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神宮祭主職舎本館(旧慶光院客殿)・じんぐうさいしゅしょくしゃほんかん(きゅうけいこうえんきゃくでん)

[神社仏閣]

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年代:江戸時代前期(1601年〜1700年)
員数:1棟
所在地:三重県伊勢市宇治浦田一丁目1番29号
所有者:宗教法人神宮
重要文化財(建造物)指定年月日:2002年12月26日
構造:桁行23.3m、梁間18.5m、一重、入母屋造、妻入、中門及び車寄附属、
中門切妻造、庇附属、車寄唐破風造、本瓦、檜皮及び銅板葺

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神宮祭主職舎は,
五十鈴川沿いの内宮門前町に所在する神宮祭主のための施設です。
室町時代後半の混乱期に神宮の式年遷宮が中断した時、
その再興に尽くし慶安2年(1649年)までの
正遷宮を江戸幕府の朱印状を得て取り仕切った慶光院の客殿として建築されました。
明治2年に慶光院が廃寺となって以降、
神宮の所管となり、神宮司庁舎・祭主職舎として利用されて現在に至り、
平成9年3月7日には同じ敷地内の勝手所・表門とともに三重県指定有形文化財(建造物)に指定されました。

桁行23.3m、梁間18.5m、入母屋造、本瓦葺で、主屋の南面東端に切妻造の中門が突出するように設けられ、
東正面には明治期の改修により檜皮葺の車寄が付設されています。
主殿の様式を残す稀少な例で、様式的に江戸前期の建築です。

内部は三室を前後2列に配する六間取りの母屋の周囲に幅広い庇が巡らされ、
母屋の後列西端に大床、違棚、書院などを完備する上段、上々段の間が設けられています。
明治・昭和期に改修された部分もありますが、
主要な部分は建築当初の形をよく残しています。
大規模で木太く、良好な材料を用い、本瓦葺で大きな破風を正面に見せる重厚なつくりで、
対面の場として完成された空間構成。
近世初期に遡る正統かつ本格的な客殿として貴重な建物です。