
魚のフンによってアンモニアが発生します。
その後、混泳させるとポリプを食べてしまう魚種もいます。
他には、市販の好気性バクテリアを使用したり、
既にバクテリアが繁殖している状態の砂を敷くなどの方法もあります。
ミズクラゲは特に水温の許容幅が広い種類のクラゲで、
プラヌラ、ポリプの適温は5〜30°Cと幅広く、水温をあまり気にする必要はないです。
成体は15〜20°Cくらいの時が最も活発で、
30°Cを超えると大部分の個体は死亡してしまいます。

餌となるのはブラインシュリンプ(ホウネンエビの一種)です。
冷凍のものも市販されていますが、
卵から孵化させた生餌(ノープリウス幼生)の方が脂肪酸が多く栄養価が高いです。
卵はやや薄めの海水を入れた孵化容器に入れ、
エアポンプで酸素を供給しながら水温を27℃前後に保つと18〜24時間で孵化します。
浮遊している茶色い卵の殻はスポイトなどで除去し、生体のみを与えます。
余ったブラインシュリンプは冷凍保存してもよいですが、
家庭用冷凍庫での保存期間は5日程度と短いため、
常に新しいノープリウスを孵し続けるのが最善です。
生餌は死亡すると急速に水質を悪化させるので、
食べ残しを出さずに給餌するためピペットに吸い込んだブラインシュリンプを
クラゲの口の辺りに直接吹きかけてやるとよいです。
ブラインシュリンプには走光性があり、
ペンライトなどで一方から光を当てるとそこに集まってくるので、
これを吸引すると効率良くピペット内に取り込めます。