はたはた・ハタハタ・鰰・鱩・Arctoscopus japonicus
2014年12月2,3,4日と
日本海側に猛吹雪の警報が発令したのと同時に
羽田からのぐらんぐらんの飛行機で
秋田県 男鹿半島(おがはんとう)にギリギリ飛びました。
大荒れの天気のあとに、
深海にいるハタハタが沿岸に産卵に来ると言われているからです。
この猛吹雪を過ぎれば、
念願の活きているハタハタが見れるかもしれない。
気温マイナス5度。
秋田県の郷土寿司である
『ハタハタ寿司』を教わりに行くことを主としておりましたが、
どうしても活きているハタハタがみたい!
全ては運次第。
巨大な産卵群の一斉放卵は海一面が真っ白になるほどで『群来る(ぐんくる)』と呼ばれます。
【鰰】魚編に神と書いてハタハタ。
年末の秋田、食材としてのタンパク源が少なくなるこの時期に、
人間から向かうわけではなく、
ハタハタのほうから接岸してきてくださるこのことを、
神様からの贈り物だと。
【鱩】魚編に雷と書いてもハタハタ。
年末の秋田に猛吹雪が吹き、激しい雷(ハタタ神)が鳴り、
海が嵐で撹拌されると
水温が下がり、深海から産卵のために接岸してくるため、
このようにも書かれます。
沖が14℃、陸が9℃になれば
産卵のための接岸が始まると、
海面から水深5mほどまで全てがハタハタで埋め尽くされます。
さらにそこにオスが白子をかけて海が真っ白に!
カモメにとってもご馳走の時期。
そんなカモメも飽きるほど接岸します。
漁期は12月の冬至くらいまで。
まずご挨拶にうかがったのが
左から、大物ハタハタ(25cm〜30cm)の漁師
菊地さん(漁師歴22年 2014年現在)
ハタハタ日本一の秋田県、
その中でも最高峰の八峰町(はっぽうちょう)、
その中で一番と称される漁師さんがこの菊地さんです。
一気に大量に揚がるがゆえに、少々雑に扱われがちなハタハタを
菊地さんはこだわりの方法(ここには書けない秘密)で
箱に詰めていきます。
菊地さんの名言『ハタハタは祭りだ。』
中 山本太志(やまもとたかし)さん(漁師歴10年 2014年現在)
元教師であり、バスケットボール界では有名な
能代工業の元エース。
お酒が大好きな山本さん
右 酢飯屋 岡田大介
この日の夜は盛り上がりましたー。
いわゆる飲みニュケーションというやつですかね。
二人で一升ちょっとの日本酒で飲み語りました。
結果、、。。
もう、最高に熱い漁師さんで、大好きです!!!
翌朝、
祈りは魚の神様に通じるのでした。
荒れ狂う冬の日本海、ハタハタ様、接岸。
活きているハタハタを初めて見ることができました。
水揚げしたその日のハタハタを飛行機で持ち帰り、
刺身にして食べたところ。
これは、もう、神様の味でした。
24cmという大きなハタハタも入っていました。
こちらは、後日の山本さんからの写真と映像
船いっぱいのハタハタ。
玄辰但馬丸 山本太志(やまもとたかし)氏
【ハタハタ写真集】
ハタハタ様のお顔
口、細かい歯がありますが、指で口をあんぐりつまんでも大丈夫なくらい。
尾ビレ
背ビレ
胸ビレ
胸ビレ
正面から見た顔
綺麗な茶色がチャームポイントの目
左:オス 右:メス
ハタハタの卵はブリコと呼ばれます。
卵は日本海の寒い冬を越して、春に稚魚が出ます。
そのため、通常の魚卵よりも皮が厚く出来ています。
白子とブリコ
オスとメスをそれぞれ解剖してみました。
オスの頭
オスの解剖(全体)
白子(精巣)
精子
精子
オスの中骨
オスの皮
オスの身
メスの頭
メスの解剖(全体)
卵(ブリコ)
メスの中骨
メスの頭
メスの背中
メスの身
水中のハタハタの動きは機敏で、ゆっくりすることが少ないので
撮影が本当に難しいです。
連写してもブレてしまいます。。
さらに詳しいハタハタ情報は
男鹿水族館GAO
ハタハタ博物館にて!
秋田県男鹿市戸賀塩浜 TEL:0185-32-2221
こちらは兵庫県豊岡市にある
城崎マリンワールドにて
命を終えたハタハタがヒトデに食べられていました。
ハタハタ寿司
ハタハタの卵の醤油漬け
ハタハタの卵の醤油漬け軍艦寿司
現地で漬け込ませていただいた
岡田大介お手製『ハタハタ寿司』については郷土寿司プロジェクトページよりご覧いただけます。
ハタハタ寿司の漬け込みを教えてくださった、
ひより会さんたちがハタハタと塩のみで作っている
『しょっつる』。
僕の中でハタハタと言えば、やっぱり山本太志(やまもとたかし)さん。
東京、酢飯屋にも何度も情報交換に来てくださいました。
お酒はガッツリ飲んで、仕事はしっかりやり遂げる。
漁師さんはかっこいい。
2018年12月 世界初の試みとして、
活ハタハタの流通テストを始めた山本さん。
活ハタハタにどんな可能性があるのか。
そのテスト店舗の一つとして酢飯屋にも送ってくださいました。
到着時の水温は6.4℃。
半分生きて泳いでいて、半分はお亡くなりになっていました。
バリバリ活きているハタハタが厨房にある奇跡。
【生ハタハタの握り寿司(皮引き)】
可哀想なので、あまり好きではありませんが、
今回はテストですので、ハタハタの活け造りをしてみました。
もちろん、動きます。
こちらがブリコ。
ブリコ自体を酢飯に見立てて握った、ハタハタの親子寿司。
【活ハタハタの白子寿司】
一腹分(左右)の白子は筋と膜で繋がっているため
お寿司にしやすいです。
今までにあるようでなかったお寿司がまた一つ誕生しました。
薬味は輪切りの長ネギ1枚のみ。
別添えのポン酢を食べる直前にかけてお召し上がりいただきます。
こんな具合に。
【活ハタハタの白子とブリコ味噌の受精寿司】
(ブリコとは、ハタハタの卵の呼び名です。)
活きているハタハタを日本酒で漬け込み半日。
酔っ払いハタハタ。
ハタハタの滑りが簡単にとれて、しっとりした身質に変わり
生でも焼いてもとても美味しい活ハタハタの酒漬けができました。
【ハタハタ寿司 on ブリコのしょっつる漬け】
【ハタハタ寿司の細巻き】
乳酸発酵系でそもそも酸味のあるハタハタ寿司を
敢えて酢飯で巻いたのは
今回の結婚式ケータリングの新婦様側が秋田県だっためです。
巻物は、良いものを巻き込むという縁起寿司でもあります。
ディルと海苔の香りがハタハタ寿司とベストマッチングなんです。
【ブリコ(ハタハタの卵)の のっけ寿司】
ハタハタ寿司は、このお米を取り除いて食べる
贅沢なお寿司です。
【ハタハタ寿司の盛り合わせ】
【ハタハタの炭火焼き】
【ハタハタのしょっつる鍋】
2019年7月 酢飯屋(東京)にて
干しハタハタ(ハタハタの干物)
ハタハタの下にわかめを敷いて
ハタハタの海藻焼き。
海藻の水分でハタハタがふっくらと仕上がります。
【ハタハタの干物】
http://www.sumeshiya.com/blog/2021/10/post-6671.html